おはようございます。皆様本日も一日頑張ってくださいね。
いまだに「帝王切開」の「帝王」の意味が全く分からない男斉藤です。
きっと王様みたいに偉い人が初めてその手術を編み出されたんでしょうね。
突然ですが近々我が家は引っ越しすることになりました。
そんなわけで現在、夜遅くから朝早くまでスマートフォンを片手に新居先に必要であろう家電や家具を検索しては見比べ、性能を知れば見比べを自分でもまあ呆れるほど毎日繰り返しています。
お陰でその辺の町の電気屋さんよりもくだらない知識量が一時的に増えてしまいました。
さておき先日IKEAで「俺。山科に産まれたおかげでこんな能力を知らずに習得出来てたんだ。」と改めて思えた出来事が起こりました。
IKEAと言うのは大阪にある北欧の家具やインテリアを扱う倉庫のような巨大家具屋さんです。
その施設には入り口付近にとあるサービス施設が存在します。
買い物中に小さな子供を1時間だけ無料で預かってくれる、と言うサービス。
我が家でも4歳になる子供が居るのですが、この日も一緒だったので例に漏れず預かってもらいました。
そのサービスの受付中に起こった出来事です。
私が必要事項を申込用紙に記入して、受付のお姉さんに息子が色々と「預かれる(ほどの聞き分けの良い子)かどうか」をチェックされていた時です。
「ちょっと姉さん。そうアンタ。聞きたいんやけど。」
私がいるカウンターの横から女性の声がしました。見るとどうやら30前半位の子連れの女性。
お姉さん「はいなんでしょうか。」
女「ココ。ガキンチョ預かってくれる所やんな。受付何処でしたらええん。」
彼女のそばにはカウンターの上に両手を踏ん張り、施設の中をのぞき込もうと暴れている男の子と、彼女の腕に抱かれてじっと私を見つめている小さな女の子がいました。
姉「はい。あちらにある備え付けの申込用紙に必要事項をご記入いただいてからの1時間のサービスとなっております。ご記入後にこちらのカウンターで順番に受付させていただきますので。」
女「アンタ。行きたいねんな。こら暴れるなアホか。ほなら私ら買いモン行ってくるしここで待っときよし。」
姉「あ。ただその、お預かりできる年齢制限がございまして。」
女「制限。制限てなんや何歳からやったら預かってもらえるんや。」
姉「お子様はおいくつになられるでしょうか。」
女「え。・・・・3歳。やんなアンタ。でこっちが6歳や。」
姉「申し訳ありませんが4歳からしかお預かり出来ないことになっております。」
そのどう見ても2歳かそこらにしか見えない女の子を抱いた女性が、見るからに不機嫌な顔になっていくのが分かりました。
そんなやりとりを他所に、自分の担当のお姉さんに仮面ライダーゴーストの変身の仕方を一生懸命教えている平和な我が息子。
女「え。なんやそうなん。もうすぐ4歳なんねんけどなぁアカンの。あそう。へぉ。」
そしてその女性がとある提案をしました。
女「じゃあこんなん。保護者が一緒に中に入っていたらかまへんやろ。うちの旦那が一緒に中に入りよるし。」
あやうく横から「そういう問題じゃない」と突っ込みを入れてしまうところでしたが、そこで受付のお姉さんが彼女にこう言いいました。
姉「すみません。決まりで大人は中には入れませんので無理なんです。」
・・・・・
さて突然ですが問題です。皆様はこの後「そういう問題じゃない」発言をした女性が、お姉さんに言ったセリフというか会話がお分かりになられますでしょうか。
一連の流れから私はこのお姉さんのセリフを「ああ。それは言ったらアカン奴や。」と咄嗟に判断してこの後の展開を予知できました。
答え
女「なんやアンタも大人やろ。入ってるやん何言うてんの。アンタ良くてうちの旦那アカンとかおかしいやろ普通。」
その後女性は一度言葉に詰まった後、数十分の格闘の末女性の攻撃から解放されていました。
私はその一部始終を見学して、このやりとりで「そういう問題じゃない」女性よりも、受付のおねえさんに非があるように思えてなりませんでした。
山科で生まれ育った所為か、いやお陰でなんと言うか「危険人物の見極め力」のようなものが自然と備わっている自分がいます。
社会経験の長さもあるかと思いますが子供の事をガキンチョ呼ばわり。そして我が子に対してアホかと人前で平気で言っている保護者であると言う事が分かった時点で、受付の女性はアンテナを張り替えなければならなかったと思いました。
そうすればこの女性が「大人は入ってはダメ」というセリフを選択することも、素晴らしい反撃ポイントを彼女に提供することもなかったと思います。
正解の答えはいたってシンプル。「私たち以外の」という言葉が頭についているだけでよかった。
お陰様でオーキニーも10年目を迎えましたが、これまでにもとても失礼な言い方になりますが「この人は他のお客様にご迷惑をかける恐れがある」といった雰囲気の方が何度も飛び込みでご来店されてきました。
勿論その方に決して失礼のないように、そして気持ち良くお断りが出来るような技術というか話術が身についたのも全て山科のおかげだと思います。
山科ありがとう山科万歳。
これからもずっと山科民として胸を張って生きていきたいと思います。
ちなみに只今山科在住の方で、この山科がくれた「察知能力」をさらに磨きたい方は是非伏見区の醍○の「とあるプラザ」に1週間通われる事をお勧めします。
きっと飛躍的にその能力は洗練されるでしょう。
皆様お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか。
明日は9月1日。オーキニーの開店記念日です。
今年度は「オーキニー10周年」として本当に色々な事が起こりました。
未だに9年間経ったらなのか10年経ったらなのか「10周年」の意味合いが良く分かっていませんが、とりあえず、めでたく10年間をここ御陵の地で過ごさせていただく事が出来ました。
色々な人に支えられ、そして励まし教えられ自分が今ここにいます。
10年目のオーキニーもこれより益々パワーアップする計画を立てています。
私の身体の腰痛と老眼がこれ以上進んでくれないことを祈りつつ皆様方に今よりもっと喜んでいただけるように、思いを形に変えていきたいと思います。
本日この日が私にとってはとても感慨深いものであるのですが、勿論妻は一体何の日かもわかっていないことでしょう。
帰宅しても恐らくいつもと変わらない「お帰りなさい」を言って来てくれるでしょう。
ですがそんな妻だからこそ私が今の成長を遂げられました。
これからも私たちは良い意味で変わらず、そして良い意味で変わっていきます。
これからもよろしくお願いいたします。
倉より浜より郎より六兵衛が好きな斉藤です。皆様お元気でしょうか。
お陰様で先日まで妻の実家の長野県に帰省していました。
皆様の中でも家族とお車で遠出する時に感じていらっしゃる方がいらっしゃる事と思いますが、小さい子供って車に乗ると必ず「ねえお父さん未だ着かないの」と行ってきますよね。
勿論我が家でも子供たちが例に漏れず「着かないの」を発車10分位から連呼してきています。
ただ、斉藤家では「未だ着かないの」を5回以上言うと私が「子供たちが大切にしているものの何かを容赦なく捨てる」という教訓が生きているせいか、娘「蒼(息子)ちゃん。今3回言ったからあと1回しか言えないよ」息子「お姉ちゃん。今蒼(息子)君の着かないのは何回目なん。」と何だか訳のわからない会話をして毎回スリルを楽しんでいる様子。
そんな子供たちに退屈させない為に私がよく突発的に運転中に家族で出来るゲームを始めたりします。
それで、今回の旅行でもゲームを始めました。
ゲーム名は「古今東西」。飲み会などでよくやる例のゲームです。お題を「お寿司のネタ」にしました。
要は一人ずつ順番に知っているお寿司のネタを言っていき、誰かが答えられなくなると終了。もしくはどうでも良くなって違う話題で盛り上がり始めても自然に終了。
こういう時、普通の家庭では子供が少しでも自分の考え着いた答えを言わせてあげるために、子供から開始されると思いますが斉藤家では何故か妻が「じゃあ私からね。えっと○○・・・」と早々に始めてしまいます。
この時は最初の方に飛び出してきたのは、やはり子供たちに人気のあるネタ達でした。
マグロ、いくら、イカ、タコ。
私は出来るだけ子供たちの口から出てこなそうなネタを探しながら答える事にしました。それが大人の対応だと思っていました。
アナゴ、エンガワ、しめ鯖、コハダ。
しかしグレートナチュラルワンダーボーンである妻の答えはそんな私の対応なぞお構いなしに頭に思い上がったものだけを答えて行きます。
答える順番が 妻→(一応)息子→私→娘→妻・・の順番だったのですが例えば娘が「中トロ」と答えると
妻「えっと大トロ」
娘が「エビ」と答えると
妻「じゃあ甘エビ」
じゃあってなんやねん。
娘の「ツナサラダ」の後に「シーフードサラダ」。そして「納豆」の後には「納豆まき」まで飛び出しました。
途中でさすがに娘も「お母さん真似しすぎ」と少し怒りだしたのですが、妻は「最初から言おうと考えていた」の一点張り。
そこで終盤、助手席に座っている娘と結託して「お母さんが真似しずらいネタをこっそり教える」と言うチームプレイを決行しました。
私が口パクで娘にネタを伝えて順番に答えました。
私が真鯛。娘の口からはマアジ。
言い終わった後に運転している私の顔をのぞき込んで嬉しそうに口を押えて喜ぶ娘。
案の定、彼女は相当悩んでいる様子でした。数十秒の沈黙が続く社内。
さあどうなることかと発言を待っているとわかんないを連呼していた妻が突然口を開きました。
「あっ。ピンコーン。お母さん分かっちゃった。」
なんだなんだと聞き耳を立てる私と娘に対して妻の発言
妻「えっとねカルフォルニアロール。」
なんじゃそりゃ。
私「なんやそれ。そんなんお寿司のネタちゃうやん。」
妻「ええだっていいじゃん。ちゃんとあるよ。この間みたもんスシローで。」
ううん聞いたことがあるようなないような感じ。まあ隣にいる娘も「お父さんあるかもやわ・・・うち見た事あるもん」と言い出したので一応許可しました。
その後、何か勢いに乗った妻は、王道の答えを走る私と娘を他所にやりたい放題。
妻「はーいじゃあ私ミートボール」
妻「からあげぇ。」
妻「生ハム。そう生ハムぅ。」
その他にも茄子やら手羽先やら、本当にあるのかどうかわからないネタを連呼するノンストップさおりくん。
つられた娘も途中から「じゃあうち豚骨ラーメン。だってあるもん」などとぬかし始める始末です。
もうこうなったら意地でも威厳を見せつけてやろうと躍起(やっき)になって本来の「お寿司」を探す父親の私は対抗して、かんぱち、ミル貝、鉄火巻。しまいにはバッテラなどと言う最近では見かけないネタまで飛び出させました。
しかしついにはリンゴジュースやチーズケーキまで繰り出され止む無く敗退。所詮はフレスコとイオンモールの品揃え。
「いぇぇぃ(Yei)。お父さん負けぇ。」「うちらの勝ちぃ。」
なんやねんお前ら腹立つわぁ。
後部座席からの息子の「お父さんよっわ」の声に理性を失いそうになりましたが、最後まで口にしない出来る父親であり続けました。
私が幼少の頃、五条通のMKボウルの近くに「にさんが六兵衛」という26皿以上食べたら店に名前が番付表に残り展示され、食事代金が無料になるという伝説の回転ずし屋さんがありました。
そこに変わり種のネタとして「うずらトロロ」という軍艦がありました。友達たちの中にはそのネタを「邪道」として寿司の一種として認めないものも多くいました。
あの時代が懐かしい。
皆様。私は勝負に買って試合に負・・・いや寿司に買って○シローに負けたのです。
最近ではコーヒーまで回るようになった回転ずしチェーン店。今度は何を回すつもりか知りませんが私は声を大にして言いたい。
それは本当に回す必要があるのか。大切な何かを失ってしまう前にもう一度よく考えてください。
ちなみに万が一、酢豚や餃子などをシャリに乗せようと考えているのなら是非うずらトロロを先に希望します。
あ。全く伝えるのを忘れてしまっていましたが長野は楽しかったです。
ヤンヤヤンヤンヤンヤンヤン ヤンヤンヤンヤンヤーン
チャイナガール、チャイナガール、シンポンソンポンヌー。
おはようございます。連日子供達と外に遊びに出過ぎて、いつでも「愛のメモリー」が歌いだせるくらいの雰囲気にまでサンターンしてしまった男ヒロミ松崎です。
と言う事で今回は先週の営業中に私に起こった「自分と言う醜さそしてちっぽけさ」を嫌と言うほど感じさせられた事件についてお話します。
先週一週間は本当に暑い日が続きました。
そんな暑い日の最中、その出会いは突然起こりました。
「コンニチハ」
私がスタッフルームで休憩している時、玄関の扉が開く音とともに声が聞こえてその後仕事をしていた妻からの「ヒロミさーん」という呼び出し声で、慌ててフロアに出てきました。
声の主は20代の女性でした。
女性は手にスマートフォンを握りしめて額に大量の汗をかいていました。
「はい。どうなされましたか。」
舌先に感じる未だ口の中で歯の裏側にしつこくへばり付いてるチリメン雑魚を気にしながらも笑顔で対応する私に対して女性は「アァ・・・」と言いながら手に持つスマフォを弄りだしました。
なんだ。と思い失礼ながらもスマートフォンの画面をチラ見すると、その女性が日本人ではないことが判明しました。
女性は恐らく中国人でした。
以前、こちらのブログでも何度か中国人に関わるお話を紹介したことがありますが、私の人生は本当に中国人と関わる出来事が多いようです。
女性は何やらグーグル翻訳らしきソフトに向って一心不乱に漢字を打ち込んでいました。
何か道でも聞きたいのかな、と思い、やや不安を感じながらも女性の行動を作ってしまった笑顔を崩せないままに直立不動で待っていました。
3分ほど。
長げぇなぁおい、と思いながらもその打ち込みが終わるまでお弁当の残りも食べられず、次のお客様の来店時間を気にしていると私の顔から笑顔は自然と消えていました。
ようやく中国語を打ち終わった女性は私に画面を見るように「アァ・・・プリーズ」と言ってスマートフォンの画面を向けてきました。
「私は携帯電話の電池が少ないです。私はあなたの携帯電話の充電を借りることが可能ですか。」
画面には日本語でそう書かれていました。
話は変わりますが、オーキニーを御陵でオープンして以来本当に多くのそう言った通行人がご来店されました。
道を教えてほしい方は別ですが、お金を貸してほしい、トイレを貸してほしい、ライターを貸してほしい、水を飲ませて欲しい。
最初のうちは人助けの為ならば、と快く承諾したりしていたのですが、トイレは使用後に汚されるわ水は紙コップを大量に使ってガボガボ飲まれるわライターは着きにくいと文句を言われるわでロクな目にあった事がありませんでした。
お客様の迷惑になる可能性が高い、と言う事を知ってからはそういった方のご協力を断るようになりました。
携帯(スマフォ)の充電器を貸してほしい。
中国ではこういったことは当たり前なのでしょうが、言われた瞬間以前の伏見稲荷のスマイル事件やレゴランドでの出来事を思い出してしまい少し身構えてしまった私は色々なケースをシュミレートしてしまいました。
ちょっとあつかましいんちゃうか。
充電すると言う事は仮に電源とソケット(充電器)を貸してあげたとしても最低でも1時間ほどはオーキニーの電気に繋ぎっ放しにしないといけない。
まず最初の問題はその間この女性はどうするというのか。
店のソファーで待たれるとどうしても私の気がそちらに何%か向かってしまう。その結果お客様に失礼な雰囲気になる可能性が極めて高い。
仮にコンセントに差して何処か外出されるとなってもその間に中国製の得体の知れないスマフォが店に置きっぱなしになってしまう。爆発とかする可能性が無いとも言えない。
と言うかセコイですがスマフォの充電て電気かなり使用すると思うけどこの人分かってるのかな。
そして何より手に持っているその翻訳の機能を果たしているスマフォも使えてるってことはまだ電池が切れてないって事ではあるまいか。
食事中に急に呼び出されて3分間も放置プレイをされてややイラッときていたのもあり、それらを踏まえて私の中での選択肢は「NO」しかありませんでした。
女性が持っていたスマフォが店にあるプラグのアンドロイド用ではなくIphoneだったので結局貸せない、と言う事もあったのですが。
「ソーリー。アイドントハブユアスマートフォンズプラグ」
合ってるか通じるか否かなんて関係なく顔の表情を申し訳ない感じにしてから両腕を交差させて×を作り、その後に掌を合わせてスミマセンというジェスチャーを作りました。
恐らく英語もあまり分からない方だったと思いますが、何となく伝わったのか非常に困った顔をしだしたその女性は「オォ・・・」と言いながらスマートフォンの画面を又触りだしました。
流石に女性の困った顔を見ているとなんだか申し訳ない気持ちになってきて、いてもたってもいられずにとりあえず店のすぐ近くにある交番を教えてあげることにしました。
「ザッツウェイ・・・ゼア・・ポリボックス」
なんでポリボックスやねん、と思いながらも何とか通じないかと英会話を続けていたのですがそもそも英語があまり伝わっていない様子だったので紙に地図等を書いて意思の疎通を図りました。
しかし私の中に「警察行っても充電器なんて貸してくれよらへんかも。しかも御陵の交番ていっつも誰も出て来よらへんしアカンやん」という不安が大きくなってきてしまい、途中まで書いていた地図を丸めてごみ箱に捨てました。
そして少し歩いたところにある郵便局の隣のパソコンショップなら、という考えに至りそちらを教えてあげることにしました。
「ワンタイム。ポリボックス・・・はオイトイテ」
両手で抱えていた荷物をその横の床に置いた風のジェスチャーをして店にあるノートパソコンを持ってきて女性に「パソコンショップイズゼァ。ショップハブスマートフォンソケット。」と江頭さんみたいなわけのわからないボディトークを繰り出しながら、それでも通じていなさそうな彼女にそこまでの地図とコンセントやニコニコ顔の店員さんと彼女の似顔絵を書いて渡しました。
それを見て嬉しいんだかがっかりしてるのか分からない表情になった彼女。
これでは拉致が明かない、と思った私は妻に「ちょっと行ってくるわ」と言い残し店の扉を開けて「レッツジョインミー」と昔の西田ひかるが出演していた英語教室のCMのような言葉を発して彼女をそこまで案内しようとしました。
彼女は仕草でそれを拒み、又「アァ・・・」と言いながらスマートフォンを弄りだしました。
又数分待たされて見せてくる画面をのぞき込むとそこには
「私は私の自転車をこちら側に残していいですか。私は歩いてそこまで行くつもりです。」
と言う文字が書かれていました。
とりあえず少し話が通じたのが嬉しかった私は「オッケー。ビーケアフル。あそこねゼァ。あ、そ、こ。」と伝えて、彼女の自転車を店の横に駐車して行かれる事を許可してあげました。
と言うか自転車乗ってたの。観光客違うんかいな。ていうか自転車なんで置いて行かはったんやろか。
などと思いつつ取りあえず通常業務に戻ったのでした。
「さっきの中国の人、パソコンショップの前でウロウロしてたけどひょっとしたら店閉まってたんじゃないの」と心配していた妻を他所に、さっき書いた彼女の似顔絵が腑に落ちなかった私は、もう一度紙と鉛筆を握りしめて記憶をもとに似顔絵再チャレンジに全神経を傾けていました。
そしてその後、新たな不安が私を襲います。
10分。20分。すぐ近くのはずなのに彼女は自転車の元へは一向に戻って来ません。
「もしかしたら新手の詐欺か中国風の手口で、停めておいた自転車を元に何か言いがかりをつけてお金をせびって来るのではあるまいか。」
停めておいた自転車がパンクしたとか無くなったとか、なんかこう美人局(つつもたせ)的な奴やったらどうしよう。
1時間。2時間。そして気が付くと事件発生から4時間が経過していました。
うっわ。これ完全にやられたマジかおい。
簡単にこんな手口に引っかかってしまった自分の人間としての未熟さに後悔しました。
妻に何となく謝らないといけないと思い「さっきの中国人の人、ごめんな俺の不注意や」と自分の頭の中にあった最悪の展開を説明しました。
妻は黙ってそれを聞いてくれました。
そして夕方。妻が帰宅しようと片付けをしていた時に不意に再びお店の扉が開きました。
そこには先程の中国人の女性の姿がありました。
うわ思ったより早い仕掛けや。と思いながらも取りあえずそばまで近寄っていく私。
「アリガトウゴザイマシタ。」
彼女は手に持っていた袋を私に渡して頭を何度も下げてそそくさと店を出て行ってしまいました。
あれ何このビニール爆弾。中国人マフィアによる襲来は無いの。
私はただ茫然と渡された爆弾が入っていると思われるビニール袋を手に立ち尽くしていました。
気が付くと店の横に置いてあった自転車はなくなっていました。
どうやら良く分かりませんが彼女は自転車を取りに気がてらお礼をしに戻ってきてくれた様子でした。
時限爆弾のチチチと言う音などカケラもしないビニール袋の中身は「西尾の八つ橋」が入っていました。
それを確認しながら、私はただ自分の犯した過ちを反省することしかできませんでした。
情けない。なぜもっと人を信頼するところから始める事が出来ないのであろうか。
固定観念、既成概念。すべては自分の心が決めているってあいだみつおさんも書いていたじゃないか。
ここ数年自分の身の回りで起こった出来事で私はいつからか「中国人との接触は避けるべき」という気持ちになっていました。
幼少のころ三国志を嫌と言うほど読み返しました。ジェットリーやジャッキーチェン、マイケルホイにどれだけお世話になった事でしょう。
中国の皆さま今まで色眼鏡で見ていたことをお許しください。本当に申し訳ございませんでした。
と言う事で私は今日からオーキニー日中友好条約を誓う事を皆様に宣言します。
明日から月に一度は昔見ていた香港映画や横山光輝の三国志を見直し紹興酒を飲みシェイシェイとニーハオ以外の言葉を勉強したいと思います。
よし。帰りにゲオ寄ってワンスアポンチャイナ久しぶりに借りて帰るか。
冗談さておきこれからはもっと心を広く持っていきたいと思います。名も知らぬ中国人女性の方、色々と気付かせていただきまして本当にありがとうございました。
劇終