貯金か借金か

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2024.03.28

 やましなす皆さま春うららいかがお過ごしでしょうか。

 

 瀬戸ワンタン日暮れ天丼ゆうなみこな味噌ラーメン。あなたの島エビフライお嫁にゆぅくぅ、んのりたま。

 

 サッポロ一番は味噌ラーメンより塩ラーメン。マルミヤふりかけならのりたまより味道楽が好きな男斉藤です。

 

 人生で数々の失敗を繰り返してきました。

 

 長年、美容師をしていると「得してる」と感じる瞬間があるのですが、その中で客観的に物事を見れるようなアドバイスをお客様方からいただける事があります。

 

 特に奥様方から見た「良い夫(もしくは父親)としての立ち居振る舞い」に対しての助言が多くあります。

 

 「あの時ああ言ってしまった」「次回はこう気をつけよう」

 

 行った事は取り返し付きませんし、頭でこうしようと誓っていても簡単に出来るものでもありません。

 

 しかし人生の先輩である異性のお客様方からのありがたい言葉は、かなりの確率で最悪のケースを回避すべき救いの手として私を助けてくれているという事実が今日までありますし、その後も心に深く残ってくれています。

 

 昨年末、長年担当させていただいている女性のお客様が冬休みを利用して社会人になっている息子さんとお嬢様の四人で旅行に行くのでその前に髪をキレイにしたいと来店されました。

 

 そう言えば今までその方の口からご主人の話を聞いた事が無かったなと思いつつ「家族5人でそろってお出かけでいいですね」と相槌を打ってみました。

 

 主人は留守番。

 

 いつも笑顔なそのお客様は、突然千と千尋に出てくるカオナシのような表情になり簡潔な返事を私に返してくれました。

 

 「ご主人具合でも悪いんですか」

 

 あまり話を広げてはいけない空気でしたが、ボールがこちら側に投げられている感じだったのでこの返しポッキリで他の話題に変えようと放った私の言葉に対して、その方は表情のカオナシ状態を維持しつつ過去の出来事を話し始めてくれました。

 

 話によるとご主人が、長男のご子息さまの高校の卒業式の際、散々注意したにもかかわらず式前日まで友人たちとスキーに旅行に行ってしまってそこで骨折して卒業式に出席できなくなった過去があったそうです。

 

 それ以前にも家族単位での行動の際の積み重なった経験から、母子の間に沢田研二よろしく「勝手にしやがれ」状態がデフォルトになり、以来完全別行動を貫き通しているとの事でした。

 

 ありがたい体験談はお客様の笑顔と共に即座に私の深層に刻まれました。

 

 話は変わりますが先日、オープン以来ご来店頂いているメンズのお客様がカットでご来店の際、三女様の卒園式が無事に終わったという報告を聞かせてもらいました。

 

 社会人になりたての頃からの長いお付き合いの中で転職、結婚、出産等その方の人生の節目の話を都度相談して下さり、恐らくオーキニーの来店目的の重きをそっち中心に利用していただいてる感じのイケメンの方です。

 

 その彼(お客様)から続けざまに「実はヤバかった」という話を伺いました。

 

 卒園式の前日に高校の頃の友人達からボード(雪山スポーツ)に誘われたそうでした。

 

 奥様から「次の日分かってるよね」と釘を刺されながらも、自分の休みの日に予定を合わせてくれた友人たちの誘いを断れず、愚かにも「日帰り弾丸雪山旅行」に参加表明してしまったとの事。

 

 何処かで聞いた話や。

 

 前の日の深夜に車で出発して一日遊んだ後、ナイターまで滑って帰って来たのは卒園式当日の朝4時だったそうです。

 

 その後睡魔に襲われながら支度をしている彼に対し、お子様の支度を急ぐ奥様と一切関わる時間なく式場に向かい、旅行後に初めて奥様から掛けられた言葉

 

 「式中に寝たらぶっ殺す」

 

 は第三者の私にとって事の重大さを理解するのには十分すぎる破壊力を持っていました。

 

 「あれ寝てたらヤバかったと思います」

 

 笑いながら話す彼に対して、私は覚悟を決めて「それよりもその後の行動をどうしたかが気になり詳しく話を聞かせてください」と一歩踏み込んだ話をする事にしました。

 

 スノボ中も奥様が余り良く思っていない事が気がかりだった、と言う彼は「これで間違っていたら恐ろしい事になる」と思いながら「野沢菜漬け」と「信玄餅」のどちらを土産として妻に買って帰るか(どちらが好物だったか)をリフトに乗る度、記憶の引き出しと格闘していそうです。

 

 「野沢菜やったんすよ」

 

 結局その後スノボの話も出来ず何事も無かったかのように皆で晩御飯を食べた、と報告してくれた彼に私は冷静に誰のためになるのかを真剣に考えてから伝えました。

 

 「そもそも根本が間違ってる可能性が高いっすよソレ」

 

 時として私の事を「何かの先輩」として敬ってくれている彼はどういう意味すか、と不思議そうな表情を浮かべました。

 

 私は昨年お客様から聞いた冒頭の「生涯家庭内村八分境遇」の話を彼に伝えました。

 

 リトマス試験紙がアルカリ性から酸性に変わるが如く変化していく顔色の彼に対して私は話を続けました。

 

 優しさや思いやり、人と人との信頼関係には「貯金」と「借金」があると私は思います。

 

 勿論それは家族とて例外ではないです。

 

 例えば何か周りを顧(かえり)みず自分勝手な行動をした際、いつも周りの事を気遣い他者中心な行動をとっていた方の場合、その自分勝手な行動は「やむを得ない事情がある」と認識される事が多いと思います。

 

 こういうのは貯金を十分にしている方がたまにする引き落とし。借金にはなりません。

 

 そして周りの誰かに迷惑となるであろう自己中心的な行動を行う事。又周りの頑張りの度合いに対して自分は何もしない、という無気力や無関心な姿は全て借金。

 

 美容室で言うといつも来店時間より10分程早く到着される方であれば、まれに遅刻をして来店された場合「何かあったのですが」と心配になったり「きっと何か事情があったに違いない」と思ってしまいそれが寝坊であれ「そんな日もありますよ」と笑って話すと思います。

 

 そんな方が「どうしても」と無理な時間で予約を入れようとされれば、私は自分に無理をしてでも予約を入れてあげようと行動すると思います。

 

 逆もまたしかり。いつも時間にルーズな方であれば予約時間内に来るとは思っていないので、その方に対しては他の方に迷惑が掛かるため無理な予約は絶対に受けませんし、枠に余裕がない時は予約を受けないようにします。

 

 批判覚悟で、これらは差別ではなくむしろ平等であり私が人生の中でそうすべきであると理解できた世の理(ことわり)だと思っています。

 

 ガラの悪い一見の外国観光客に合わせて仕事をすれば、大変な時期に自分たちを守ってくれる大切な地元の方々が離れて行き、不本意ながらもそういう方相手の仕事をしなければいけなくなるのは必然です。

 

 話を戻しますがそんな彼に対して、私は偉そうにも村八分の話の後に「今まで家族、特に奥様に対してお金ではない貯金(善行)はしてきましたか」と尋ねてみました。

 

 「あったかな・・・あ。斉藤さんありましたわ」

 

 「スノボ行く1週間前に嫁が子供の行事忘れてて予定ブッキングしてしまって、俺に代わりで行ってくれと頼まれた際に行ってあげました。」

 

 これはどうだと記憶の旅から帰って来た彼に対して、「それは貯金では無いっすね。」と伝えてから私は経験を交えた持論を展開しました。

 

 「言われた事、お願いされた事をこなすという事は相手(この場合奥様)にとっては対等であり、助け合うという観点から言うとやって当たり前。むしろそれをやってやったと言う言葉や気持ちを持つ事が逆に借金になってしまうと思います。」

 

 貯金は相手が求めていなくても相手の事を思って、そして予想外&打算無しに行った行動により初めて出来るもの。

 

 「貯金どころか借金まみれになっていませんか」

 

 一抹の不安を感じ問いただしてみると、自己防衛の為かお客様は心当たりのある今まで行った「多分貯金できた」行動をリストアップされ始めました。

 

 「仕事帰るの遅くなった嫁さんの為に先に洗濯物回しておいたことがありました」 

 

 その単位で思い出せるという事は貯金出来てない案件。

 

 「休みの日に子供たちを連れて公園遊びに行ってあげてました」

 

 普通な案件。

 

 「アウトドアの時テントの設営やバーベキューの火おこし」

 

 自分がやりたいだけ案件で論外。

 

 「たまに子供にチャーハン作ってあげてます(三女しか喜んで食べてくれないですが)」

 

 その後三女さんがお母さんに伝えていれば30円くらいは貯金出来てるかも的案件。

 

 「えぇ。斉藤さんちょっと厳しすぎませんか」

 

 イヤごめんなさい。それ95%位の確率で借金まみれになってます。

 

 完済する事は恐らくここ数年は不可能な状態であると認識した私は「まずは返済。共に頑張りましょう」と今日からできる身に覚えある小さな行動を色々提案してみました。

 

 居酒屋さんで日本酒を注文した時、グラスに8分目から並並と注いでもらうだけでは足りず、そこから受け皿の升に溢れ出た分。それが貯金として初めて認識されるものであり、例えば「風呂洗っておいて」の声に対して「風呂の換気扇、浴室の窓の網戸までキレイにした」でプラマイゼロ。そこに脱衣所の足ふきマットを除菌して陰干し、更に休日の日におまけで隣の洗濯機の洗濯槽にオキシクリーンまでしたら貯金出来たと言えます。

 

 厳しいかもしれませんが、何かをしたときに「へぇありがとう」と言われているうちは駄目。自分が当たり前にやれるようになって相手から当たり前に思われるようになってそこで初めて「その案件(借金)のみは返済された事になる」事を伝えました。

 

 何年で返せるであろうか。

 

 車で言えばアストンマーチン(スポーツカー)すら買えているかもしれない高額なローンをいつの間にか組んでいたという位の厳しい現実。事の重大さを理解したそのお客様は「今日嫁が「夜はカレーにする」って言ってたので、美容室から帰ったらとりあえず嫁が帰ってくる前に、大きさや形で怒られるかも知れないけどジャガイモと人参切っときますわ。」と目に薄っすら涙を浮かべ、私に「色々ありがとうございました」とうつ向いたままお帰りになられました。

 

 過去の自分に面しているようなデジャヴな感覚を感じながら、私は彼の曲がった背中を目で追いながらいつも以上に心を込めて「お気を付けて」と送り出しました。

 

 頑張れ。いや頑張りましょう。

 

 誰かの知識や経験は、必ずどこかで誰かを救ってくれます。

 

 車も家も高い買い物は信用があるから借金が出来る(と判断される)し許可が降ります。

 

 返す当ても目途も無いのに又他から借金をしているとその内借金など一切できなくなり、又誰からも信用されなくなります。

 

 いつの時代も借りたほうは覚えておらず貸した方は生涯忘れる事はありません。

 

 偉そうな事を書いている私はシャッキング。窓の外アマン。実際私は何もしていませんが。

 

 因みにご存じないかもしれませんがこのオーキニーブログは、毎回必ず私の妻のもとにも配信されている事を最後に明記しておきます。。

 

 なんか怖い話になっちゃった。

 

 皆様もご利用は計画的に。

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