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2014.01.26

 おはようございます。小学生の頃カンペン(ふでばこ)の中で鉛筆を背の順番に並べていた男斉藤です。又、鉛筆の下にティッシュを敷いていた男斉藤でもあります。

 

 最近思うのですが、人生に意味の無い出来事なんて本当に無いんですね。

 

 今回はそんな事をつくづく感じてしまったお話です。

 

 オーキニーを御利用頂いているお客様方はご存知の事と思いますが2年ほど前からでしょうか、オーキニーの入り口付近にサロンで買い取った「100円自動販売機」が置いてあります。

 

 そう。こんなのです。

 

 今から約3か月前。この自動販売機の足元、店の玄関の脇に「ビックル」の空き瓶が放置されていました。

 

 そう。皆様も御存じの4つの乳酸菌から作られたコイツです。

 

 過去にも、自動販売機の横や上に空き缶やゴミ袋などが置かれていたことがあったのですが、その都度「誰かの不法投棄」に心を痛めながら処分していました。

 

 しかし、そのビックルは今までのように「申し訳なく捨てている」と言った可愛いモノではなく、美容室の玄関の脇、もはや誰の目から見ても「目立つ部分」に堂々と置かれていました。しかも側にめくれた蓋付きで。

 

 流石に最初は「まあしょうがない」と思いながら嫌々処分したのですが、それからと言うもの2日に一回のペースでほぼ同じ位置にビックルの空き瓶が放置されるようになって頭を悩まされていました。

 

 すみません一寸ここから品の無いものの言い方、見方が出ているかも知れませんので先に断わっておきます。

 

 私も小学生くらいの頃、確かに自販機の上にスウィートキッスやメロンイエローの空き瓶などを放置して帰った記憶があります。それは本当に申し訳なかったと思ってます。

 

 なので多少の空き缶等の放置は「自分がしてきたことに対しての償い」として受け入れて黙って処分してきました。

 

 しかし、こう毎日のように繰り返されれば「オイもう十分償ったやろ」とも思いたくもなります。てか誰やねんコレ。恐らくクロックスサンダル履いたオッサンか寝癖ピンピン立たせた小学生やろうけど何の嫌がらせや。

 

 そのようにして2週間ほどで私の中で感じていた「見知らぬ犯人」に対しての「不快感」は「怒り」へと代わって行きました。

 

 営業中も空いている時間さえあれば、終始犯人を現行犯で捕まえてやろうと玄関口を睨み付け、通り過ぎる人影に反応していました。捕まえてどうしても一言言ってやりたい。「自分の家の前に同じような事をされたら気分が良いと思いますか」と。

 

 監視むなしくそんな良いタイミングで犯人を見つけられる訳もなく、手つかずの事務仕事が溜まって行くばかり。いたずらに時間だけが過ぎて行きます。

 

 こうなりゃ殺るか殺られるかの根競べ。やったろうやんけオウコラ。程無くしてイラチの私はある行動に出はじめます。

 

 まず最初に、雨降りの中放置されて中に水が溜まった「ビックルの空容器」を処分しないでそのままの状態で置いてみました。

 

 犯人に「うわ汚らしい。てかこれ前に俺が飲んだ奴やん・・・そうか俺悪い事してたんや。ごめんなおおきにさん最高。」と悟(さと)させたかったの。

 

 その後数日間はそのまま雨水が溜まったビックルは放置され続けていましたが、数日後そのビックルは「幽体離脱ぅぅ」とザたっちばりに分身して置かていました。と言う事で効果梨。

 

 次に私のとった行動。自販機の足の部分、いつも空瓶が置かれている付近に張り紙で「ゴミはゴミ箱へ(^○^)」とポップ調で書いて貼っておいてみました。

 

 犯人に「さぁていつもの所に置いとくかオッと何これ。何々・・・そうかゴミはゴミ箱に確かにそうやわ。ありがとうおおきにさん最高。」と思わせたかったの。

 

 しかしこれも案の定効果全く梨。むぅ。

 

 そして色々考えた挙句とうとう「こちらから何かを期待しても何も変わらない。それならいっそ」とビックルのボタンを外してなんと販売休止してしまいました。

 

 犯人が「さぁていつものようにビックルビックルっと・・・何。販売中止やて。なんでや・・・そうか俺が散らかしてたから罰が当たったんやな。御免おおきにさん最高。」と思ってくれるかとかすかな希望を抱いたの。

 

 勿論そのままだと、折角ストックしてあるビックルにも賞味期限が来てしまい、販売できなくなってしまうのでしばらくそのままにしておいて、数カ月たったら元に戻そうと思っていました。

 

 その後、当たり前ですがビンの不法投棄は無くなり私の中にも穏やかな風が流れ始め、何事もなかったかのような日常が流れ過ぎて行きました。

 

 それから1か月以上が過ぎた昨日の事です。

 

 お昼時、裏の従業員室でお弁当を食べていると、サロンの入り口を開くチャイムの音が鳴りました。

 

 「すみませ~ん」

 

 あれ誰だろう。確か次の予約は1時からだったような。と思いながら一度口に放り込んだコロッケを弁当に戻してから慌ててフロアに出てみると、入り口の扉を半開けにして上半身だけ中に覗き込んだ状態の見知らぬオバチャンがいました。

 

 「はい。どうしましたか。」

 

 口を隠すように手で押さえながら聞いてみると

 

 「あのね。このお店の前の自動販売機の右から3番目の奴の事なんだけど。」

 

 とどうやら私に外に出て来て何かを見せたいような素振りで話すオバチャン。取りあえずやや太めの身体でずっと扉にもたれ掛っていられるよりはと、自販機の前で話を聞いてみました。

 

 私「はい。」

 

 バ「これこれ。このヤクルトの大きい奴。これなんやけど。これずっと販売中止になってるの分かってる。」

 

 私「あ、はい。」

 

 バ「いっつも飲もうと思ってここ見てるんやけどいつになったら入れるの。飲みたいんやけど。」

 

 とややお怒り気味でお話しされるオバチャン。

 

 私「ああ。ビックルの事ですね。実はここの所にずっとその空ビンが不法投棄されるようになってから、少し困っていまして販売休止にしたんです。」

 

 バ「え。そうなの。いやぁ美味しいから飲みたいんやけど。」

 

 ひょっとして。

 

 私「ええ。でも散らかされてドンドン汚くなるのも嫌だったので。すみません。」

 

 バ「あらそう。て言うかそれ私やわ。」

 

 やっぱり。

 

 私「そうなんですか。」

 

 バ「ていうかなんでここ自動販売機あるのにゴミ箱ないねん。」

 

 え。そっちなの、て言うかこっちなの。

 

 私「いや。こちらの飲み物は家に持って帰って頂くように利用して下さるものなので。」

 

 突拍子無く犯人確保のチャンスタイムが訪れましたが、この人はそもそも話しても無駄な人種だ、と感じとりその後黙ってオバチャンのいう事を聞いてました。

 

 バ「あそう。普通はゴミ箱あるのにね。いや。ここ友達から聞いて安いし美容師さんいい人やから利用してあげてって言われてたから楽しみにいつも通ってたのに残念やわ。」

 

 いや知らんがな。色々な意味でホンマに残念やけど。

 

 私「不法投棄が無くなったら又販売再開しようと思っているんですけど。スミマセン。」

 

 最後に私がそう言いまとめると、オバチャンは謝りもせず「あらそう」といって買い物袋をブランブランさせながらその場から去って行きました。

 

 その後、裏で歯を磨いていた妻に「犯人が来よったわ。」と報告。あれだけ燃え上って犯人探しに躍起になっていた私でしたが何故か肩透かしを喰らった感じになってしまいました。

 

 私「なんやねん。ゴミ箱置けとかそういう問題ちゃうやろ。『堪忍な』くらい言ってくれてもええやんけ。ああもう腹立つわ。西友の前で鳥の糞でも落とされろくそう。」

 

 そんな激オコぷんぷん丸(かなり怒っている様子)な私に「しょうがないねそういう事もあるね」となだめてくれる妻。まあ取り敢えずコレでしばらく続いていたモヤモヤが無くなったので良しとするか。そう思って先ほど口から出したコロッケを再び口にいれた瞬間、お店の電話が鳴りました。

 

 私「お電話有難うございます美容室オーキニーです」

 

 電話の主「あ。美容室さん。私さっきの自動販売機のもんやけど。」

 

 電話の主はなんとさっきのオバチャンでした。

 

 オバチャン「帰ってから確かにお店汚してた思うて悪いなぁって思ってん。今度からちゃんと持って帰るからヤクルトの奴入れといて。堪忍な。」

 

 堪忍な堪忍な堪忍な堪忍な堪忍・・・・

 

 それだけ言い残して一方的な電話は切れました。

 

 無駄では無かった。

 

 私の行ってきた行動は無駄では無かった。

 

 山科の神様。世の中に「無駄な事」って本当にないんですね。又一つ勉強になりました。

 

 小学校の時、井出君の妹のスカートを誰も見ていないところでこっそり履いてみて、鉛筆咥えてフラメンゴのポーズを決めた事や。

 

 お〇ンチンの先っぽをつまんでおしっこをして中におしっこを水風船のように溜めてふくらまして我慢した事にも決して無駄では無いんですね。

 

 ありがとうオバチャン。そして何よりありがとうビックル。

 

 さあこれからも全く儲からない自動販売機で地域の為に頑張って安くておいしいジュースたちを販売し続けたいと思います。

 

 

 

 拝啓

 見知らぬオバチャン。

 あの時はわざわざ電話をくれてありがとう。

 帰り道の際上から鳥の糞とか落ちてこなかったですか。

 こちらこそ色々意地悪な様な事してごめんなさい。

 ビックル、美味しいですよね。私も大好きです。

 今すぐ自販機のボタン元に戻そうと思います。

 乳酸菌は体に非常に良いらしいので沢山飲んで体大切にしてくださいね。

 ああそうそう。今度ゲリラ的にビックルを90円で特売しようと思います。

 題してビックルビックリセール。どうです、傑作ですよね。

 オバチャン喜んでくれたらうれしいなぁ。

 

 PS 因みに「うれしい」って女辺に喜ばすって書くんですって。

 

 敬具

 

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2014.01.21

 お久しぶりです皆様。お元気でいらっしゃいますでしょうか。今日は平凡なブログです。

 

 先週末まで最近流行っている「新種の胃腸風邪」にかかっていた病み上がり男斉藤です。

 

 発端は2週間前の娘からなのですが、その後息子にうつったものが私に来て現在妻を襲っています。

 

 そんな新種の「胃腸風邪」ですが、同じ胃腸の病気「ノロ」や「ロタ」「ブルース」ウィルスのように高熱が出たり4,5日に渡り症状が続く、クリスマスの日に何故か運が悪い、と言うほど強烈では無いのが特徴らしく、人によっては平熱のまま終わるので気が付かない人もいるらしいです。

 

 しかし昔から感受性が強く流行りものに敏感な私は性質上、今回の風邪でも熱を上げてしまいました。それと気は優しくて力持ちと言う事も性質に付け加えておきます。

 

 後の症状は風邪と一緒で寒気がして倦怠感が出ると言うもの。そして何より胃腸ですので下痢と嘔吐が止まらなくなります。

                  ・

 ですが私はプロの美容師。お客様に体調が悪い事など微塵も感じさせないプロなので、先週末38度の熱がありましたが平気で営業乗り切らせていただきました。

 

 因みに何故か3人のお客様に「早く良くなってくださいね」とユンケルやリポDを差し入れされました。彼女らは恐らくエスパー。

 

 現在、まだまだこの胃腸風邪が流行っているらしくお医者さんの検診や薬局での処方箋が後を絶たないそうです。

 

 インフルエンザも蔓延しだしているらしく、娘の通う山〇南小学校1年2組では昨日10人の欠席者が出てしまい本日学級閉鎖が決まったそうです。

 

 幸いなことに今年はインフルエンザの予防接種が当たり年らしく、注射をうっているとかからないそうですが、益々寒くなるこの季節、皆様も菌やウィルスにはくれぐれもご注意くださいね。

 

 ちなみに女性、特にお母様方にはわからないでしょうが、38℃の熱は男性、特にお父さん連中にはかなりの高熱になります。

 

 大事な事なので2度言わせて頂きます。メモのご用意を。

 

 お父さんにとって38℃は高熱です。「んなたいそうな」とか言わず優しく接してあげて下さい。

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2014.01.14

 喧嘩をやめて二人を止めて 私の為に争わないで もうこれ以上

 

 おはようございます。末吉末吉末吉末吉末吉末吉、で今年は半吉と言う見た事もないおみくじを引いた前厄男斉藤です。

 

 因みに一緒に引いた奥さんはガラガラから「7番」を引いて棚からおみくじを取りに行き、間違って持って来てしまった「子供みくじ」でも大吉、それを慌てて返却しに行って引き直した「(大人)おみくじ」でも大吉でした。勿論娘も大吉。

 

 さて、冒頭から書きましたが現在私、高校以来の板挟みにあっています。

 

 以前こちらのブログにて「FB(フェイスブック)で松下〇蔵議員と友達になった」と言う記事を書いたかと思います。

 

 私はブログが忙しいので最近はFBを更新していないのですが、その松下さんはお忙しい中やたらとFBをアップなされています。

 

 記事の内容の半分は政治の事なのでチラ見する位なのですが、時折見せる「アニメオタク」っぽい記事に最近ではすかさず「いいね」を押せる仲になって来ました。

 

 そんな平和な日常生活が続いていた中、先日とある方からこれまたFBの友達申請がきました。

 

 豊田貴〇さん

 

 言わずと知れた山科街中ポスターリング四皇の一人です。

 

 で、このメガネの方ですがFBでのアップが又尋常じゃないくらい多いのです。しかも決行「いい人っぽさ」が満載。

 

 申請時のメッセージのやり取りも丁寧で私の中で好感度アップしました。

 

 それからとある時に又見知らぬ方から申請が来ていました。

 

 豊田〇〇さん。女性です。

 

 誰だろう、と思ってページを覗きに行ったところどうやら豊田貴〇さんの奥様でいらっしゃいました。

 

 むう。夫婦サンドイッチ作戦。

 

 こちらの奥さんとの申請時のメッセージのやり取りは、何だかマニュアル通りな文面だったので別に興味が無かったのですが、どうやら私が奥様の日記に「いいね」してしまったのがきっかけな様子で申請しに来られたそうでした。

 

 ご主人OKで奥様×とか「うわコイツ器ちっちゃ」とか思われても嫌なので取り敢えず申請受諾させて頂いたのですが、この方が又FB超アップされてきます。もう毎日の豊田家の献立やら全部わかって私でもカロリー計算が出来るくらいに。

 

 しかも「いいね」の数が半端なく、アベレージ3000件位のいいねを貰っています。

 

 むう。私のアベレージのおよそ100倍やんけ。

 

 そんな中から私の「いいね」を探し出して申請して来られたのは流石に感服。で結局私の中で好感度アップしてしまいました。

 

 

 そこでです。

 

 以前、私の息子が富きくおさんに対して「異常なまでの反応を示す」と言う事をブログに書きました。

 

 昨年の10月に行われた三ノ宮のお神輿の際「吉井あ〇らさん」と言うこれまた四皇の一人が一緒に担ぎ手として巡行していたのですが、この「富さん」「吉井さん」は同じ「自民党」という宗派に所属されています。

 

 で「松下〇蔵さん」は前原清司さんと一緒の「民主党」。

 

 そこに今回新しく加わってきた「豊田夫妻」は大阪市長の橋本さんと一緒の「維新の会」。

 

 関係ありませんが、私が昔からお世話になっていた近所の某焼肉屋のおばちゃん(在日)が「前原さん」に献金してしまっていて問題になったことがありましたが、それ位前原さんが大好きで食べに行くたびに「前原さんを応援しろ」と言われていました。

 

 昨年末の神輿までは私の中では「民主党」だったのが年末のそれから「自民党」へと移り変わろうとしたのですが、松下さんの登場で再び「民主」へ。

 

 もうZARDの「揺れる思い」熱唱したくなって来る位の40歳中年男が今ここに。

 

 そこに登場した「維新の会」。こりゃ大変だ。

 

 酒井泉水さん歌ってるどころではなくなり一気に河合奈緒子(竹内マリア)「喧嘩をやめて」やになっちゃったよ。

 

 と言う事で現在私の中での中間投票数は

 

 自民 347、689票

 民主 380、592票

 維新 359、121票

 ドクター中松   5票   投票率70%

 

 と非常に僅差で争われています。

 

 もうこうなったら、今度行われる選挙には2Bの鉛筆(六角形)の手前側削って「自民」「民主」「維新」って書いてコロコロ転がすしかないかなぁ。

 

 え。そんな動機で投票するのは不純だって思われますか。

 

 だって私は美容師。髪を切るのが精一杯。政治の事は政治家に任せて「人」で応援したいから。

 

 今年も山科の政治は面白くなりそうですね。

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2014.01.08

 こんばんわ。要約少し時間が出来たので久しぶり、と言うか今年初っ端のロングブログを書かせていただきたいと思います。

 

 このお正月休みを利用して妻の実家である長野に5日間程帰省しておりました。今回はその長野で毎年行われる「荻原家(妻の旧姓)の年始会」について書いてみたいと思います。

 

 妻の実家は良く分からないのですが「旧家」で「本家」と言うものらしく、私の生まれ育った京都ではあまりよく見ない習慣や格式が多くあります。

 

 10年前に妻と夫婦になった初めての正月に帰省した時、一族への挨拶を兼ねてと言う事でこの実家で何やら挨拶会の様なモノが新年(年始)会にて一緒に施されました。

 

 実家の造りは、渡り廊下がとても広く、荻原家の先祖代々の写真が仏壇の上にズラァっと並んでおり、仏間、客間、居間などにおいては一つ一つ10畳以上の間取りがあり、ふすまを取り外すとちょっとした宴会場の様になる仕様で、まるで「サマーウォーズ(細田守監督のアニメ映画)」に出てくる旧家そのままな造りになっています。

 

 見た事の無い方のためにコチラがそのサマーウォーズからの一コマ。

 

 で、その10年前の挨拶(年始)会で度肝を抜かれた私。

 

 まず親族一同上の画像のように正座して陳列が基本体勢。その時は確か20人程いた気がします。勿論ご年配者ばかり。

 

 会の初めに本家であるお義父さんから挨拶があり、静かにお酒を注ぎ合う様な宴会が始まります。

 

 途中80がらみの着物を着たお姉(婆)さんが周りから「〇〇お姉さん、久しぶりに踊ってよ」と言う声を掛けられて「えぇ。俺(私)いいよそんな。」とか言いながらちゃっかり用意して持ってきたカセットテープ&デッキから流れる民謡の様な演歌の様な伴奏で踊り始めます。

 

 この間、どのタイミングで御膳に箸を伸ばせばいいのか汁をすすっていいのか分からず只見つめているだけの私。

 

 7割ほど宴会が進むと今度は「詩吟(しぎん)の先生」と言われている叔父さんが、これまたお義父さんの司会により一同静粛にされた後にとてつもなく大きな声で詩吟られます。

 

 「広観は知らないだろうけど、凄い偉い先生なんだよ」と妻から説明を受けた私ですが、勿論詩吟の事なんか一切興味ないし、大きい声だけど「ンノォンノォ」言って念仏にしか聞こえずハッキリ言って何を歌ってるのか分からないし全く楽しくない。

 

 それを聞いている最中お義父さんとお義母さんが一生懸命親戚たちにお酒を注ぎに回っている姿が印象的でしたが、この詩吟がメインイベントな感じでした。

 

 で詩吟が終わるころ、お義父さんが席について「えぇ只今〇〇さんから結構な詩吟(?)を頂きました。」とか何とか言いながら会をまとめ始めます。

 

 その一通りの流れを右も左も分からない私は、チョケる事も笑いを取る事も許されずただひたすら黙って皆様の「畑での出来事」や「今年の収穫の成果」「地元の娘さんにあった身の上話」等を聞きながら頷いているだけの時間でした。

 

 おかげで今でも実家の近所のドラ息子がカンボジア人か何かと結婚して都で夢破れて妻子を連れ帰って来たというハッキリ言って私の人生にとってどうでも良すぎる出来事を覚えさせられています。

 

 

 そして今年もその恒例の年始会が行われることになりました。

 

 しかし今年はどうやら詩吟の叔父さんの息子の「なお君(32歳)」という若者が新婚さんらしく、その挨拶会を兼ねた新年会として一族の会の餌食・・いや歓迎の的になるそうでした。

 

 会が始まると、皆熨斗が貼られた新年の御供え物の様な包みを手に持ってやって来られました。その中に一組の新婚カップルの姿が見えなぜかホッとする私。

 

 新婚である「なお君」はこの会にも何回か顔を出している様子で親戚たちにも面識があるので食事会の際もフレッシュな挨拶を交えながら叔父さん達と話をしていたのですが、その奥さんである「まり子さん」はずっと下を俯いてカチンコチンコになっていました。

 

 で今回の私は、その「なお君夫妻」がいる事で気持ち的にもゆとりが出来て「もう村の世間話を聞かなくて良い」という安堵感から年始会が始まってから終始ご機嫌に、若い人(なお君)達との会話を楽しんでいれました。

 

 会も中盤に差し掛かり、途中お義父さんが私にお酒を注ぎに周って来られた時に

 

 「ヒロミ君。魚やってぇ。」

 

 と声を掛けてくれました。

 

 あれ。結構お刺身食べてるのにもっと食べないといけないのかなぁ、と思いつつ「わかりました。」と返事をして食べ残っているマグロやハマチをほおばる私。

 

 そう。この時の会話が全ての始まりだったとはつゆ知らず呑気にお刺身を食べていたのです。

 

 その後伯母さんや伯父さん達とスキーの話などをして和んでいたのですが、しばらくしてお義父さんがもう一度仕切り始めました。

 

 義父「え~皆さん。そろそろ宴も酣(たけなわ)なので例によって肴(さかな)を頂戴したいと思います。」

 

 その声と同時に席に戻り正座をして姿勢を正す親戚一同。今から何か始まるようですってか肴ってナンだ。

 

 義父「え~皆さんも御存じのように今年は〇〇(詩吟の叔父)さんの息子であるなお君が会に出席しているので〇〇さんがいません。ですので今回はさおりの夫である京都のヒロミ君に、え~一つお願いしたいと思います。」

 

 え何。

 

 義父「じゃあヒロミ君から肴を頂戴したいと思います。」

 

 私「えっと。お義父さんスミマセン。肴ってナンですか。」

 

 義父「前に詩吟の先生いたでしょ。いつもこっちの新年会では中締めとして一人に歌(詩吟)を歌ってもらい、その間に皆でお酒を注ぎあいするんだよ。その時に歌(詩吟)を頂戴する事を肴って言うんだよ。」

 

 

 ナルホド・・・

 

 

 ってちょっと待ていお義父。

 

 私「え。お義父さん私詩吟とか出来ないんですけど・・・」

 

 突然のフリに対して動揺を隠せない私。隣に座っていた親戚の慎ちゃんがすかさず声を掛けてくれます。

 

 慎ちゃん「詩吟じゃなくてなんでもいいんだよヒロミ君。例えば校歌とか。」

 

 校歌って大宅小学校の校歌の事ですか。新年会で「清き岩屋を仰ぎ見るぅ」とか歌うの。長野の新年会のまだそんなに親しくもない人達の前で。美容師である私が。

 

 私「えぇマジですか。お義父さんもうちょっと早めに教えて頂いていたら心の準備も出来たのにそんな一寸待ってください。」

 

 私の頭の中で久しく使っていなかった位の速度でボキャブラリー検索フル回転が始まります。

 

 フルコーラス歌える歌って・・・急げヒロミ時間が無いぞ。

 

 18番の松田聖子はどうだ。

 田舎の親戚の爺婆様の前で歌えるわけないやろ。他にないか。

 テンポの緩い曲でフルで歌えるのは尾崎豊の「アイラブユー」か。

 アホお前、歌詞の「きしむベットの上できつく身体抱きしめ合えば」とか歌う気か。そこらじゅうにご先祖様の写真も飾ってあるし怒られるぞ。

 そんなこと言うたってお義父急過ぎやろ。

 しかし流石に校歌は歌ってられないしなぁ。

 じゃあ何歌うねん。

 

 エンジェルデビル斉藤による緊急会議が行われましたがそんな会議の事など知らないとある叔父さんから間髪入れず

 

 叔父「本当なんでもいいんだよ。なんなら関西だから面白い事やってぇ。」

 

 又何その追加ブリ。

 

 もうねそういうの辞めて。関西だから面白いとか京都だから寺や観光名所知ってるとか。

 

 益々考えがまとまらなくなった私でしたが逆KY(空気を読みすぎる)な私

 

 私「コレ時間かけちゃうと場がしらけますもんね。分かりましたなんでもいいんですね。」

 

 と言って無理やり条件の考えをまとめ上げます。

 

 条件① 長野の人でも知っている歌である

 条件② あまり長いと途中ダレるので簡潔な歌である

 条件③ やや詩吟っぽく歌える緩やかな歌である

 条件④ 爺婆にもわかりやすい歌である

 

 よし。

 

 行くぞヒロミ。あとは野となれ山となれだ。

 

 意を決して姿勢を但し顎を引き天を見上げながら咳払いを一回。そして私の口から出た歌(詩吟)

 

 

 んずぉ~すゎん んずぉ~すゎん ぅお~はなが なぐぁいのぉね~

 

 すぉ~よ くゎ~すゎんもぉな~がいのゆぉ~

 

 何の歌か分かった方いらっしゃるでしょうか。なんと民謡「象さん」です。しかも詩吟風。

 

 時間にして13秒程の私の詩吟「象さん」は、お義父さんお義母さんに「詩吟中周りにお酒を注ぎにまわる」と言う行為をするのに余りにも短すぎたようで、結局途中で慌てて自分の席に戻らせるという結果に終わってしまいました。

 

 又詩吟中、妻や妻の姉、なお君夫妻等若い連中は終始下を俯き顔と耳を真っ赤にして笑いをこらえているのが分かりましたがご年配の方たちは難しい顔をされているのが見えました。

 

 恥ずかしかろうが情けなかろうがとりあえず任務完了。これであとは町内会長のように役は当分回ってこない、とホッと胸をなでおろし取り敢えず挨拶をしました。

 

 私「皆様、何かおかしな空気になってしまってスミマセン。」

 

 義父「え~(笑)今ヒロミ君から結構な肴を頂きました(笑)今年もこれを機に荻原家の益々の発展を願いたいと思います。」

 

 対面を見ると未だ肩のあたりをぴくぴくと動かしている耳が真っ赤なまり子さんが見えました。そんな安息な景色もつかの間の事

 

 義父「それではヒロミ君に返し刀でもう一曲肴をお願いしたいと思います。」

 

 ふむ。

 

 ちょ。マジで。

 

 二回目あるのこの羞恥プレイ。いやひょっとしてのアンコール。

 

 私「ええ。まだ歌うんですかコレ。もう十分やった感がありますよ勘弁してください。」

 

 義父「いやいや。ホントなんでもいいからお願いしますうん。皆も待ってるから。ね。」

 

 そして即座に姿勢を正して目を瞑(つむ)り出す荻原家一同。もうマジで逃げ出したいッス。ここでしか言えませんが本当に心の底から嫌でした。

 

 

 

 でまさかの2回目。もうさすがに象さんは使えない中私がチョイスした歌

 

 さかなさかなさかな~魚~を~食べぇると~ あたまあたまあたま~頭~が~よくぅなる~

 

 そうです。一時期スーパーの魚屋さんで良く流れていた「お魚天国」です。

 

 理由は「魚」だから。

 

 しかも魚~くらいからなんだか情けなくなって来て何故か笑いをこらえきれなくなり、レコード大賞をとった時の松田聖子様の様な歌にならない歌になってしまいました。

 

 

 歌唱中皆の顔やお義父さんたちの動きが見えてしまうと辛くなるので今度は目をつむっての挑戦でした。途中、誰からか「くっ」「ぷっ」等と言う笑いを我慢している声が聞こえてきました。

 

 本来ならこのお魚天国「頭が良くなる」の後は再び「体にいいのさ」とBサビに突入するのですが、最後まで歌いきる自信が無かったので間を端折(はしょ)りました。

 

 よくぅなる~ 【続き】さ~あ~ みぃんなでぇ さかな~を~食べよぉ~ 魚がぼくぅらを~ 待ってぇいる~ ちぇちぇちぇちぇ 

 

 おうっ

 

 ここは長野。周りは見渡す限りの雪景色。空気は澄んで静まり返り、歴史のある旧家にて姿勢を正すご年配方の前、完全アウェイのオッサンが昼間から象さんにお魚天国を詩吟風に熱唱。これ何の罰ゲームか。

 

 もう先ほどまでの心の余裕が無く、詩吟風にもならない状態。とにかく早く終わりたかったの。 

 

 そして「ぷっ」「くっ」聞こえる中、静かに目を開けると真っ赤な顔をしたまり子さんの横で妻がお腹を抱えて泣いており、その他の年配の親戚たちも何故か下を俯いた状態になっていました。

 

 しばらく沈黙が続いて、大きく息を吐いてからお義父さんが笑いをこらえながら

 

 「ヒロミ君、いやぁ結構な肴を頂戴しました。ありがとうございます。」

 

 との挨拶があったのですが、その言葉が余りにもおかしく聞こえて一同こらえきれず大爆笑。

 

 慎「いやぁわははヒロミ君。流石だねぇ良かったよ」

 

 狙った訳じゃないから流石でもなきゃ良くもねえよ。

 

 いつもは詩吟でピシッと締めくくられている荻原家の年始会の黒歴史を作り上げてしまいました。

 

 しかしこの「肴」が終わってからは「まり子さん」に何となく笑顔が出てきた様子で結果オーライだったのですが何とも言えない気分になっていました。

 

 皆様も今後の人生の中でもしもの時が来るかもしれません。

 

 カラオケの様なハイテク機械に頼ることなくソラでフルコーラス歌える持ち歌を「アップテンポ」「スローテンポ」に分けて持っていた方がいいでしょう。

 

 もう二度とこのような事は起こらない、と言うかあってはならないと思いますが、私も念の為に現在「朧(おぼろ)月夜」の歌詞を覚えた所です。

 

 他人事だと知らぬふりを決めずちょっとだけ練習してみてくださいね。

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2014.01.04

 おはようございます。お正月休みも愈々終わりに近づいてきました順調に体重を増加させている男斉藤です。

 どう言う訳かタブレットや携帯からのブログの更新が出来なくてやむを得ず、メールで本文を打ち込んでからコピペにて貼り付け作業を行っております。

 ですのであまり長文が打てないので、取り敢えず「お年玉キャンペーン」の結果だけでも手短にご報告します。

 今回も多数応募頂きましたが、99から90の間に応募が殺到する結果になってしまいました。

 そんな中、なんと99が一人だけだったという結果で見事当選された○田様、おめでとうございます。

因みに95が最も多く8人の応募がありました。

 そしてクイズの答えですが、私が昨年感動したケーキ屋さんは「バイカル」でした。

 つまらないブロクの書き方になってしまいましたがとりあえずの報告で、又営業再開した暁には前回バリビリで長野で起こった事件などから順に更新したいと思います。

 では今からインストラクターであるお義父さん達と怪我しない程度に肩身狭くスキー滑ってきますね。

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