オヤジ達から始まる運動会

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2014.09.28

 おはようございます。子供たちの歓声と空鉄砲の音が鳴り響くこの季節、皆様如何お過ごしでしょうか。

 

 今朝は朝五時に起きた斉藤です。

 

 今日は私の息子(2歳)の保育園の運動会。

 

 と言うことで父親の威厳を見せつける良い機会「場所取り」のためにグラウンド横で健気に早朝から並んでいました。

 

 皆様はこの「子供の運動会」が行われる時期に、実は裏で必ずもう一つのドラマが存在したのをご存知でしょうか。

 

 私がこのドラマに参加するのもかれこれ六年目になります。

 

 そう。それは「お父さんたちの場所取りバトル」です。

 

 

 今年は例年より遅めの参加で朝五時半に並びに向かった私でしたが、なんと前から四番目と言う驚く好位置をキープできました。

 

 「子供の為に我が身の犠牲をいとわない系」である並びの達人の父親達に軽く朝の挨拶を済ませて持ってきた簡易チェアを設置し列についた私。

 

 恒例となった一番前の先輩に「何時から並んでるんですか」と言う質問を開始します。

 

 本当は来年のこのバトルを如何に効率的に勝ち取るためか、と言う私の計算され尽くした戦略の一つとは知らずに手の内を明かす先輩の口から出た答えは「四時半」との事でした。

 

 

 六時。

 

 この時間になると、「あんまり朝早よから並べへんけど、まあ子供のためにがんばるわ」と言う「やや努力系親父」達が集まってくる時間帯になます。

 

 気がつくと私の後ろには20人程の列が出来ていました。

 

 

 六時半。

 

 この時間帯になると、「取り敢えず早めのほうがエエんとちゃうか系」の親父達に紛れて奥様方の姿がチラホラ見受けられ始めます。

 

 列の人数はこのあたりで50人位になります。

 

 こうなってくると知り合いや顔馴染みの家族同士が出会えるようになり、奥様方とよそ家族の親父の雑談が聞こえてくるようになります。

 

 そして「デジャヴか」と思えるような毎年同じ話題が耳に入ってきます。

 

 「おお。○○さんの奥さん。早起きやな。ご主人どうしたん。」

 

 「ああ○○さん久しぶり。うちの相方叩き起こしたけど全然起きよらへんかったねん最後蹴り上げたったわ。あんな奴知らんわ。」

 

 「おはようさん。ご主人どなしたん。」

 

 「おはよう。今ずっと夫婦喧嘩してんねんムカつく。あいつの席だけ取ったらへん。」

 

 家庭それぞれに抱える問題。悩みは尽きませんね。

 

 そして七時。

 

 この頃になると、列の人数は6~70人になり席を立ってフェンス越しに下調べを始める親父達が多くなります。

 

 気の早い人になると、すでに簡易チェアを折り畳み、持ってきたゴザを開け始めてウォームアップを開始します。

 

 そして続々と現れる保育園の先生方。

 

 既に場慣れしまくってる私は他の親父達とは違い、先生方に朝の挨拶をかかしません。

 

 先生方に手間を取らせないため校門だって開け閉めしちゃう余裕さえ見せつけます。

 

 それをみて我に帰り、真似をし出す他の親父達。

 

 そしていよいよ全てが始まる「開門時間」七時半が近付いてきました。

 

  簡易チェアを片付け終わった親父達の列は長さを半分ほどに縮め、周囲の空気が軽く殺気立っているのを肌で感じれるこの時間。

 

 園長先生が登場し、選手達に今回のルールを説明し始めます。

 

 「本日は朝早くからご苦労様です。今から門を開けますので、呉々も走ったりしないでください。それと足元にゴミが無いか皆さん確認してから中に入ってくださいね。」

 

 思い起こせばまだ駆け出しだった七年前。

 

 この園長先生の言葉を鵜呑みにしたばかりに、好位置をキープしていたにも関わらず歩いて戦場に出向いたため他の親父達に小馬鹿にされ、ものの見事に屈辱なゴザ敷きをする羽目になったっけ。

 

 しかし六年と言う月日は私をたくましく、そして素敵に成長させてくれました。

 

 勝負は、門を超え、そして園長先生がいるラインを三歩越えた辺りの左曲がりのコーナーから。

 

 早くからダッシュをかましてしまうと、恥ずかしい注意を受ける恐れがあるのは経験済み。

 

 この日の為に昨日わい亭(お好み焼き屋)でスタミナ「ホソ焼き」と大量のガソリン「アルコール」を補充したし準備は万端。

 

 右手に持ったゴザは叩いたら開く大きさに畳んであり、左手にはゴザを抑える重石になる簡易チェアが。

 

 そして時は満ちた。運命の時間。

 

 位置について用意どーーーん。

 

 予定通りラインを越えた辺りからギアをthirdに入れて奥歯をカチッと噛んで加速装置を作動。

 

 足より先に身体を左に曲げてからハングオンの要領で遠心力を利用するため斜めに身体を傾けます。

 

 一人抜き。

 

 よし身体はまだ鈍ってない。

 

 二人目をかわす。

 

 遠心力は我にあり。小回りが利く小柄な身体をこの時ばかりは感謝せずにはいられない。

 

 残り150m。

 

 目指すはグラウンド最奥地である神四(かみフォー)と呼ばれる「木陰の極上ウッドデッキ」。選ばれし4人だけが辿り着ける聖地。

 

 

 

 残り120m。

 

 後ろの方で誰かがコケた音がしたけど今だけは、そう今だけは薄情な私を許して欲しい。

 

 残り80m。

 

 先頭を行く背番号3番の紫のポロシャツ親父、あの襟の形・・・・奴はラルフローレンか。

 

 流石に馬(ポロ)には勝てないと悟り、1番手は諦めた私。

 

 残り60m。

 

 2位確保に少し安堵感を抱いてしまい気を抜いてしまった私を、後ろから凄まじい掛け音と共に一瞬にして何者かが抜いて行きました。

 

 速い。速過ぎるよ。他の親父たちよりも3倍は速い。奴はシャアか。

 

 残り30m。

 

 気を引き締め直し一度の「パン」で広げられるようキティちゃんのゴザの端っこを持ち直し3番手の死守を心に誓い力の限り走り続ける私。息子たちよ見ていてくれ。

 

 残り10m。

 

 既に神四の二席はシャアとポロに取られてしまった・・・・しかし未だだ。まだ終わらんよ。

 

 体を前に倒し、精一杯キティちゃんを持った右手を伸ばす私。

 

 届け。届けぇぇぇぇ。

 

 

 

 日 月 火 水 いかすぞヒロミ がんばれヒロミ つよいぞヒーローミー。(大映児童合唱団ガメラの歌より)

 

 風がなんとも心地よい。

 

 八時半。

 

 片ほうの手にバスケットを、もう片ほうに息子の手をひいて要約現れた妻に聖地のバトンタッチを。

 

 妻「お待たせ~。おっ結構いい場所とれたね。おつかれちゃ~ん。」

 

 裏でこんなメイクドラマがあったとは露知らない妻から出た言葉に、全気力と魂を持って行かれそうになりましたが取り敢えずこれで任務完了。

 

 息子よ。

 

 父は頑張ったぞ。あとはお前の出番だ。

 

 この父からの「最後まで諦めない」と言う名の襷(たすき)大切に受け取って欲しい。そして大きく成長して欲しい。

 

 ではフクラハギに溜まった乳酸が回復する事を祈りつつ今日も一日仕事がんばります。

 

 朝から長文失礼いたしました。

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