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2017.05.17

  小学生の頃同級生でHさんという女の子がいました。

 

 その子はいつも右手の人差し指に大きな指輪をはめていました。

 

 その指輪にはとても大きな緑色の何やら勾玉のような宝石がはめ込まれていました。

 

 ヤンキーの同級生がアクセサリーをして登校すると先生に怒られて没収されていたのにもかかわらず、Hさんのそれは特別扱いされていました。

 

 「Hの指輪は仕方がないんや。」

 

 Hさんは普通の子供にはない能力を持っていました。

 

 人ではないものが見える。この世の人ではない人と会話が出来たりする能力を持っていました。

 

 Hさんのその能力を目当てにいわゆるこの世の人ではない人たちが何かを伝えて欲しいらしく、Hさんの元に寄って来るとの事でした。

 

 Hさんはその環境をとても毛嫌いしていたのですが、その指輪を身に着けていると、その人たちが近寄って来なくなったそうです。

 

 ですので学校の先生たちもHさんの指輪は特別に許可してあげていたそうでした。

 

 小学校の頃、Hさんは何かと頼りにされていました。

 

 例えば牛尾山に適応遠足に行った時もHさんが「あっちの方にはいかない方がいい」なんて言おうモノなら

 

 「おぉいお前ら、いいか。あっちには絶対行ったらあかんぞ。」

 

 と担任の先生が隊を止めてまでメガホンを使用して注意を呼び掛けてました。

 

 その後、Hさんがプールの授業を見学しても「Hが休むには水の中に何かある」。筆箱にティッシュを敷き詰めていても「鉛筆の汚れが筆箱につくと早死にする」等と皆の信頼を鷲づかみにしていました。

 

 私はそんなHさんを見て「なんか悔しい。けど、いいなぁ。」そう思っていました。

 

 

 お久しぶりです皆様。最近スランプに陥ってしまっていてブログの更新をさぼっていました。

 

 どうやらご先祖様が明智光秀らしい男斉藤です。

 

 皆様の周りにももしかしたらいらっしゃるかも知れませんが、世の中には普通の人では持っていない能力を生まれつき持っている人が沢山いらっしゃいます。

 

 冒頭で書いたHさんのように霊体が見えたり、どこかの国のおばさんみたいに動物の考えている事が分かってしまったり。

 

 私は昔からそういった「超能力」を持った人にあこがれを持っていました。

 

 自分は選ばれた人間で、いつかその能力が覚醒して世界中をあっと驚かせることを成し遂げるであろう、そう信じていました。

 

 今年で43年。その思いは届くことなく、そして実現することなく今日に至ってました。

 

 至っていました。

 

 先日のゴールデンウィーク中に食中毒にかかりました。

 

 原因は焼き肉の玉ねぎを食した事によるものだと思われます。

 

 私は1年に一回は食中毒にかかっています。

 

 始まりは東京時代に酢味噌で食べた豚足。

 

 それ移行、ありとあらゆるシチュエーションで食中毒にかかってきました。

 

 今は無き外環五条のモスバーガーで照り焼きチキンを食べ中毒症状を起こし、その結果モスバーガーを閉店に追いやってしまったかもしれないという癒しきれない心の傷を持っています。

 

 食べ物に当たると、大体4~5時間ほどで悪寒、吐き気、倦怠感、下痢や嘔吐と言った症状が出始めます。

 

 何度も経験したおかげで、私の場合は食べている時は何ら気持ち悪さを感じていなくても、食後30分で

 

 「あ。これはもうすぐ食中毒の状態になるな。」

 

 と言う事が分かるようになりました。今のところは的中率は100%。

 

 先日気が付きました。

 

 これはある種の私にだけ与えられた超能力ではないか。

 

 「この後確実に食中毒になる事が人よりも早く分かる」という能力。

 

 先日も一応寝る前に妻に

 

 「俺、ひょっとしたら明日食中毒症状出るかもしれんわ。」

 

 と言ったところ、妻は

 

 「えぇ。ホントに。ヒロミが言うんなら多分明日ダメかもね。」

 

 とやたらすんなり信じてくれました。

 

 あこがれていたHさんに一歩近づいた感じがして良い感じ。

 

 そして数時間後に下痢になるタイミング、発熱するタイミング、脱水症状に陥るタイミングなども全て的中。

 

 モンキーDルフィーの世界がもし本当にあるとしたら、これはもう私が幼少の頃ゲリゲリの実かオエオエの実を食べたとしか考えられない。

 

 残念な所は未だ今のところ覚醒しきれていないので、食べる前に解かるわけではなく、自分一人にしか効力を発揮しない能力であり、誰にも理解されないであろう能力と言う事です。

 

 しかし極めれば、いつの日か「オーキニーの斉藤が言ったから間違いない」から始まり、世界中の著名人から大事な日の前日などには毒味的な要素として必要とされ、その結果あらゆる食品やお店から「オーキニーマークのお墨付き」というマルちゃんのマークのような安心をお届けできる唯一無二の絶大な信頼をもらえる印籠なようなモノとして、世界貢献出来るようになる能力だと思います。

 

 世の中にもこういった人にはわかってもらえない超能力を隠れ持っている人たちが五万と、そしてこのブログを見ている皆様の中にも超能力の片鱗だと気が付いていないだけで十分にそれらの要素を持っている方が多くいるのです。

 

 車を運転中、トンネルに入ると出るまで息を止めてしまったり、横断歩道を渡っている時白線の上から足がはみ出ると死んでしまうと感じてしまい、白線の上だけを歩くような使命感を感じてしまったり。

 

 ひょっとしたら今、貴方様のそのスマートフォンを持って下部を支えている、小指の第1関節部分がスマートフォンの形に凹んでいるのも能力かも。

 

 問題は力の大小と言う事ではなく、その能力をどう世の中の役に立てていくかと言う事。

 

 それは一生を通して探していく大冒険そして使命。ひとつなぎの大秘宝は必ずあるのです。

 

 と言う事で最近温かくなってきていますので、皆様くれぐれも焼き肉の際、お皿を早く片付けたいからと言って横着にお肉と玉ねぎにタレを混ぜてボウルの中で2時間程空気にさらしたり、ボウルに残った玉ねぎの端切れを半焼きの状態で食べないようにご注意を。

 

 あと、もう何を書いているのか良く分からなくなってますのでもし尾田栄一郎さんがこのブログを見ていたら許してくださいね。

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2017.05.05

 おはようございます。朝の通勤の際のボランティアの旗のオッチャンに、いつか子供たちに言うのと同じように元気よく「おはようさん」と言ってもらえる日を夢見て一方的に笑顔で挨拶をしているめげない男斉藤です。

 

 今回は他ならぬオーキニースタッフである平成生まれの太郎君に捧げるブログです。

 

 どうでもいい事を何故か気が付くといつも知識として取り入れている事って人生で多くありますよね。

 

 私のお師匠さんが昔「1を聞いて3を知れ」と教えてくれていました。

 

 読んで字のごとく、1を聞いて・・とは教えてもらった事だけで終わらず、その後に続き+αを知ろうとする事、そしてその+αから又派生するような新しい考えを持つ事が大事と言う有り難い教えです。

 

 私はその教えを勝手に曲げて「1を聞いてA、B、Cを知る」という術を体得するようになりました。

 

 例えば極めるとテレビゲームを購入したことを最終的にお客様の恋愛話の相談に乗れるようになれるまで引っ張っていけます。

 

 これが理解出来たら、太郎君に以前話して欲しがっていたオーキニー検定3級メダルを授与します。

 

 「まったそんなん広観さんどうやるんすか無茶苦茶ですよ。」

 

 今の段階では、そう言うであろう君に今回は実体験を元に一つの流れを載せておきます。

 

 以前私は「ニンテンドースイッチを購入した」と言ってましたよね。

 

 説明させていただきますとニンテンドースイッチとはファミコンの流れを組む最新の家庭用テレビゲーム機です。

 

 美容師ならば趣味なら何でも形から入り準備が整ってから始める事が基本です。

 

 例えば私の経験から言うと、ギターなら弦(線の部分)のストックを始め、アンプ(音を大きくさせる機械)やギターチューナー(音を合わせる機械)、ピック(はじくアイテム)だけではなく、メトロノームまで購入してから要約3コード(基礎的な技術)を覚え始める、という感じ。

 

 と言う事は「ニンテンドースイッチ」を購入した美容師がそのオプション品を買いあさり集める事はごく自然な流れです。

 

 オプション品を探すため、Googleの検索で「ニンテンドースイッチ」と打ち込む毎日が続き、インターネットを開くたびに至る所にニンテンドースイッチ関連の広告が出るようになるのもしかり。

 

 先日、ゲームのコントローラーを充電する機械を発見しました。

 

 

 HORI Nintendo Switch対応 Joy-con充電スタンド NSW-003。

 

 これは必須アイテムですね。

 

 そう思い立ちまず私は「NSW003」とAmazonで検索してみました。

 

 するとお目当てのモノも出てきたのですが、その他に「オカモト003」と言う商品が多数検索に引っかかってラインアップとして出てきました。

 

 太郎君も愛用してたかも知れませんが、オカモト003とはオカモトと言う会社で作られた有名なコンドームでした。

 

 学生の頃、使う機会すら無かったこのオカモト産のアイテムを、大人っぽい友達を連れてわざわざ隣町までドキドキしながら買い付けに行った太郎君の姿が目に浮かびました。

 

 更に精神を研ぎ澄ますと、レジで待っている女性店員さんの前に持って行くまで時間を費やし、買う必要のないバンドエイドやリップクリームと一緒に持って行ってまで手に入れたソレを、3年と言う年月の間練習用として封を解かれた一つ以外、本来の役目を果たすことなく全てゴミ箱行きになったところまで見えてきました。

 

 さておき昔入手が困難だった厄介な商品が、こうやっていとも簡単にネットにて親や友達に気づかれる事なく自宅に届けられる。そんな時代になったんだなぁと関心しました。

 

 しかも今では種類も多彩で、アロエやヒアルロン酸まで入っているものだけでなく、リラックマのパッケージまである事を知ります。

 

 そしてラインアップを何となく見ているとレビューの数が一般の商品より多い事に気が付き、更なる知識として勉強のためにレビューを覗いてみました。

 

 勿論、愉快犯も混ざっている事と思うので本当の所どうなのか分かりませんが、レビューを見ていると「昔とは性についての感覚が変わってきたなぁ」と自分が古い人間になってきている事を感じずにはいられませんでした。

 

 その中で他社製品との違いをとても分かりやすく書いているレビュワー(レビューを書いている人)がいたので、その製品を流れで興味から見比べに行きます。

 

 そんなこんなで気が付くと何故か小1時間ほどコンドームの勉強に没頭。

 

 そこから「今時の若い人はそれほどまでに性に関して軽く考えているのか」と疑問を感じて、検索に「今時 若者 セックス 認識」と入れて調べに行き若い人達の間で、結婚する前からセックスレスに落ちているカップルが多くなっている事を知ります。

 

 そして更に、最近の若い男性(草食系男子)が「食事や旅行先の写真をlineやメールで送って来た」場合は、相手の女性に脈がある、と言う事を知ります。

 

 これは彼氏が欲しいと言っている人に使える知識だ、と思いそこから最近の男の子を口説くテクニックについて、更なる探求を始めます。

 

 ほらごらん。

 

 ニンテンドースイッチのアイテムを探していた結果、最終的にはお客様の恋愛の話に役立つ情報にたどり着いています。

 

 これが私、というかビューティーサロンオーキニーの「1を聞いてCを知る」の真髄です。分かってもらえましたでしょうか太郎君。

 

 人と同じことをやっていては、自分発信の新しい考えやアイデアにはたどり着けない。

 

 「真似をしたい事を見つける人生」よりも「真似をされたいと思われるようなことを、簡単に真似ができないように作り出す人生」、そういった道を選んで行く事にこそ意義があると偏った考えを持つ事も時には大事だと思います。

 

 まだまだお互いに始まったばかり。これから少しずつ紐解いていきましょう。

 

 因みに次の日から、私のAmazonのホーム画面に大量のコンドームが紹介されることになりましたので万が一妻からあらぬ疑惑をかけられた場合は、どうか経緯に至った説明のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

 

 斉藤広観さん あなたに観覧履歴からのお勧め「サガミオリジナル極薄」。

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2017.04.26

 お疲れ様です。斉藤です。

 

 少し真面目な話です。

 

 Amazonというネットのショッピングサイトをご利用されている方はいらっしゃいますでしょうか。

 

 私も便利なので店の消耗品から私物に至るまで殆どをAmazonにて買っているのですが、どうも最近かなり悪質な中国による詐欺グループが絡んでいるらしく被害が拡大しています。

 

 やり口は色々あるそうなのですが、とにかく「この商品かなり安いな」という金額で販売元が「Amazon」ではなく「マーケットプレイス」と呼ばれる、いわゆるAmazonではないお店からの委託商品から出品されているモノに多いようです。

 

 例えば通常5000円くらいする人気の商品がマーケットプレイスから3000円くらいで出ていたりします。

 

 Amazonを利用されている方で「カートにいれる」ボタンを押す際、その商品に「PRIME」という青い文字が入っていたりすると安心してクリックしてしまうかもしれませんが、そこで一端ストップしてください。

 

 どうやら詐欺グループがその店のアカウントを乗っ取り、物もないのに勝手に出品だけして、いくら待っても商品が届かないという事態が急増しています。

 

 勿論Amazonの保証制度が適用されて、騙されてもお金は戻って来るらしいのですが、どうやら「個人情報」を抜く事だけを目的にしているらしいのです。

 

 私の知人もつい最近やられたらしくて不安がっていました。

 

 とにかくこのようなブログをご覧いただいている方の中には、ネットショッピングを利用されている方は少なくないと思ったので早急にお知らせいたしました。

 

 一応こちらに詳しく書かれた記事やサイトも載せておきますので皆様お気を付けください。

 

 アマゾンで詐欺業者が横行

 

 【緊急警報】Amazonで世界規模の大中華詐欺が勃発中

 

 アマゾンで「詐欺」不安広がる

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2017.04.23

 おはようございます斉藤です。ブログの連投失礼いたします。

 

 昨日我が家にもニンテンドースイッチが届きました。

 

 届く前から「どうやったら妻にバレないようにリビングにあたかも昔からあったように自然に設置できるか」という事を模索していました。

 

 幸いなことに昨晩は妻が夜友達と親睦会に出掛けるとの事で千載一遇のチャンスでした。

 

 子供たちにきつく口止めしました。

 

 これはお父さんとしーちゃんと蒼君だけの秘密だよ。

 

 子供たちはキラキラした目でウンと笑顔で言ってくれました。

 

 今朝。早朝五時半に息子が寝室に乱入してきてフライディングボディーアタックをかまされました。

 

 早くニンテンドースイッチをやらせろとの事でしたが当然ながら断りました。

 

 息子が渋々退室した30秒後。今度は妻が寝室に入ってきました。

 

 「お父さん。蒼君がなんか内緒で昨日買ったスイッチゲームをお父さんが出してくれへんって泣いてたよ。内緒のスイッチゲームってゴミ箱に捨ててあった納品書の任天堂の奴の事でしょ。」

 

 もう二度と息子に内緒の話は持ち掛けまいと心に誓いました。

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2017.04.22

 やましなす、そしてやましなせ皆様。

 

 皆様は、ご自身の旦那、もしくは父親について日頃どのような存在だと認識していらっしゃいますでしょうか。

 

 男の懐は、決して図り切る事が出来ないドラえもんの四次元ポケット。

 

 例えば綿棒と男の関係がそうであるように。

 

 お風呂から上がってきたご主人(又は父親)が綿棒で耳を掃除している、そんな風景はどこの家庭でも見る事の出来る光景だと思います。

 

 しかしその光景の裏に色々なドラマがある事をご存知でしょうか。

 

 父もしくは夫には「家族には見られない影の努力」と言う行動が常日頃から多くあります。

 

 今回はそんな男の影の努力を少しでも多くの女性陣の方に認識していただきたく思い、私のケースで一例としてご紹介したいと思います。

 

 斉藤家は妻と子供達の寝る時間は毎晩21時半前後です。

 

 私が家に帰る時間がいつも大体8時頃になるのですが、その時間には既に私以外の家族はお風呂と御飯を終えて歯を磨き始めています。

 

 私が家に着き晩ご飯を食べてから晩酌をしていると皆「お休みなさい」と言う声と共にリビングを出ていきます。

 

 なんとなく寂しいです。

 

 しかし毎週金曜日の夜だけは、娘(小5)が「明日は学校がお休み」と言う事で少しだけ夜更かしをしてくれます。

 

 ですので金曜の夜は私にとって少し嬉しい夜になっています。

 

 ところが最近寝る前の洗濯が私の日課になり、あまり遅くまでのんびりしていると洗濯を干し終わるのに0時を回ってしまうので、娘が起きてくれている時間にお風呂に入るようになりました。

 

 心優しい娘は自分が寝る前に私がお風呂に入っている際、必ず「お父さん先に寝るね。お休み」と挨拶をしにお風呂の扉を開けに来てくれました。

 

 先週の金曜日、いつものように娘と少し遊んでからお風呂に入ると、先に入った息子が目一杯暴れたのか、湯船の水位がいつもより下がっていました。

 

 それを見て、とあるアイデアが浮かびました。

 

 お休みを言いに来た娘がお風呂を覗いた際、驚かせて笑かしてやろう。

 

 「お父さんお休みってウッワ、お父さんおらへんやんどこいったん」。

 

 簡単に説明すると、お風呂の蓋を占めて隠れん坊をする、と言うどこの家庭の父親でも行ってる些細な悪戯です。

 

 「なんや隠れてたんやん。お父さんやっぱメッチャおもろいなうふふ。」

 

 私の頭の中で描かれる完璧なシナリオ。

 

 と言う事ですぐに挨拶に来てしまうといけないので、久しぶりにコンテスト並みのスピードで頭と体を洗い入浴しました。

 

 肩まで湯船に浸かった後、そのままズズズっと体をずらして顔だけをデスマスクのようにお湯から浮かばせて、ウキウキでお風呂の蓋をその上に覆いかぶさりセット完了。

 

 お湯の中に浸かった耳で、ガスが流れる音や微かに響く隣の部屋の生活音を聞きながら、もう少しこの事態を楽しみたくなりました。

 

 娘が洗面所に入ってきたのを音で即座に確認して、お風呂の扉を開けるまでの数秒間をもドキドキしたい。

 

 何とか片耳だけでもお風呂の外に出せないかと身体を左にひねってみました。

 

 右耳がお湯の外に出て、近くの音がコーッとよく聞こえるようになりました。

 

 しかしここで失敗に気付きます。

 

 扉の方向の音を聞きやすく右耳を出した事で、顔が壁の方を向いていてしまっていました。これでは娘がお風呂の蓋を取ったときのビックリした顔を見れないでは無いか。

 

 と言う事で物音を立てないようにゆっくりと体を逆の方向にひねって左耳を出してみました。

 

 結果、良く聞こえてくるであろう周りの音ではなく、なんだか左耳の奥底でゴロゴロという音が聞こえてきました。

 

 水侵入 in 耳。

 

 扉とは逆の方に向けられた私のゴロゴロでは、生活音どころかガチャッさえも聞こえなくなる。

 

 と言う事で止む無しに再び元の右耳を出すために体を傾けなおしました。

 

 もうお分かりですよね。

 

 そうする事で両耳がバランスよくゴロゴロなる事なんて誰でもわかる事。

 

 愚かな私は両耳がゴロゴロした状態を耐え忍びながら「まだいける」「いやもうヤバイ」という葛藤と戦う事になりました。

 

 許される事なら今すぐ一度開放されたい。片足立ちで頭傾けてコンコン叩きたい。

 

 しかしそれでガチャッなんて展開になったら、すべてが水の泡と化す可能性も否めない。

 

 全ては娘の笑顔のために。

 

 アサヒスーパードライのキャッチフレーズに似た私の愛情が、ゴロゴロと真正面から向き合う事を私に決心させてくれました。

 

 そんなこんなしているうちに気が付くと20分程が経過。

 

 何となく息苦しくなってきました。

 

 頭も逆上せ始めてきました。

 

 限界を感じました。

 

 しーちゃん(娘)ごめんなさい。

 

 ゴロゴロに負けて湯船を出ました。

 

 湯船から出て真っ先に片足立ちでトントンする私。

 

 ボーッとした頭のままとりあえずバスタオルで簡単に水気を拭った後、リビングへの扉を開けて断腸の思いで娘の安否を確認してみました。

 

 リビングには既に娘の姿は有りませんでした。

 

 洗面所で寝るための身支度を済ませてリビングに戻り、テーブルの上に目をやると一枚の娘からの手紙が書置きされているのに気が付きました。

 

 「お父さんお休み。お風呂長かったね。早く寝ないと明日お仕事頑張れないよ。」

 

 私の心を温かくさせるはずの文面に、少し穴を開けられたのを感じてしまいました。

 

 そしてその後、ティッシュボックスの下の引き出しから探し出した綿棒を使って耳を掃除しながら、洗濯が終わるのを待ちつつ残っていた焼酎を飲み干しました。

 

 翌朝。リビングでは昨晩の出来事など何も知らない家族たちが起床して朝の挨拶を交わしていました。

 

 「お父さんおはよう。昨日お風呂ゆっくり入れたやろ。ウチの手紙みてくれた。」

 

 「お父さんおはよう。アオクンな。昨日カレー二杯お替りしてん。」

 

 いつもと同じ変わらない時間が流れていました。

 

 そんな中、妻があるモノを発見して声をあげました。

 

 「あぁ。誰これ。テーブルの上の綿棒。もう。誰か知らないけど使ったらキチンとゴミ箱に捨ててくださぁい。」

 

 何をコノ。

 

 人の気も知らないで。というか使ったの誰か分かってるくせに。

 

 横目で私をチラッと見ながら綿棒を即座にゴミ箱に捨てる妻を見て、昨日の夜の一連の壮大な物語の流れを言い訳しようとする私がいましたが、彼女にはきっと伝わらないと思い踏みとどまりました。

 

 一所懸命だと知恵が出る、中途半端だと愚痴が出る、いい加減だと言い訳ばかり。

 

 私は妻に犯人が誰かを知っている事も言わず、ズズッとコーヒーをすすりました。

 

 いつかきっと妻もテーブルの上に置かれた捨てられていない綿棒を見ただけで「ああ。昨日ヒロミ頑張ってたんだな。」そう感じ取ってくれる日が来る事を信じながらズズゥとコーヒーをすすりました。

 

 いつもより苦い味がしたコーヒーは、私の心に「そんな事で挫けるな」と精一杯香りで励まし、私にそれに答えられるよう成長する事の大切さを教えてくれました。

 

 このブログを見ている皆様にお願いしたい事があります。

 

 トイレの便器の便座が上に開けられっぱなしになっていたり、玄関の靴が揃っていなかったり、電動シェーバーの棚にコマかい剃り後のヒゲ屑が落ちていたり。

 

 ご主人やお父さんが犯人であろう「主婦をイラっとさせるに十分に値する出来事」が、日常には数多く存在すると思います。

 

 でもそんな時どうか海のように深い心で、その裏にある物語を感じ取ってあげてください。

 

 ひょっとしたらそれらも家族を守るために「その犯人」が身を挺して行った勇気ある行動の結果の一つかもしれません。

 

 どうかよろしくお願いいたします。

 

 因みに「海」と言う漢字の中には「母」と言う文字が入っています。

 

 昨晩夢の中でまたもや世界を大きな愛で救い枕を涙で濡らしてしまった男斉藤でした。

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