これは流行らせたい

はてなブックマーク
2015.06.30

 今日も一日お勤めご苦労様です皆様。高校の頃カラオケボックスで尾崎豊さんの「15の夜」を歌い98点という高得点をたたき出して、当時中退したプチヤンキーに「あんまり調子乗んなよ」と呼び出しを喰らった過去を持つ男斉藤です。

 

 もう皆様のお手元に「オーキニー通信」は届きましたでしょうか。

 

 本当は今回の号(というのか)に10周年のキャンペーンの事も掲示する予定だったのですが時間が足りずにいつもの様な感じになってしまいました。

 

 又ブログを見て下さっている方だけへのキャンペーンも企画していますので楽しみにしていて下さいね。

 

 突然ですが美容室を長年経営させて頂いていますと実に様々なお客様が来店なされて又様々なご要望をお願いされます。

 

 しかし昨今の情報社会の落とし穴とでも言いましょうか「うる覚え」での間違えた知識のままのご要望を言われる事が多々あります。

 

 オープン間もない頃、ご新規のお客様に「ピンポイントパーマをお願いします。」と言われた事があります。

 

 ピンポイントパーマ。

 

 初めて聞いたときは、その私の知らない技術のネーミングに「ひょっとしたら京都の美容は東京の10倍は進んでいるのか」と自らの美容人生を振り返らざるにはいれませんでした。

 

 しかしよくよく聞いてみるとどうやらそれは「ピンパーマ」。所謂ペーパーとピンを使った毛先の動きを付けるパーマの事でした。

 

 丁寧にカウンセリングをしてから、その方のこれからの人生の為に「ピンポイントパーマではなくピンパーマですよ。」と柔らかく京都風に教えてあげました。

 

 以前、私のあまり得意としない感じの、とある大学の男子学生さんが来店されてました。

 

 その学生さんに「アメシカットしてください」と言われた事があります。

 

 以前、その学生さんは2度にわたり予約を連絡なしで無視(ブチ)られ、その日も予約が詰まっているのに40分遅刻されての来店。

 

 そんな状態の時に謝罪の一つもなく「アメシカット知らないんですか。」と言われました。

 

 挙句「アメシ切ってみて似合わなかったらもう一回違うスタイル切ってもらっても良いスか。」と20分しかないのに2スタイルの施術を要望されました。

 

 その後そのアメシを教えて貰うと、どうやら「アシメ」アシンメトリー(左右不対象)のスタイルだと言う事が判明。

 

 込み上げてくる微量の殺意と憤りを押さえながらそのスタイルを仕上げました。

 

 その方のこれからの人生の為に「アメシカット」は真実を教えずそのままお帰り頂きました。

 

 その他にも「スカプルマッサージ」等の実に惜しい「もうちょっとやで系」や「ディティールカット」等の知らない知識の「なんじゃそりゃ系」。実に色々な要望を頂いて来ました。

 

 そしてつい先日、又新たな新しい要望がありました。

 

 お客様は小学5年生の「北風君(仮)」。実に7年にわたってご来店いただいていてとてもいい子で将来何かを成し遂げる感じの男の子。

 

 席に着くと真っ先に店のタブレットを操作して「パズドラ」と呼ばれるアプリを慣れた手つきで起動します。

 

 私「北風君、今日はどんな感じにするん。」

 

 何度か短く切り過ぎて友達にからかわれた事があるそうなので、いつもの様にスタイルや長さを聞いてみると

 

 北風君「ロックカットにして。」

 

 なるほどロックカットがいいのか。

 

 てか何それ。

 

 私「ゴメン北風君・・・ロックカットってナンじゃらほい。オッチャン分からんわ。」

 

 北風君「えっとなこの間切ってくれたスタイルやん。あれよかってん忘れたん。」

 

 慌てて私「そんな謎なカットしたっけか。」とカルテを取り出して確認してみました。

 

 カルテ「こめかみ下から7mmでセニング刈り上げ。トップ短めにしてセクショニング。変形2ブロック。」

 

 おお正解は2ブロック(昔の成宮君みたいな奴)だったか。

 

 ここで普段の私ならスマートかつナチュラルに、彼の今後の人生の為になる最善の選択をする所。

 

 しかしちょっと待て。ロックカット・・・ロックカット

 

 何かそれええんちゃうのそれ。

 

 ダバダーバダバダーダリアー

 

 世の中には単純に真実にたどり着く道より良い選択がある事を知っている、宮本亜門や熊川哲也と同じように違いがわかる男斉藤広観。

 

 ダバダーダバダーダバァダー

 

 これはココでココだけで終わらせてはいけない絶対。

 

 先ずイメージがいい。涼しそう。夏にピッタリ。

 

 そして響きもいいな。聖闘士星矢やワンピースでそのまま補助的な必殺技として使えそう。

 

 そんな事が頭の中を支配して北風君に「本当は2ブロックカットって言うんだよ」という真実を伝える事すら忘れてしまいました。

 

 本人はそんな現在この瞬間、今後の美容界を揺るがすことになるような大事態になっているとは露知らず、必死に「木属性か。火で行くか。」とブツブツ言いながらゲームに夢中。

 

 そして前回は30分位で終わったカットを50分かけて仕上げました。

 

 冒頭でおつたえしましたが、北風君は将来何かを成し遂げる器を持っています。

 

 そんな北風君が先見の目で望んだ新世紀のスタイル「ロックカット」。

 

 果たして担当者は応えることが出来たのでしょうか。

 

 仕上がってから遠目で見てみました。

 

 心の中ではシベリアをイメージしながら切りました。

 

 頭の中ではユーミンのダイアモンドダストが消えぬまに、が流れてました。

 

 襟足を整えるときは「ロックチェックゥ」と上位版の技を使いました。

 

 私「どうや北風君。」

 

 後ろの形を合わせ鏡で見せる私に

 

 北風君「今日早ぉ帰らんと怒られんねんはいお金。」

 結局どうだったのか聞かれず仕舞いのまま先を見る少年は旅立ってしまいました。

 

 彼に似合う技術者になるにはまだまだ先が長そうです。

 

 まあ普通の2ブロックなんですけどね。

一覧 TOP