焼きそばと納豆とユリゲラー

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2017.03.24

 やましなす皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

 「斉藤さんのお尻って形良いし弾力ありそうですね」と言われたので「触ってみますか」と言って触ってもらい、その後微妙な顔をされてしまった男斉藤です。

 

 ええ全盛期より垂れ下がりましたが何か。

 

 以前こちらのブログにてペヤングから発売された期間限定の「ペヤングパクチー焼きそば」を食べた、という話を紹介したことがありました。

 

 その際、色々なお客様方から「私も食べてみた」と言う報告を頂いたのですが、結構な数の方から「ミッション成功」「私は真のキリシタン」という声を聞かせて頂きました。

 

 なんだか小学校の頃、ユリゲラーのテレビ番組を見た後にスプーンを曲げれた友達たちの事を思い出して悔しくなりました。

 

 そんな中、成功者のお客様からある情報を頂きました。

 

 「斉藤さん、ペヤング納豆焼きそば。もう食べましたよね。」

 

 聞いた瞬間、私の閉ざされた心に一筋の光が指しました。

 

 しかもお客様情報によると「全然食べれる味」と言う事だったので、曲げれなかった私にもチャンスがやってきたのだと思いました。

 

 私にとってパクチーはカシオのGショック的スプーン過ぎましたが、納豆ならビレバン(ビレッジバンガード)の店頭に売ってる408円の腕時計的スプーンなはずであろう。

 

 これは曲げれる見ていろユリゲラー。

 

 そんな中、別のお客様情報から御陵交番の近くのセブンイレブンでその「納豆焼きそば」が売っていたという情報を教えて頂きました。

 

 早速お客様の施術の合間を縫って買いに行きました。

 

 流石にパクチーで懲りていたので、家に帰ってから食べてみようと思っていたのですが情報提供者であるお客様から頻(しき)りに「感想を聞かせて欲しい」と言われました。

 

 私はお客様の仕上げをしないといけなかったので、とりあえず太郎君に食べてみてもらおうと思い、勝手に封を開けてカヤクにお湯を注ぎ用意を済ませ、彼の弁当箱の横にセットしておき、無理やりお昼ご飯に行ってもらいました。

 

 私はブローをしながら彼が裏で美味しそうに納豆焼きそばを食べている光景を思い浮かべていました。

 

 ブローをしているとかすかに茹でた即席めんの匂いがしてきました。

 

 ブローが終わりかけた頃、裏から食事を終えた太郎君が出てきました。

 

 どうだったか聞こうとすると私より先に彼は「かなりきつかったです。」と苦しそうな表情で訴えかけてきました。

 

 感想を聞きたいという逸る気持ちを抑えながら、ブローを終えて休憩を取りに裏へ行くと、テーブルの上に食べかけのカップ麺が置かれていました。

 

 

 

 何やら見た事のある風景これはデジャヴか。

 

 ていうか「きつかったです」って全然食べてへんやんケ。

 

 私に対して太郎君は続けざま「パワハラかと思いました。」と悲しげに言葉をつけたしてきました。

 

 言うにはどうやら湯気と共に納豆の匂いが鼻に入ってきて、花粉症によりフィルターが超繊細になっている彼の鼻には余りにも残酷すぎる試練だったそうです。

 

 根性が足りんと彼にブツブツ言いながら、とりあえずサランラップをほどく私。

 

 剥がされていくラップにデローンと納豆菌の糸が伸びます。

 

 

 ラップが半分ほど空いた瞬間、私の鼻の中に何やら嗅いだことのあるバッドスメルが飛び込んできました。

 

 取りあえず一口食べてみました。

 

 先に言っておきますが、私は納豆が結構好きな人です。

 

 ペヤング納豆焼きそば。

 

 なんでしょう。麺をすすると唇のとんがった部分ににヌルヌルしたものが必要以上にへばりついてきてもう。

 

 ペヤングの焼きそばのソースを薄くして納豆と一緒に食べてる感じ。

 

 ほのかに残っている温もりが湯気と共に懐かしい匂いとなって頭の中を刺激してきます。

 

 この匂いは5月下旬の雨降りの時の私の靴下の匂いか。

 

 まだ薄生地の靴下にするにはやや早く、それでいて梅雨時程は湿気っていない状態の中、履いてみたら結構蒸れてしまった、的なあの匂い。

 

 横で太郎君が「どうですか。結構きついですよネ。」としきりに私の顔色をうかがってきました。

 

 人は守るモノが出来た時、人に指針を示そうとした時に又前進できる生き物である。

 

 私は私の中で消え入りそうになっていた希望と言う名の線香花火を、隙間風が入ってこないように即座にウンチ座りの体制に切り替え再び輝かせてから、彼にこう言ってやりました。

 

 「全然大丈夫。確かに納豆やな。」

 

 驚く彼。と横で心配そうな妻。

 

 そのまま30秒足らずで残っている麵を全て平らげてしまいました。

 

 太郎氏「うっわ。マジすか。で、どうでした広観さん的には結構行ける感じでしたか。」

 

 遠回しに私に食レポを求める太郎君。ここは叱るところかボケるところか。

 

 いつも太郎君には「この人は一味違う美容師だ」と思われるように言葉を慎重に選びながら、大人の出来る男を演出している私。

 

 私の中でも今季一番の緊急会議が開かれ、その後私の口から出てきた言葉は

 

 「焼きそばと納豆、なんだろう別々の方が美味しい感じ。」

 

 我ながらチンケな言葉。

 

 因みにこの納豆焼きそばを教えて下さったお客様は、納豆のパンチが足りないであろうと予測して、この商品の他に普通に納豆を購入して、それを混ぜてナットゥー感を倍加させてから食したそうでした。

 

 真似して納豆を別で買わなくて良かったと心底思いました。

 

 恐るべしユリゲラー。いやペヤングか。

 

 とりあえず私は今回は負けなかったと思います。

 

 食後、酸っぱめのレモンティを口に含み、飲み込む前に口内で無意識にグチュグチュしてナットゥー感を無きものとしている鏡の中の自分を見て何だか残念な気持ちになりました。

 

 ペヤングさんちょっといいですか。

 

 チャレンジ精神は大事です。私も新しい試みをする姿勢を常に持っているので気持ちは分かります。

 

 日本には私以外でも義務感にかられて何かに取り付かれレジに焼きそばを運んでしまう人が多くいてはると思います。

 

 今ある定番の商品をより深めて高めて頑張って行って欲しいと思います。

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