前回のブログを読まれてない方はまずはこちらを御覧下さい。
→≪そして何も変わらなかった(序章)≫←
事の発端はさかのぼる事3週間前。
営業中に巨大なリュックを背負った怪しげな男性が店の前を行ったり来たりしていました。
その男性はしばらくして店内にゆっくりと入って来ました。
要件を伺ったところ「関西テレビのモノですが少し話を聞かせて頂いても宜しいですか」との事。
丁度時間が空いていたので快く引き受けた所、うちの店の評判を色々なところで聞いてきた様子。
私が「どういう風に聞いてこられたんですか」と尋ねると
「山科をこよなく愛していてこだわった美容をしている、と聞きました。」
そして
「お店のブログがとにかく面白い」
と言う事でした。
これに気を良くした私。その男性を「ゆっくり話をしましょう」と言って奥のテーブル席まで招待します。
ご丁寧にその方も私のブログを見て下さったらしく「ご主人凄いですね」と感想を伝えてくれました。
凄いと思った理由を伺うと、何話か前のブログの「鼻の穴に10円玉を突っ込んで取れなくなったエピソード」について感想を述べてくれました。
「本当に10円玉取れなくなったんですか」としきりに聞いてくる男性。正直「そこかぁ」と心の中で思いましたが、見てくれている事に変わりはないのでそのまま色々な話をしました。
店の主旨や山科を今後どうして行きたいのか、どういう想いで美容室を経営しているのか。
その男性は「おもしろいおもしろい」と言ってしきりにメモを取っていました。
その後30分程でインタビューが終わり、男性が「ちょっとどうなるか分かりませんが今度ディレクターが挨拶に来るかも知れないので宜しくお願いします」と言い残して店を出て行きました。
まあどうせ(私とお店に)何のインパクトもないからボツになるでしょ。そう思っていて1週間が過ぎた頃一本の電話が入りました。
電話の主は関西テレビ。2日後に私とのアポの時間をお願いして来られました。
そしてその当日、気の良さそうな男性が来店されました。
差し出された名刺には「ディレクター」の肩書が書かれていました。
D「先日のモノから色々とお話伺って。ご主人、たいそう面白い人生送って来られてるらしいですね。」
その瞬間「嗚呼。これはテレビに出るフラグ立ったな。」と心の中で思いました。
私「いやいや。そんなエエモンじゃないですよ。」
D「いやいや。ブログも拝見させて頂きましたよ。面白い。」
このキーワードで又前回に引き続き上機嫌になる単純な私。「マジですか。一体どこが面白かったですか」との問いにディレクターの方
D「小学校の頃鼻の穴に10円玉詰められたんですね。」
またそこかよおい・・・
D「しかも左の鼻の穴だけまだ大きいって本当ですが。」
慌てて私、咄嗟に鼻を手で隠します。
そんな事書いたっけ・・・・ああ確か書いた気がしてきたぞ。
私「あはは。そうですねほんの、ほんの少しだけ大きいんですよ。」
実際大きさは左右ほとんど変わりはありません。と言うかアレは流れで書いただけであってややフィクションですゴメンナサイ。
正直にそう言えてればどれだけ楽だったか。今思えばそこから何かの歯車が狂い始めていました。
その後しきりに至近距離から執拗に私の鼻孔を眺めてくるディレクターさんと色々な話をしました。
その話の中で、前回話した「山科」と「ブログ」そして「美容の主旨」以外に「東京の有名店で働いていた」というエピソードと「夫婦営業で喧嘩をした」という話が新たに加わって来ました。
そこでディレクターさんが一番食いついて来たのが「東京で働いていた」と言う話でした。
東京で働いていた時の私に対してどうやら「カリスマ美容師」と言う認識を持たれてしまった感じでした。
私は東京の頃の自分が嫌いです。
その頃の私は今では想像できない位トゲトゲしていました。
なのでプロデューサーさんに「年収も顧客数もどれをとってもカリスマですやん。」と言われた時、何か胸の中にモヤッとした黒いモノが生まれてくるのを感じました。
結局そのままプロデューサーさんは「カリスマ時代の写真とか自宅とかに残ってますよね。出来たら当日までに用意しておいてください。」と言って帰って行かれました。
確か東京時代の写真は余りなかった気がしたのですがとりあえず「探してみます」とだけ伝えました。
しかしこの辺りから私の心の中に不安感が生まれ始めます。
もし。もし撮影が来てからブログの話から「右の鼻の穴だけ大きい」事を突っ込んでこられたらどうしよう。
その日から誰にも知られる事の無い、私の影の地道な努力が始まります。
その行為とは
夜寝ている間中、右の鼻の穴に直径約1センチの消しゴムを詰めるという行為です。
撮影当日まで6日間、1日に1mmづつでも大きくなれば、或いは鼻の皮膚が柔らかくなればなんとか急場はしのげる。本気でそう思いました。
一日目。
目覚めた時には鼻の穴から外れてしまっていました。
二日目。
上からセロテープで包装した所、目の下がかぶれました。
三日目。
医療用の高級なテープでテーピング。980円もしました。
そして四日目・・・
何であんな事書いたんだろう、と後悔しながら過去のブログを読み返して見た所、ある間違いに気付きます。
鼻の穴、右やなくて左やったぞ。
半泣きになりながら逆の穴にチェンジ。そしてやや膨らんでしまった右の鼻の上から今度は消しゴムを入れずにテープで穴が塞がるように又テーピング。
しかしその夜、両鼻孔が塞がって呼吸が出来ないことに苦しめられ、やむを得ず右を捨てて左に全力を注ぎます。
結局当日までに奇跡は起きず、万が一の場合に備えて少しでも左の鼻の穴が大きく見えるように左だけ中の鼻毛を全部剃ってしまいました。
何をしてるんだろう。
又両立してもう一つの不安要素も日に日に大きくなっていきました。
元々、山科大好きと言うこととブログが面白いとの事で話していたはずなのにいつの間にかカリスマ美容師という名目になってしまっている。
以前こちらのブログでも話していたように、私はオーキニーを私達の美容室を「東京帰りだから」とか「芸能人やってた事あるから」とかそういう理由で選んで頂きたくないのです。
しかしそうは言ってもテレビ局の方達がどういう風に美容室に対して興味を持ったのか分かりませんし、お願いされた写真を用意しておか
ないと迷惑がかかるかも知れない。
そんな不安を抱えながら当日まで一生懸命昔の美容師時代のカリスマっぽい写真を探したのですが見つからず心身ともにボロボロな状態で撮影の日を迎えたのです。
続く→「そして何も変わらなかった(中編)」へ←
前回のブログを読まれてない方はまずはこちらを御覧下さい。
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事の発端はさかのぼる事3週間前。
営業中に巨大なリュックを背負った怪しげな男性が店の前を行ったり来たりしていました。
その男性はしばらくして店内にゆっくりと入って来ました。
要件を伺ったところ「関西テレビのモノですが少し話を聞かせて頂いても宜しいですか」との事。
丁度時間が空いていたので快く引き受けた所、うちの店の評判を色々なところで聞いてきた様子。
私が「どういう風に聞いてこられたんですか」と尋ねると
「山科をこよなく愛していてこだわった美容をしている、と聞きました。」
そして
「お店のブログがとにかく面白い」
と言う事でした。
これに気を良くした私。その男性を「ゆっくり話をしましょう」と言って奥のテーブル席まで招待します。
ご丁寧にその方も私のブログを見て下さったらしく「ご主人凄いですね」と感想を伝えてくれました。
凄いと思った理由を伺うと、何話か前のブログの「鼻の穴に10円玉を突っ込んで取れなくなったエピソード」について感想を述べてくれました。
「本当に10円玉取れなくなったんですか」としきりに聞いてくる男性。正直「そこかぁ」と心の中で思いましたが、見てくれている事に変わりはないのでそのまま色々な話をしました。
店の主旨や山科を今後どうして行きたいのか、どういう想いで美容室を経営しているのか。
その男性は「おもしろいおもしろい」と言ってしきりにメモを取っていました。
その後30分程でインタビューが終わり、男性が「ちょっとどうなるか分かりませんが今度ディレクターが挨拶に来るかも知れないので宜しくお願いします」と言い残して店を出て行きました。
まあどうせ(私とお店に)何のインパクトもないからボツになるでしょ。そう思っていて1週間が過ぎた頃一本の電話が入りました。
電話の主は関西テレビ。2日後に私とのアポの時間をお願いして来られました。
そしてその当日、気の良さそうな男性が来店されました。
差し出された名刺には「ディレクター」の肩書が書かれていました。
D「先日のモノから色々とお話伺って。ご主人、たいそう面白い人生送って来られてるらしいですね。」
その瞬間「嗚呼。これはテレビに出るフラグ立ったな。」と心の中で思いました。
私「いやいや。そんなエエモンじゃないですよ。」
D「いやいや。ブログも拝見させて頂きましたよ。面白い。」
このキーワードで又前回に引き続き上機嫌になる単純な私。「マジですか。一体どこが面白かったですか」との問いにディレクターの方
D「小学校の頃鼻の穴に10円玉詰められたんですね。」
またそこかよおい・・・
D「しかも左の鼻の穴だけまだ大きいって本当ですが。」
慌てて私、咄嗟に鼻を手で隠します。
そんな事書いたっけ・・・・ああ確か書いた気がしてきたぞ。
私「あはは。そうですねほんの、ほんの少しだけ大きいんですよ。」
実際大きさは左右ほとんど変わりはありません。と言うかアレは流れで書いただけであってややフィクションですゴメンナサイ。
正直にそう言えてればどれだけ楽だったか。今思えばそこから何かの歯車が狂い始めていました。
その後しきりに至近距離から執拗に私の鼻孔を眺めてくるディレクターさんと色々な話をしました。
その話の中で、前回話した「山科」と「ブログ」そして「美容の主旨」以外に「東京の有名店で働いていた」というエピソードと「夫婦営業で喧嘩をした」という話が新たに加わって来ました。
そこでディレクターさんが一番食いついて来たのが「東京で働いていた」と言う話でした。
東京で働いていた時の私に対してどうやら「カリスマ美容師」と言う認識を持たれてしまった感じでした。
私は東京の頃の自分が嫌いです。
その頃の私は今では想像できない位トゲトゲしていました。
なのでプロデューサーさんに「年収も顧客数もどれをとってもカリスマですやん。」と言われた時、何か胸の中にモヤッとした黒いモノが生まれてくるのを感じました。
結局そのままプロデューサーさんは「カリスマ時代の写真とか自宅とかに残ってますよね。出来たら当日までに用意しておいてください。」と言って帰って行かれました。
確か東京時代の写真は余りなかった気がしたのですがとりあえず「探してみます」とだけ伝えました。
しかしこの辺りから私の心の中に不安感が生まれ始めます。
もし。もし撮影が来てからブログの話から「右の鼻の穴だけ大きい」事を突っ込んでこられたらどうしよう。
その日から誰にも知られる事の無い、私の影の地道な努力が始まります。
その行為とは
夜寝ている間中、右の鼻の穴に直径約1センチの消しゴムを詰めるという行為です。
撮影当日まで6日間、1日に1mmづつでも大きくなれば、或いは鼻の皮膚が柔らかくなればなんとか急場はしのげる。本気でそう思いました。
一日目。
目覚めた時には鼻の穴から外れてしまっていました。
二日目。
上からセロテープで包装した所、目の下がかぶれました。
三日目。
医療用の高級なテープでテーピング。980円もしました。
そして四日目・・・
何であんな事書いたんだろう、と後悔しながら過去のブログを読み返して見た所、ある間違いに気付きます。
鼻の穴、右やなくて左やったぞ。
半泣きになりながら逆の穴にチェンジ。そしてやや膨らんでしまった右の鼻の上から今度は消しゴムを入れずにテープで穴が塞がるように又テーピング。
しかしその夜、両鼻孔が塞がって呼吸が出来ないことに苦しめられ、やむを得ず右を捨てて左に全力を注ぎます。
結局当日までに奇跡は起きず、万が一の場合に備えて少しでも左の鼻の穴が大きく見えるように左だけ中の鼻毛を全部剃ってしまいました。
何をしてるんだろう。
又両立してもう一つの不安要素も日に日に大きくなっていきました。
元々、山科大好きと言うこととブログが面白いとの事で話していたはずなのにいつの間にかカリスマ美容師という名目になってしまっている。
以前こちらのブログでも話していたように、私はオーキニーを私達の美容室を「東京帰りだから」とか「芸能人やってた事あるから」とかそういう理由で選んで頂きたくないのです。
しかしそうは言ってもテレビ局の方達がどういう風に美容室に対して興味を持ったのか分かりませんし、お願いされた写真を用意しておか
ないと迷惑がかかるかも知れない。
そんな不安を抱えながら当日まで一生懸命昔の美容師時代のカリスマっぽい写真を探したのですが見つからず心身ともにボロボロな状態で撮影の日を迎えたのです。
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