背中を追いかけ

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2022.05.05

 やましなす皆様。各々楽しいゴールデンウィークをお過ごしになられましたでしょうか。

 

 子猫トワのしもべ斉藤です。

 

 さて。2カ月前にこちらのブログでお知らせしました「ダイエットキャンペーン」なるものがありました。

 

 残り1カ月を切ったところで肝心の体重ですが1キロしか痩せていません。、はい。皆様の喜ぶ顔が目に浮かんできます。

 

 このまま行くと目標に届かないことはほぼ確定になってきました。

 

 もう勝負には負けた感じですが、なんとなく自分に対して腹立たしくなり2日前から早朝ランニングを始めました。

 

 今朝、起きて走りに行く支度をしていると連休中で体力が有り余っている息子が早起きしていたので軽い気持ちでランニングに誘ってみました。

 

 「休みやからと言って家でゴロゴロ遊んでるより体動かした方がええぞ。お父と一緒に走りに行くか。」

 

 ほんの少し父親風をなびかせました。喰いつかないであろうと高を括っていました。予想を裏切り放ったフィッシングのルアーにかぶり付いてきた息子。

 

 「僕もちょうど走りたいと思ってってん。」

 

 ほほう。と感心すると同時に心の奥底で何故か大人としての対抗心が沸き上がりました。

 

 「最初はちょっと流し程度にするか。息上がったらしんどいからゆっくり走るし」

 

 息子を思っての優しさたっぷりのセリフでしたが、ランニング開始およそ30秒で間違いだったと知らされます。

 

 「おとう遅ないか。」

 

 後ろを振り返りながら斜め前を走る息子に対して「ほならもう少しペース上げてもええか。」と確認する私。

 

 そういえば息子はサッカーでかなり走りこんでいる通常の小学4年生よりは体力がある男子と言う事を思い出します。

 

 「うわっちょっと早すぎぃ」

 

 などと言うくらいの速さ、ペースを上げろと偉ぶった事を後悔させようという位にいやらしく速度を上げてみましたが横に並んだ息子の顔はいたって平静でした。

 

 「これくらいでもついてこれるか」

 

 確認したところもっと上げてもいいとの答えが返ってきましたが、私は「ゴールデンウィーク中は渋谷街道に車が多いかもしれんし危なくなったらアカンからこれくらいで走った方がええ。」と理由付けをしました。

 

 因みに渋谷街道に車の流れは全くありませんでした。

 

 喉乾かへんか全然大丈夫。休憩したかったら言うてくれ要らん。

 

 常に私の斜め前を走りながら私にとって可愛くない返事をする息子。

 

 「次は右」「この先左」と後ろから声を掛けながら、折り返し地点である中央公園前で信号待ちになり「少し休めるな」と安堵したのも束の間。横断歩道前で立ち止まりながらジョギングの動きを止めない息子を見てとりあえず親として同じ動きを続行せっざるをえない父親。

 

 アクエリアスが私を呼んでいる。

 

 横目で名残惜しく公園入口の自動販売機を眺めながら公園を後にしました。

 

 以前お客様で親子でランニングをするのが楽しい、という話を聞いたことがありました。

 

 こういうご時世になり、父親の背中を見ながら或いは背中を追いかける事によって言葉を用いずとも教えられる何かが親子ランニングにはある、そういう話を聞きました。

 

 何時かは私と息子にもそいう言う機会があればいいな。そう思っていたはず。

 

 今朝それが実現した訳です。

 

 三条通。朝日を背に息子の後ろを追いかけながら、走る姿もりりしく見える息子の背中に「あんま走りこんでないな」と分かってしまうオッサンの腕の振る影が映り込みます。

 

 何か父親の威厳らしいものを少しでも残したい。

 

 そう思い意を決した新幹線の高架下、自宅まで200m付近でスピードを上げて抜かそうと思いました。

 

 「ああ。サッカークラブ頑張ってるんやな。」

 

 恐らくいつも練習中に「ラストダァァッシュ」とか声を掛けられていて条件反射的な何かが体に刻まれているであろう息子がギアを2つあげて走り出し、ギアを一つ上げた私との距離をいろんな意味で逆に広げました。

 

 約10秒遅れ程度で家にたどり着くと、若干息を切らした息子が腰に両手を充てて玄関の開錠を待っていたので、私は息を止め平静を装いながら「お疲れさん」とカギを開けてあげました。

 

 浴室でシャワーを浴びていると、昨日より体の不照りが冷めない事を実感し酸欠になりそうだった事を思い出し今頃息を切らす事が出来ました。

 

 もうすぐ今日の営業が終わります。

 

 リビングに上がり晩御飯を食べているときっと息子が今朝のランニングの事を私に話しかけてくることでしょう。

 

 その話が出る前に私は彼に「いっせーのーせっ」を挑もうと思っています。

 

 いつも最初のじゃんけんはパーしか出さない彼に提案しようと考えています。

 

 毎回最初は指を一本しか立ててこない彼と遊んであげようとたくらんでおります。

 

 そしてそれからゆっくり晩ご飯を食べてお風呂でゆったり筋肉痛になっている太ももをほぐしてあげようと思っています。

 

 今日も一日皆様お疲れ様でした。

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