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2020.05.06

 カムチャッカの若者がきりんの夢を見ているときメキシコの娘は朝もやの中でバスを待っている。 

 

 やましなす皆様。身の回りで親しい方たちはご無事でいらっしゃいますでしょうか。

 

 朝はリレーします。していくのです。みんなで地球を守ろうと谷川俊太郎さんも言っています。

 

 くだらない事に反応して頂く為、今日も明日もくだらないブログを書かせて頂く男キン肉マンのミート君です。

 

 先日とあるお客様が、キャンペーン開催時からついに恐れていた演歌を店内BGMとして所望されました。

 

 久しくカラオケに行っておらず心が寂しくなってきたとの事でしたので、快く受諾させていただきました。

 

 しばらく聴き入っていらっしゃったのですが、心が乗って来たらしくボリュームを上げてとお願いされました。

 

 おおせのままに上げました。

 

 お店では、密室対策の為に窓は表と裏両方とも全集中の全開放されていました。

 

 つぎの日庭掃除をしていると隣のご主人が声を掛けて来られました。

 

 ニ三会話を交わしていると、思いだしたかのような笑顔になられてこう言われました。

 

 おはようさん。昨日ええ曲お店で流してたね。

 

 お言葉をシッカリと受け止めました。

 

 先日、いつものように朝起きて掃除をすまし、7時過ぎから店の真ん中で汗だくになりながら日課となった筋トレをしていました。

 

 筋トレの種類の一つに「バンザイコシフリ」というトレーニングがありました。

 

 サザエさんのエンディングでネコの「タマ」がリンゴを持ち上げて踊る例のあれです。

 

だって楽なんだもん

 

 掛け声に合わせて両腕を上げながら腰を振りまくっていると、対面の鏡にかすかに人影が見えました。

 

 振り返ると誰もいませんでした。

 

 その翌日、息子と遊んでいるとバトミントンのシャトル(羽付き玉)がお向かいの家に飛び込んでしまいました。

 

 二人で謝って取りに行きました。

 

 取りに行くといつも無口なご主人が出て来られました。

 

 シャトルを奥に取りに行ってくださり、息子に手渡してくださいました。

 

 ご主人はマスクを着用はされていたのですが、私の顔を見て少しニヤリと笑われました。

 

 そして今朝筋トレをしている際、そのご主人が外を掃除している姿がありました。

 

 恐らくタマチャンダンスを見られていたのは彼だと理解しました。

 

 私の心のどこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴った気がしました。

 

 こうやって近隣住民の中で「やばい奴」という認知が高くなっていくのであろうと実感しました。

 

 お二方、いやお二家族には時間をかけて理解して頂こうと思っています。

 

 朝を迎える度に物語が始まります。

 

 この地球ではいつもどこかで朝がはじまっている。

 

 谷川俊太郎さんの「朝のリレー」を知らない方を置き去りにしたブログでしたが今日はこの辺で。

 

 今日も交替で地球を守っていきましょう。

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2020.05.01

 やましなす皆様。あれだけ嫌がっていたワイドスクワットが段々快感に変わり始めた男斉藤です。今朝は36.5℃です。

 

 いよいよ五月が始まりましたがご家族や親しい友人はご無事でいらっしゃいますでしょうか。

 

 営業中にマスクをかけ始めてから早いもので2ヶ月が経とうとしています。

 

 こんなのを小、中、高校と11年間も我慢してマッポの手先になったなんて、南野陽子さん演じる2代目スケバン刑事麻宮サキさんて並大抵な精神力ではありませんね。本当に何の因果だったのでしょう。

 

 もといもうそろそろお客さまの中にも、マスクに隠され続けている我々夫婦の顔を忘れ始められたら方もいらっしゃる事と思いますので、キリの良いこの辺りで一度顔だけでもアップしておきます。

 

懐かしいなオイ

 ラブラブの時期だったと思われます。

 

 こういう時期もあったのかと振り返れる年になった17年前。

 

 この時はまだお互い優しい言葉を掛け合える仲だった記憶があります。いやどうだったかなちょっと自信無くなって来たぞ。

 

 思い出を胸に、本日もコロナ離婚されないよう気を使いながら楽しく仕事頑張ろうと思います。

 

 皆様も挫けず頑張ってくださいね。

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2020.04.25

 やましなす皆様。ご家族お知り合いその他付近の親しい方々の状況はお変わりないでしょうか。

 

 私の家族と私の愛するお客様方のご無事を心よりお祈りしつつ、今回も私に出来ることを精一杯くだぶらせて頂きます。

 

 最近顎の肉が減り、お腹の横の肉が凹んできた男斉藤です。

 

 毎朝欠かさず筋トレという名の皮を被ったただのテレビゲームをやること二週間。

 

 なんだか筋肉痛や「もう無理ぃ後三回無理ぃ」と追い込まれるのも満更では無いと感じ始めた今日この頃。

 

 もうすぐ美容室内で長渕剛の歌を流しはじめ、サイズ小さめの迷彩柄のランニングを着てカットをし始める可能性が3%程出てきた自分に恐怖しております。

 

 あ。若い人には「タンクトップ」と書いた方がわかり易かったか。

 

 シリーズ斉藤家の夜。

 

 最近、毎朝8時過ぎにリビングに上がってきてバスタオルで頭を拭きながら牛乳を飲んでいる私の姿を見て、息子も感化され始めた様子で、近頃ワケの解らない行動を始めました。

 

 我が家はローテーブルにローソファーという目線の低い生活を好んでしているのですが、先日晩御飯中に息子がステーキの如くいきなり立ち上がりました。

 

 何事かと思って動向を見ていると突然頭をたたきはじめました。

 

 気でも狂ったのかと心配になり、腕を止めに掴むと「お父さんはなして。あおくん今しゅぎょう(トレーニング)してるから。」と真面目な顔でにらまれました。

 

 その後彼は再びステーキの如く片手でこたつテーブルの端を掴み、もう片方の手でローソファーの背もたれ部分の端に腕をピンと伸ばして体操選手のように脚を空中に上げて前に突き出し、プルプルと震え始めました。

 

 急に息子の将来が不安になり大丈夫か、と声をかけた所、さわらんといてとの返事が。

 

 吊り輪のポーズをやめたかと思うと、顔の赤みがとれてきたのを見計らって今度はリビングの壁に向かって「ト」の形の斜め棒になるように、棒立ちの状態のまま頭の先を壁にもたれさせ、直立不動で瞑想し始めました。

 

 「そ、それも修行か。」

 

 そんなささやか過ぎる私の問いに彼は答えることなく、20秒程たってからでしょうか。旅立っていたと思われる遠くの国から帰ってきた様子で目を開けて、私に飛び切りの笑顔を向けてくれました。

 

 「どうや。修行はきつかったか」

 

 笑いそうになるのを抑えながら精一杯絞り出した私の問いに

 

 「うん。3レベ(※レベル3つ分)くらい上がったわ。」

 

 と得意気な顔で今度は答えてくれました。

 

 そんな弟に対して最近思春期になりはじめた娘が「ウッザ(※ウザい)」とスマートフォンの画面を見ながら冷たく言い放ちます。

 

 3レベル上がってしまった息子はそれに動じることなく「しゅぎょうのせいかをみせてやる」と言いながらスプラトゥーン(テレビゲーム)をやり始めました。

 

 3レベル上がったはずの息子が無惨にも相手チームにボコボコに負けてしまい、かける言葉がすぐに出てこなかった父親の罪はどれほど大きかった事でしょうか。

 

 でも大丈夫。私は大人で、反省を活かすやり方や考え方を今までの人生で学んできました。

 

 過ぎたことは仕方がない。問題は次にどうするか。勝ったときに大袈裟くらい3レベル分ほめてあげりゃあいい話。

 

 と言うことで次のゲームで勝った瞬間、思いっきり大声で共に喜んでアタマをクシャクシャになるくらいになでくり回して「あおくんヤッパすげえなオイ。」と誉めまくってあげました。

 

 得意そうな笑顔の息子のそばで、はしゃぎまくる中年オヤジ。そんな光景を見ながらため息をついて息子の歯ブラシだけテーブルに置いて寝室に向かう妻。

 

 「ほんと飽きないよねお父さんたちは。」

 

 バタンと閉められた扉。妻がしばらくでてこない事を確認してから息子にコッソリお願いしました。

 

 「あおくん、さっきの最後の壁に頭つける修行、メッチャおもろかったから今度又お母さんの前でやってくれ。お母さん大爆笑しよるし。」

 

 すでに本来の目的から脱線させられていることに気付かない息子は目をキラキラさせて「うんわかったまかせといて」と頼もしい返事をくれました。

 

 

 私の息子はくだらない事にも毎日一所懸命反応して成長してくれています。

 

 彼を見ていると、楽しく生きていかないと大人として恥ずかしくなります。

 

 子供は子供として今出来ることを精一杯考えて動いています。

 

  そんな子供に親として男として出来る事は「この先を心配して不安になる事」では決して無いはず。

 

 私に出来ること。第一は免疫力を高めること。

 

 第二は必要としてくれている方がいる限りは与えられた使命を全うすること。

 

 そして回りの人が笑顔になるよう努める事。

 

 息子の渾身の直立不動瞑想の二回目は、後日歯ブラシを口に咥えてウトウトしてた妻にスルーされる結果になりました。

 

 しかし彼は修行を止めないでしょう。

 

 何故か。それは彼にとってそこが終わりではないから。

 

 まだ始まったばかり。こんな最初のうちにしょげて疲れてめげてるようでは勝てる訳が無い。

 

 私も頑張って直立不動瞑想を極めます。

 

 そしていつか妻を大爆笑させてやる。

 

 という事で今日も免疫力を高めるためにもう寝ようと思います。(現在21時半)

 

 明日も少しでも誰かを幸せに出来ますように。おやすみなさい。

 

 この子誰の子

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2020.04.21

 兄の勧めで初めて「ドイツゲーム」を購入してから早や15年。

 

 今では家のロフトや実家の寝室に飾ってあるドイツゲームの数はすでに300を超えようとしてます。

 

 やましなす皆様。日本ボードゲーム協会の会員だった男(過去形)斉藤です。

 

 なんだか良く分からない冒頭をクリアして頂きましてありがとうございます。そんな皆様は「ドイツゲーム」と言うジャンルをご存知でしょうか。

 

 以前オーキニー通信(本当はヴァーレスヘルツという名前ですが)で何度か載せた事があったのですが、私の長年の趣味の一つでドイツゲームと呼ばれているジャンルの遊びがあります。

 

 こんな時代なので今回は皆様に元日本ボードゲーム協会であった私の布教活動に付き合って頂くべくブログを書かせて頂きます。

 

 簡単に言うとドイツゲームというのは「ボードゲーム」や「カードゲーム」。多くは家庭内で遊ぶテーブルゲームの事です。

 

 斉藤家では毎週一度は「ドイツゲームの日」と言うものを設けて、夜に30分~1時間程4人でゲーム大会を開いております。

 

 そんな中で最近よく選んで遊んでいるカードゲームに「ゴキブリポーカー」というゲームがあります。

 

ゴキブリポーカー

 

 このゴキブリポーカーを簡単に説明すると「嘘をついてカードを回しその嘘を見抜けなかった人が負け」というブラフ(嘘つき)ゲームになり私が現在45歳。娘が13歳。息子7歳で妻が20歳。という4人で真剣に勝負して私が負ける事もあるような年齢ハンディを感じさせないゲームです。

 

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 やんやんツケボーはあえて無視してください。

 

 カードはカエル、ハエ、ネズミ、カメムシ、クモ、コウモリ、サソリ、ゴキブリの計8種類の害虫(害獣)が全部で8枚ずつあり全部で64枚。

 

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 これを配り切り、スタートである親から1枚、絵柄を伏せて相手を指名して「これは○○」と言う風に相手の前に出します。

 

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 例えばコウモリを伏せて相手に出して「これはコウモリ」と言って置いてもいいし、嘘をついて「これはハエ」或いは「これはサソリ」と言って置いてもかまいません。

 

 出された方はそこで勝負をして「これはコウモリです」と言ってめくってもいいし、「これはコウモリじゃない」と言ってめくってもかまいません。

 

 又、勝負を避ける事も出来ます。その場合は何も言わず出されたカードをコッソリ見て、絵柄を確認してから他のプレーヤーに同じように伏せて回します。

 

 その際、親が言うように「これはコウモリ」と言って回してもいいし、「これはハエ」と言って種類を変えて回してもかまいません。(要は何でもいいです)

 

 要は

 

 1 出してきた相手と勝負する

 2 勝負せずに次に回す

 

 のどちらか2択を選択するだけです。

 

 勝負に失敗した(負けた)場合は自分の前にカードを並べていき、成功した(勝った)場合は相手の前にカードを並べていきます。

 

 最終的に同じカードが4枚並んだ時点で負けが確定してゲーム終了となります(コウモリならコウモリが3枚でリーチ、4枚でアウト)

 

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 相手の事を良く知っている者同士で勝負をすると「やっぱりアンタやったら絶対嘘ついてると思ってた」「こいつは絶対勝負して来よるから要注意」など人間性がはっきり出るゲームになるので、常に笑いが絶えなくなります。

 

 娘は私と似た性格ですぐに熱くなり、狙い撃ちをするときりが無く反撃してくるのですが、嘘をつくと鼻がヒクヒクするので「これホンマにゴキブリか」とか言ってカマを賭けて見つめていると「もうやめてぇ」と言って必ず鼻をカードで隠すので結構分かり易いです。

 

 息子はまだ純真な心が残っているので嘘をついていないか、とカマを賭けて問いただすと目じりが下がり泣きそうな顔になります。(単に私が怖いだけかも知れませんが)ですので最終私に勝負を挑むのを避けてくるようになりやり易いです。

 

 で。問題は妻。

 

 出会ってから20年は立とうとしていますが、この人だけは未だに分からない。

 

 良くも悪くも何も考えていないというかムキにもならないし嘘ついてるのかどうかだけでなく、最終ゲームを楽しんでいるのかすら分かりません。

 

 このゴキブリポーカーは妻も昔から何度も私に付き合わされているので、大体のルールは頭に入っているはずなのですが未だに

 

 「んーと。じゃあ私の親からね。はいっ(アオクン)。これはぁゴキブリじゃないっ。」

 

 と言ってカードを出すという新しいルールを作ったり(本来は「じゃない」はダメで「○○です」と言うだけ)

 

 「はいっ。オオカミ。」

 

 と言って場を一瞬で掌握するほどのパワーを秘めた新カードを作り上げたりします。

 

 その後子供達から指摘され、一番大爆笑しているのも彼女なので、ワザとでは無いと言う事だけは理解できます。

 

 因みに一度長野に里帰りした際、お義母さんとお義父さんとでこのゲームをしたことがあるのですが、妻と顔がそっくりのお義母さんも同じように「ゴキブリじゃァないっ」と言ってカードを出されていたので血を感じずにはいられませんでした。

 

 と言う事で今回は「ゴキブリポーカー」を紹介させていただきました。

 

 みんなでテレビを見るのもいいかも知れませんが、家族や仲の良い身内同士で会話をしたり表情を見て楽しめる「テーブルゲーム」。

 

 大人はお酒を飲みながら、子供はお菓子を食べながらこの時だけは時間の共用を楽しんでいられます。

 

 カップルだけで過ごされている方なら二人用のドイツゲームもあり、単身独身の方は独りで出来るソリティア風のドイツゲームもあります。

 

 出かけられない、人と会えないからと言って一向に良い流れになりそうにもないニュース番組ばかり見ていると本当に気が狂いそうになってしまいます。

 

 「オーキニーさん。うちの家族〇人で歳が〇~〇歳の構成何ですが、何か良いゲームとかありますか。」

 

 そう言った声があるのならこのゲームソムリエ斉藤が、良いドイツゲームをチョイスして紹介します。

 

 時勢柄貸し出すのは無理なのですが、もし良かったらネットショッピングでも色々出ているのでお気軽にお声をおかけください。

 

 そして一人でもドイツゲームの魅力を理解して頂ける方が増えた暁には、騒動が終息した際サロン内で「大人だらけのボードゲーム大会」でも開こうではありませんか。

 

 そうする事で妻に「またゲーム買ったの」と言われ、後ろめたさを感じながらドイツアマゾンの段ボールをばれないように捨て続けた日々が漸く報われる事になるのです。

 

 皆様も良かったら新しい世界への扉を開いてみて下さいね。

 

 なんのこっちゃ。

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2020.04.17

 しらこい

関西弁 和語 解説
しらこい しらじらしい 白こい。なにしらこいこというてんねん。

 しらこいとは、関西圏の方言で白々しいという意味。徳島周辺ではずるいという意味で使うこともある。

 

 

 やましなす皆様。ついに全国に非常事態宣言が出されましたね。外出を控える人々の心が重くなるのを少しでも緩和させるべく立ち上がる山科発の不屈のファイターキン肉マンです。

 

 

 地方には方言と言うものがあります。

 

 京都で言うと「ほかす」(すてる)或いは「はんなり」(上品で華やか)等。妻に言わせれば「しばく」や「かしわ」と言う言葉も含め、何の意味なのかずっと理解できなかったそうです。

 

 今回はそんな関西(大阪かも)弁の一つである「しらこい」男の話。

 

 

 先日、来るべきハルマゲドンに向けてネットで冷凍庫(容量90リットル)を購入しました。

 

 あらかじめ二階の台所横の納戸の寸法を測り、入るか確認してからネットショッピング最安値のAmazonで購入しました。

 

 これで妻が外に買い物に出る、Kさん曰くの「銃弾飛び交う戦場に行く」回数が減るであろう。総てはそんな妻想いの心から始まったのです。

 

 で。先日の午前中に佐川のお兄ちゃんがお店に配送物を届けに来てくれました。

 

 店の玄関を出て見に行くと、私の予想をはるかに超えた大きさの段ボールがキャスターに積まれていました。

 

 出来る事ならお兄ちゃんにそのまま二階にあげて欲しかったのですが「自分で上げるので家の玄関扉前に置いといて」と格好つけて言ってしまいました。

 

 昼頃、営業中少し時間が空いたので土間に置いてあるソレを、試しにホール(廊下)に1人で上げてみました。

 

 数十センチ動かすだけで腰が抜けそうになり、人知れず廊下の壁と段ボールで指を挟み数十年ぶりに指フーフーする中年男がそこにいました。

 

 総重量を見ると70キロ。お兄ちゃんの心配顔の忠告を素直に聞いておけばよかったと早くも後悔しました。

 

 その後諦めて仕事をしていると、ふと妻が玄関の荷物を見たらしく、私に「えらいおっきいの来たね」と準備室で声をかけてくれました。

 

 私は何故か突然苦しくなり「あれ。ハァ。無理や。ハァハァ。1人で玄関まで上げたけど。ハァ。1人は。ハァハァ。あとで手伝って。ハァ。死ぬ。マジで。」と呼吸を乱して伝えました。

 

 妻は「ふーん。あとで一緒にあげればいいのね。」と冷静で的確な返事をしてくれました。

 

 因みにさっき冷凍庫を玄関にあげた時より既に30分経過していました。

 

 その後、お弁当を片付けにリビングに上がると中一の娘がテレビを見てくつろいでいました。

 

 その姿を見ると又息切れに襲われ「しーちゃん。あれ見た。ハァ。下の冷凍庫。ハァ。良かったら夜一緒に」と絶え絶えに伝えようとしました。

 

 「ウン聞いた。一緒に手伝えばいいんやろ。分かった了解」

 

 娘は私の口から発せられる言葉を最後まで聞かずに、スマフォを片手に自分の部屋に戻っていきました。

 

 赤くなってしまった親指の付け根をちょっとだけでも見て欲しかった私は、もうすっかり痛くないはずである指を口でフーフーしながら食洗器に洗剤を放りこみました。

 

 その夜、営業が終わってから二階へ上がとうとすると、気配を感じた妻が降りて来てくれ「しーちゃーん(娘)。お父さん終わったよー。降りて来てー。」と娘に声をかけてくれました。

 

 妻「で。どうすればいい。」

 

 しばらくして娘も降りて来てくれ、私の案を伝えました。

 

 私「ええか。お父さんコレかなり大変やってんココまで1人で持ってくるだけでもや。」

 

 私の案は階段の誘導係に私が一人で先導して持ち、下側を妻と娘で持ち上げてもらうというものでした。

 

 私「お父さん上側で1人で持つから女性軍二人で下から支えてくれ。結構大変やしどっちか辛くなったらお父さんに言うてくれや。お父さんその分踏ん張るし。」

 

 見せようとした、赤くなっていたはずの親指の付け根は既に肌色に戻っていました。

 

 私「危なくなったら自分の事大事にして絶対に怪我だけはせんといてや。お父さんは大丈夫やし。」

 

 ゆっくりな。ゆっくりな。と念を押しながら二人が怪我をしてしまった場合、どうやって手を離して途中で休憩するかを説明しようとすると

 

 娘「うんわかった。わかったって。」

 

 妻「はーい。じゃあ行くよしーちゃん。せーの。」

 

 と私の事をほっておいてサッサと持ち上げ動作に入る女性二人。

 

 突然の主導権変更に焦った私は、二人をケガさせないよう細心の注意を払いながら一歩ずつ確実に階段を昇りました。

 

 「下二人大丈夫か。ゆっくりやで。ハァハァ。はいもう一段。せーの。」

 

 無言を続ける見えない女性軍が心配。

 

 「おっしゃ。3分の1来た。ハァハァ。行けるか。休むか。」

 

 返事は聞こえないけど私の動きについて来ているのは確か。

 

 「カーブ来た。カーブ来たぞ。ハァハァ。大丈夫か。指ぃ。見えへんし気をつけろよ。」

 

 階段の手すりに肘を挟んでしまい激痛が。しかし二人を不安にさせてはいけない。

 

 「ちょっと。ハァハァ。大丈夫か。ていうかちょっと休憩するぞ。下ろすぞ。」

 

 カーブの途中で二人の身を案じ休憩を挟み、その後同じような言葉を何度も発しながら何とか階段を上がり切りました。

 

 私の呼吸音だけがゼェゼェと聞こえるリビングへ続く廊下で、息子が私の横に来て一緒に運ぼうとしてくれたのでそれを制し、背中からゆっくり納戸に入りました。

 

 泣きそうに心配してくれている息子の顔が印象的でした。

 

 「ゆっくりおろしてや。ゆっくり。指挟むなよ。せーの。」

 

 そそくさと手際よく冷凍庫を下ろし終わった女性軍に対し1人納戸に取り残された私は、あれだけ偉そうに言っておいたのに冷凍庫の角に左足の親指を挟んでしまい、大声が出そうになるのをグッと我慢しました。

 

 「いっつっ。よーし。ふぅ。あとは大丈夫や。お父さんがセッティングするわ。ㇵッㇵッ。」

 

 はーい。おつかれちゃーん。

 

 ん。

 

 リビングの方からかすかに聞こえた女性二人の声は、納戸から出られなくなった情けない姿勢になっている私の姿を置いて暫くして聞こえなくなり、その後背中を可動棚の角にぶつけてもがき苦しむ父の姿があったとはツユとも知らず、自分たちの用事をしに各部屋に戻っていました。

 

 リビングでは泣きそうだった顔が印象的な息子が、スプラトゥーン(テレビゲーム)に夢中になっていました。

 

 達成感に似た孤独感を感じながらセッティングを終えてお風呂に向かった私は、あるはずの傷跡が無くなっている自分の背中を鏡で何度も確認しながら、一仕事後の汗を気持ちよく流しました。

 

 部屋着に着替えリビングに戻ると、皆は録画した「ドリフの大爆笑」を見て大笑いしていました。

 

 娘と妻に「(冷凍庫)運ぶの大丈夫だったか」と確認すると、優しい二人は

 

 「うん何も。全然余裕だった。」「別に。」

 

 と私を心配させまいと声をそろえて気遣ってくれました。

 

 そんな二人の気遣いを感じ私はそれ以上冷凍庫の事は話題にすまいと心に誓い、ふと昔を懐かしみました。

 

 オカン(母親)やったら「ヒロミ凄い」言うてくれてたな。

 

 ・・・

 

 ホンマ色々残念なお父さんでゴメンねみんな。これからも宜しくです。

 

 追記 皆様ここからですね本当の戦いは。大切な家族のため未来ある子供たちのために協力して必ず早期の完全勝利を目指しましょうね。

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