社会科見学

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2016.08.03

 やましなす皆様。いつになったらこの挨拶が正式に山科の標準の挨拶として使われるようになるのか、と学研のおばちゃん並みに未だかな未だかな、と待ち続けている男斉藤です。

 

 又少し前の話になりますが、先月の七夕様の日に何年振りかに近くの小学校の生徒さんによる社会科見学がありました。

 

 オーキニーオープン以来、実に四回目となる陵ヶ岡小学生による社会科見学です。

 

 毎回、繰り出されるそのどう答えてよいのか分からないインタビュアーと質問内容に四苦八苦しながらも出来るだけわかりやすく、そして少しの笑いを取り入れながら答えさせていただいております。

 

 今年は質問をしてくる生徒さんが二人。そして何やら付き添いで来てくれている生徒さんが10人ほどそしてわざわざ担当の先生まで来てくださいました。

 

 挨拶を交わしてから店内をまず案内させていただきました。

 

 セットブース。シャンプー台。フロントレジ。流し場などを紹介してから、裏にある個室を見て回ります。

 

 小「ここは何をするスペースですか。」

 

 私「ここは車いすでしか来れないような体の不自由な方やお年寄りの方が、ずっと動かなくても全部出来る特別スペースなんや。」

 

 そう言うと先生を筆頭に子供達も珍しそうに感心してくれました。

 

 その後、裏のトイレや物置を案内させていただき一通り見学が終わってからいくつかの質問に答えさせて頂きました。

 

 今年の質問は、以前までの「夫婦で仕事をしていて喧嘩とかしないんですか」や「いくらくらい儲かっていますか」などとは違い難易度の低いものでした。

 

 小「美容室のハサミと普通のハサミはどう違うんですか。」

 

 私「みんなはどこでハサミとか買ったりしてる。100円ショップとかか。オッチャンらの使うハサミは普通のハサミよりきれいに切らないと髪がグチャグチャになったりするので特別にムッチャ切れるやつを買って使ってんねん。だから値段が違うんや。幾ら位やと思う。ブー。正解は20万円位や。」

 

 そしてもう一つの質問が入りました。

 

 小「お客さんが言ったとおりに切ってあげているんですか。」

 

 この問いを聞いて来たのが(確か)うちに長年お客様として来てくれているN君でした。

 

 N君には「おもろくて一筋縄ではいかないオッチャン」として見られたがっている私としてはそのまま普通のええカッコしいな返しで「そうや。お客様の要望通りに切るのが美容師の仕事や。」とは答えたくなかったので、少しややこしくなるけど違った答えにして、そして自分の気持ちに正直に答える事にしました。

 

 私「お客様ってな。色々な人、顔の形や頭の大きさの人がいんねん。だからコレみたいにして欲しい、とか写真持ってきてこうして欲しいって言われてもその通り切っても同じようにはならへんねんか。だから言われた通りには切らへんねん。」

 

 小「ええそうなん。なんで。」

 

 私「例えばな。美容室でカッコよく切ってあげてもその人が同じように自分で出来るとは限らへんやろ。その人がどういう風な気持ちでカッコよくなりたいって思ってるかを話しながら考えて、それ以上に喜んでくれるように工夫して切ってんねん。そうしたら結局言われた通りに切らんと違うカッコにした方が良かったりすることもあるんや。」

 

 白状すると、それを聞きながら横でえらく感心している先生を横目で見ながら自分でも「これはポイント高いな」なんて思いながらちょっと自分の言った言葉の余韻に浸ってました。

 

 その後色々話をしながら出来るだけ自分が生まれ育った場所で働くという事の楽しさを伝えるため聞かれてもいないことをペチャクチャしゃべっていた私。

 

 少しでも未来の山科を背負っていく子供たちの力になれるように頑張ったつもりです。

 

 そして子供たちは今年も元気な挨拶と笑顔で帰っていきました。

 

 先週、そんな出来事も忘れかけていたのですが、ご丁寧にその時付き添いで来てくださっていた学校の先生が挨拶をしに来てくださいました。

 

 先生「先日はありがとうございました。コレ子供たちが一生懸命作ったオーキニーさんあての手紙です。良かったら受け取ってもらえますか。」

 

 そう言うと私と妻が写っている大きく拡大した写真と、子供たちのオーキニーに対しての感想文を手渡してくださいました。

 

 

 お世話になりありがとうございました。 陵ヶ岡小学校2年

 

 なんかこういうのって本当に嬉しいですよね。先生方が生徒たちの努力を精一杯形にするために指導したり夜遅くまで時間を使って作成したり、頑張っている姿が目に浮かんできます。

 

 先生方には許可を頂いたので少し紹介させていただきたいと思います。

 

 ページをめくると見学者として来てくれていた各々が、何回も消しゴムで消しては書きをくりかえしたであろう丁寧に丁寧に作った文章が沢山書かれていました。

 

 

 文章を書くだけでなく、色を塗ったり模様を描いたり、それぞれの個性が出ていて一つ一つに一生懸命楽しく取り組んでいる姿が見えてきます。

 

 これを皆に発表しながら「ええ凄いなぁ。」「何それぇ。」とか言いながらワイワイしてたんだろうな、などと思いつつ一つ一つの文を読みました。

 

 

 「オーキニーのみなさんへ まえはありがとうございます。まえはとってもたのしかったです。私は学校がえりにいつもみててちょっとたのしそうでした。ありがとうございました。Mより」

 

 Mちゃん。ちょっと楽しそうでしたってのが気になるけどこちらこそありがとうね。

 

 

 「オーキニーのみなさんへ わたしはしつもんをしていないけどいろいろしれてよかったです。オーキニーは、すてきなお店ですね。 Sより」

 

 Sちゃん。最後「いろいろ」って書いて消した跡は、本当はもっといっぱい書いてくれようとしてたのかな。素敵なお店って書いてくれてありがとうね。

 

 

 「オーキニーのみなさんへ わたしはオーキニーにいかないのにはいらしてもらったのがすごくうれしかったです。かみのけをきりにいくかもしれません。 Hより」

 

 Hちゃん。入らしてあげただけでそんなに喜んでくれたんだ。最後ちょっと気を持たせるようにして文章を終えるなんてなかなかやり手に育ちそうだね。良かったらお母さんを説得して是非来てね。ありがとうね。

 

 

 

 「おーきにーのみなさんへ ハサミとかそうことかをみせてくださってありがとうございました。ふだん見ないところを、見せてくれて、うれしかったです。」

 

 誰子ちゃん。丁寧な言葉づかいで頑張って書いてくれてありがとうね。みんなに言えることだけどオーキニーのみなさんって書いてくれるけどオッチャンら二人しかいなくてなんかゴメンね。

 

 

 「オーキニーの皆さんへいつもはいれない所を見せてもらってありがとうございます。また行きます。 Nより」

 

 N君。いつもカットしに来てくれてありがとうね。なんか初めて「もらってありがとうございます」なんてあらたまれちゃってオッチャンなんか調子狂うけど嬉しいよ。絵にスキバサミまで書いてくれて流石よく見てるね。これからもよろしくね。

 

 

 「オーキニーのみなさんへ まえは、ありがとうございました。ふつうのはさみと毛をきるはさみがそんなにちがうなんてはじめて知りました。Yより。」

 

 Yちゃん。Y君。どっちか分からないけど素敵な名前だね。ちゃんとハサミの違い覚えててくれてありがとうね。カラフルな色の使い方する人美容師に向いているらしいよ。

 

 

 「オーキニーのみなさんへ ふつうのはさみとさんぱつのはさみのねだんがちがうのがはじめて、知りました。おしえてくれてありがとうございました。オーキニーのみなさんのおかげでいろいろなことが学べました。Sより」

 

 Sちゃん。Sちゃんはうちの娘と一緒の名前だね。オッチャン「散髪屋」って言われるの凄く嫌いだったけどSちゃんが言うならさんぱつやさんでもいい気がしてきたよ。字もすごく上手だしマスの使い方も計画的でSちゃんが几帳面なのが良く分かります。最後のハート確かに受け取ったよオッチャンさんぱつ頑張るね。

 

 

 

 「オーキニーのみなさんへ こないだは、かみのけをぬらすところやおじいさんおばあさんがかみのけをぬらすとこやかみのけを切るところをおしえてくれてありがとうございました。Nより」

 

 ・・・・

 

 NちゃんってNでいいんだよね読み方。お爺さんお婆さんが髪の毛を濡らすとこってなんだっけ。ゴメンオッチャン最近物忘れがひどくてそんな所見せたかな。もし車いすの個室の事を言ってるならちょっとその説明誤解を招くから、もし良かったら今度もう一回お店来てね。オッチャン今度は説明頑張るねありがとね。

 

 

 「オーキニーのみなさんへ いろんなはさみがあっておもしろかったです。いろんないすもあるしきゅうけいばしょもあっていろいろなへやがあってそこのオーキニーにいっかいいきたいです。Rより。」

 

 Rちゃん。そこのオーキニー是非又来てください。別に散髪しに来なくても遊びに来てくれるだけでもオッチャン大歓迎だよ。面白くおもってくれてよかった。ありがとね。

 

 

 「オーキニーのみなさんへ このまえはいろいろなところをおもしろくてわからやすくせつめいしてくれてありがとうございます。Yより」

 

 Yくん。Yくんのこの感想文こそオッチャンが頑張ってやっていたこと全てだよ。くだらなかった時あったのオッチャン分かったけどそれもふまえて面白いって言ってくれてホントありがとうね。

 

 

 「オーキニーがおしえてくれてありがとうございました。またおしえてね。Sより」

 

 Sちゃん。Sくん。どっちだ。なんか「ビートルズがおしえてくれた」っていう山下達郎の歌のようなもののとらえ方。オッチャンすごい好きだよ。高気圧ガールなオッチャンが教えられることなら何でも教えるしいつでも聞いてきてね。ありがとね。

 

 そしてニコニコ顔になった私が気分よくノートになっている見開き部分をめくった時に今回のブログのオチともとれる出来事が待っていました。

 

 1ページ目。

 

 

 

 髪切りはさみは20万円するそうです 髪を切る練習をするためのもけいもありました

 

 男の人は髪を赤くそめていました。トイレの近くにはそうこがありました 車イス用のばしょもあります

 

 これはうちのお客様のなお○くん。

 

 20万円、練習用のもけい(ウィッグ)トイレの近くにある倉庫。車いす用のスペース。

 

 ちゃんとよう覚えてくれてるのね。ありがとう。でもね。

 

 男の人は髪を赤くそめていました

 

 男の人って誰。俺。そんな仲違うじゃん。いつもみたいにオッチャンか発表用にダメだと言われたんならせめて美容師さんって書いて下さい。これは嫌だぞ悲しいぞ。

 

 そして2ページ目

 

 

 あんまりゆったとおりにきってくれないです かくしべやがあった。くるまいすの人がかみをきるところがあった。

 

 ちょちょちょっと待てい。

 

 これを発表したのかY君。勿論発表は終わりの会レベルだよね。

 

 言った。ああオッチャン確かに言ったさ「言ったとおりに切らない事がある」って。

 

 美容室の見取り図もなんとなくだけど上手に見てる。間取りはこんな感じだよ。

 

 隠し部屋もあった。車いすのところも説明した。

 

 けどこの書き方はちょっいろんな意味でオッチャン涙出てくる。

 

 「言ったとおりに切ってくれない美容室」として晴れ晴れしく陵ヶ岡学区デビュー果たしちゃったぞ。

 

 さおりさんなんかゴメン。

 

 今回のブログ本当は子供たちに頂いた幸せを元に綺麗にまとめて締めくくろうとしてたんです。

 

 山科の神様はなかなかそうさせてくれ無い様子です。

 

 まあ冗談さておき、陵ヶ岡の先生方これからも未来に夢いっぱいの生徒さん子供たちの為に頑張ってください。

 

 私も協力できることは精一杯させて頂きます。

 

 社会科見学に選んでいただき私たちもたくさんの想い出と幸せを頂けました。

 

 本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

 

 言うとおりにさんぱつしない美容師より。

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