やましなす。皆様ご存じないかもしれませんが私は美容師です。
東京で働いていた頃それなりに勉強し、それなりに活動していたので多少一般の方よりは「毛」に対しての知識を持ち合わせているつもりです。
大昔、ホモサピエンス(人)は体が毛でおおわれているのが当たり前体操でした。
人は長い歴史の中でその時代の地球の環境に合わせて進化していき、体の部位で必要なものは残り、又不必要なものは役割を終えて退化して行きました。
現在、何故頭を覆う部分に頭髪(毛髪)が多く残り、又体毛も毳毛(うぶげ)や短毛(陰毛やひげ等)が残っているのか、それはまだ環境に必要だからだと教えて回らさせて頂いていました。
あ。なんか冒頭の挨拶が長く固くなってしまいスミマセン。中学の頃ヤンキーにビックリマンのレアシール(ヤマト爆神)をカツアゲされた経験がある男斉藤です。
先月の末に出来る男友達家族と旅行に出かけました。
その際その友達と一緒に温泉に入ったのですが彼はほぼ全身をキレイに処理していました。
身体のムダ毛処理。
別にジロジロ見ていた訳ではないのですが、若干気になったので山科に帰って来てから打ち上げの酒の席で何故毛を処理しているのかを聞いてみました。
彼曰く理由は「邪魔になるし健康の面で見ても良い事がない。強制ではないが今はエチケットとして至極普通で残しておいても幸福な要素が学的に一切ない」との事。
その時は「私の勉強してきた理論とは少し違うな」と聞き流していました。
暫くして私の3歳年上の兄がカットをしに美容室に来店する日がありました。
最近ウォーキングにこっている兄はまだ春先だというのに半袖とハーフパンツ&スパッツという軽装でした。
カットの準備をする為、首元にタオルを巻こうとしながらふと兄の腕に目をやると奇妙な違和感を覚えました。
腕毛がありませんでした。
「そんな体毛薄かったっけ」
尋ねる私に兄は椅子に腰かけつつモノマガジンを片手に「別に普通にそろえてるだけや」と答えてくれました。
揃えているの意味が解らないと聞き返すと「スキばさみで短くしてる」と面倒くさそうに言葉を付け足し「それは大人としてのマナーやろ」と説明してから、さらにこう言いました。
「前に気になってたんやけど、この間一緒にキャンプ行った時お前ずっとハーフパンツやったやろ。あの時見てて恥ずかしかったんやけどエエ歳なんやからハーフパンツ履くならスネ毛位処理しとけよ」
ブルータスお前もか。
「俺らちょっと毛深い血筋やししょうがないとは思うけど、今時スネ毛ボーボーに見せまくって歩いてるオッサンなんて結構痛いぞお前」
出来る友人の言葉が思い出され焦りを感じ始めた私は、参考のために兄が何時からそんな思考回路になったのかを尋ねてみると、彼は30歳を過ぎたあたりから腕やスネのムダ毛を処理するようになったとの事でした。
念のためにズボンをまくってもらうと短くカットされたスネ毛を確認することが出来ました。
スキばさみで処理していた理由は「剃る」となるとなんとなく恥ずかしいし全体に自然に短く見えるようにするためという事でした。
※因みに兄は幼い頃から意識が高い系の人種で細かい作業が大好きな男で、音楽のカセットテープのラベルのレタリングなど0.1mmのズレも許さない位文字をきっちり揃える性格でした。
そんな事があった次の日の夕方、私の高校の部活の友人(Fちゃん)がカットに来店しました。
Fちゃんは外装工事の一人親方をしていて年中肌が黒く好きなものは食事とサウナと筋トレという典型的なガテン系な男です。
「ちょっと腕見せてくれへんか」
コイツは大丈夫であろう。そう思ってそちらを優先して受付でまず腕をとりチェックしてみるとFも腕毛が余りありませんでした。
「もしかしてFちゃんも処理してるん毛」
事の経緯を説明するとFはどうやら処理している訳ではなく、外工をしていると汗かきで肌がおかしくなって自然に生えてこなくなるという事(そんな理論は無い)でしたが、さて置き続いて気になる事実を教えてくれました。
「そう言えば俺が通っているジムのサウナの中でオッサンらぎょうさん(沢山)おるけどあんまスネ毛とか腕毛ボーボーの奴おらんなぁ」
マジすか。
「斉藤、美容師さんにこんなこと言うのなんやけどお兄ちゃんの言う通りで今時はマナーちゃうかな。俺は処理してへんけど。」
ニヤニヤしながら上から目線で得意げに話すF。
※因みにFはサブスクの動画サイト(ネトフリやアマプラ)を「金がもったいない」と使用せず、毎週ゲオに入りびたり毎回懲りずに新作DVDの延滞金を2000円位払い続けたり、 セブンイレブンの事を未だに「セブイレ」王将の事を「キング」と呼んでいます。
※昔「スマホ便利やから早く買った方がええぞ」と教えてあげたにもかかわらず「スマホとかいらんわあんなん金掛かるだけやろ」と突っぱねて、数年後私に「斉藤まだアンドロイド使ってんのけ。やっぱ時代はアイフォンでしょ」と言ってくるような男です。
出来る友人や兄からの「ムダ毛処理はマナー」という話はそれなりに染みました。理由は二人とも私が尊敬できる人格や知識を持った人物だからです。
Fのこの言葉は「(自分もスネ毛処理してへんくせに偉そうに上から今時はマナーてどの口が言ってるのか)お前にだけは言われたくない」と私を奮い立たせるには十分すぎるパワーを持っていたのは言うまでもありません。
という事で敗北感(途中から屈辱感)を感じた私は次の休みの日にコストコで早速除毛クリームを購入しました。
説明書にザックリ目を通して「VIO部(デリケート部分)は使用をお控えください」「最大10分を超えない範囲で洗い流す事」等要点だけは忘れないように風呂場にて準備のうえ除毛スタート。
VIOに含まれるか否かで若干苦戦しましたが、とりあえず乳首周りとおへそから下のトライアングル部だけ万一に備えて範囲からは除外。お腹や太もも、おいどの部分にクリームをスポンジで付けて伸ばし、鏡にうつる乳首だけ強調したがっている変態オヤジが現在の自分の姿だと決して認めないように意識を保ちながらスピーディーに塗布終了。
放置時間中、脱衣所に洗濯物を取りに来た妻の影、そして一緒に風呂に入ろうとして服を脱ぎ始めた息子の影に対し、ウケ狙いで今の変態な姿を見て欲しい自分を抑え込みながら退散させたりなんちゃらしているうちに太もも辺りがチクチクしてきたので、時計を見るとすでに10分が経過している事に気が付きました。
知ってるつもりではいましたが改めて除毛クリームが肌に悪い事を知ります。
さぞ排水溝に毛が貯まるであろうと心配していたのですが溝の上にある蓋をとってみるとそこに毛(脱毛)が殆ど見当たりません。つまりは抜けたのではなく溶けたという事。
排水溝を詰まらせたり残骸を発見されて怒らせてはいけないとくまなく掃除を終え、その後体を洗い、仕上げで再び床のタイル部を中性洗剤で磨いてから浴槽に毛が浮いていたりしないよう念のため風呂には入浴せず風呂場を出ました。
着替え終わり、リビングで三角座りをしながらピンク色になって少しヒリヒリする太ももに違和感を感じ、思い切れなかった為にクリームを付けなかった境目、太ももから膝までのツルツルスベスベした肌とそこから下のスネにいつも通り残るスネ毛の感触を手で摩りながら上下に行ったり来たりしていると娘がやってきました。
「何してんの」
別にとは返したものの、もう少しだけ声をかけて欲しかった私は娘と目を合わせず摩る行為を続行。すると変化に気が付いた娘がブッと口の中で音を出してから大きな声で「剃ったん」と驚きの声を上げたので「剃ったわ」とだけ返しました。
「スネ毛残ってるやん剃ってへんやん」
おかしいか。おかしいやろ。なんか恥ずかしいねん。っていうか逆にそっちが恥ずかしいやろ。気持ち悪ないか。意味わからんそっちのが絶対気持ち悪い。
こんなやり取りをしてから、最終的に娘が私のスネ毛に対して長年嫌悪感を抱いていた事を教えてくれました。
後ろから「ようやっと処理したのか」と何事も全て分かっているような口調で追い打ちを被せてくる妻の言葉を皮切りに、女性二人の口から飛んでくる執拗な言葉の暴力に耐えきれなくなった私は寝室に閉じこもりました。
次の日の夜。寂しさを感じながらチューブ内に残ったクリームを両脚のスネの部分に塗りつつ別れの挨拶を簡単に済ませました。
これがマナー。
安西先生、いつもより仕事着のズボンの内側が肌にあたる感触が気持ち悪く何より汗を吸ってくれていない気がします。
船首に立ったレオナルドディカプリオとケイトウィンスレットと同じくらいスネが風を感じてしまっています。
これがマナーか。
それから2日後。スベスベだった表面の感触も通常運転に戻り、毛母細胞の活性分裂により今までより若干太くて黒い(←これは気のせい)新たな体毛が生成され始めました。
6分位で終えなければいけなかった除毛作業をリミット10分きっかり使用してしまった為、未だ赤みが残る私の表皮に育み始めるケラチンタンパク質に対し、私は二度目の除毛クリームを使用する案ではなく替刃が高額な3枚刃のジレットシェービングPROを採用する事にしました。
シェービング(除毛)後、今までの人生で味わった事の無い痒みを両脚に感じ、部位を搔きむしりながら妻に「保湿クリームはどこか」と尋ね案内してもらった先の引き出しからローションを取り出し慌てて擦り込む哀れな中年亭主。
パンパンと太ももを叩いていると妻が同情とも哀れみともとれない微妙な顔つきで「ようやく女の人の大変さが分かったようだね」と何処か得意げな声をかけてくれました。
思い返してみるとその時の妻の表情は、昔私が二日酔いで死んでる時に「漸くつわりの大変さが分かったようね」と声を掛けられた時と同じ顔をしていたような気がします。
これこそマナー。
次の日の夜、入浴時にお風呂場に捨てないで残してあった除毛クリームの説明書の「使用後72時間以内は本商品の使用、及びシェービング等の行為を行わないでください」と言う注意書きを目にして又やってしまったと後悔しながらも湯船につかり、マナーとルールを守る事の大変さを肌と心で痛感しました。
人生に無駄な事はありません。
やがてはこの経験も誰かの役に立ってくれるであろうと思いますし、最悪息子にだけでも何か伝える事が出来る日が来ると思っています。来るのかな来るといいな。
けれども私は言いたい、と言うか思いたい。「除毛マナー」は一過性のものであろうと。
ルーズソックスや腰パンと一緒でその内そんな時代あったねと言われる日が来るであろうし来て欲しい。
だけどとりあえず今年の夏だけはハーフパンツを履きながらボーボー丸出しさん達に「マナー悪い奴らはかなん(かなわない)な」と偉そうに言ってやる。
それがマナーや。
けどこれがルールや。
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やましなす。皆様ご存じないかもしれませんが私は美容師です。
東京で働いていた頃それなりに勉強し、それなりに活動していたので多少一般の方よりは「毛」に対しての知識を持ち合わせているつもりです。
大昔、ホモサピエンス(人)は体が毛でおおわれているのが当たり前体操でした。
人は長い歴史の中でその時代の地球の環境に合わせて進化していき、体の部位で必要なものは残り、又不必要なものは役割を終えて退化して行きました。
現在、何故頭を覆う部分に頭髪(毛髪)が多く残り、又体毛も毳毛(うぶげ)や短毛(陰毛やひげ等)が残っているのか、それはまだ環境に必要だからだと教えて回らさせて頂いていました。
あ。なんか冒頭の挨拶が長く固くなってしまいスミマセン。中学の頃ヤンキーにビックリマンのレアシール(ヤマト爆神)をカツアゲされた経験がある男斉藤です。
先月の末に出来る男友達家族と旅行に出かけました。
その際その友達と一緒に温泉に入ったのですが彼はほぼ全身をキレイに処理していました。
身体のムダ毛処理。
別にジロジロ見ていた訳ではないのですが、若干気になったので山科に帰って来てから打ち上げの酒の席で何故毛を処理しているのかを聞いてみました。
彼曰く理由は「邪魔になるし健康の面で見ても良い事がない。強制ではないが今はエチケットとして至極普通で残しておいても幸福な要素が学的に一切ない」との事。
その時は「私の勉強してきた理論とは少し違うな」と聞き流していました。
暫くして私の3歳年上の兄がカットをしに美容室に来店する日がありました。
最近ウォーキングにこっている兄はまだ春先だというのに半袖とハーフパンツ&スパッツという軽装でした。
カットの準備をする為、首元にタオルを巻こうとしながらふと兄の腕に目をやると奇妙な違和感を覚えました。
腕毛がありませんでした。
「そんな体毛薄かったっけ」
尋ねる私に兄は椅子に腰かけつつモノマガジンを片手に「別に普通にそろえてるだけや」と答えてくれました。
揃えているの意味が解らないと聞き返すと「スキばさみで短くしてる」と面倒くさそうに言葉を付け足し「それは大人としてのマナーやろ」と説明してから、さらにこう言いました。
「前に気になってたんやけど、この間一緒にキャンプ行った時お前ずっとハーフパンツやったやろ。あの時見てて恥ずかしかったんやけどエエ歳なんやからハーフパンツ履くならスネ毛位処理しとけよ」
ブルータスお前もか。
「俺らちょっと毛深い血筋やししょうがないとは思うけど、今時スネ毛ボーボーに見せまくって歩いてるオッサンなんて結構痛いぞお前」
出来る友人の言葉が思い出され焦りを感じ始めた私は、参考のために兄が何時からそんな思考回路になったのかを尋ねてみると、彼は30歳を過ぎたあたりから腕やスネのムダ毛を処理するようになったとの事でした。
念のためにズボンをまくってもらうと短くカットされたスネ毛を確認することが出来ました。
スキばさみで処理していた理由は「剃る」となるとなんとなく恥ずかしいし全体に自然に短く見えるようにするためという事でした。
※因みに兄は幼い頃から意識が高い系の人種で細かい作業が大好きな男で、音楽のカセットテープのラベルのレタリングなど0.1mmのズレも許さない位文字をきっちり揃える性格でした。
そんな事があった次の日の夕方、私の高校の部活の友人(Fちゃん)がカットに来店しました。
Fちゃんは外装工事の一人親方をしていて年中肌が黒く好きなものは食事とサウナと筋トレという典型的なガテン系な男です。
「ちょっと腕見せてくれへんか」
コイツは大丈夫であろう。そう思ってそちらを優先して受付でまず腕をとりチェックしてみるとFも腕毛が余りありませんでした。
「もしかしてFちゃんも処理してるん毛」
事の経緯を説明するとFはどうやら処理している訳ではなく、外工をしていると汗かきで肌がおかしくなって自然に生えてこなくなるという事(そんな理論は無い)でしたが、さて置き続いて気になる事実を教えてくれました。
「そう言えば俺が通っているジムのサウナの中でオッサンらぎょうさん(沢山)おるけどあんまスネ毛とか腕毛ボーボーの奴おらんなぁ」
マジすか。
「斉藤、美容師さんにこんなこと言うのなんやけどお兄ちゃんの言う通りで今時はマナーちゃうかな。俺は処理してへんけど。」
ニヤニヤしながら上から目線で得意げに話すF。
※因みにFはサブスクの動画サイト(ネトフリやアマプラ)を「金がもったいない」と使用せず、毎週ゲオに入りびたり毎回懲りずに新作DVDの延滞金を2000円位払い続けたり、 セブンイレブンの事を未だに「セブイレ」王将の事を「キング」と呼んでいます。
※昔「スマホ便利やから早く買った方がええぞ」と教えてあげたにもかかわらず「スマホとかいらんわあんなん金掛かるだけやろ」と突っぱねて、数年後私に「斉藤まだアンドロイド使ってんのけ。やっぱ時代はアイフォンでしょ」と言ってくるような男です。
出来る友人や兄からの「ムダ毛処理はマナー」という話はそれなりに染みました。理由は二人とも私が尊敬できる人格や知識を持った人物だからです。
Fのこの言葉は「(自分もスネ毛処理してへんくせに偉そうに上から今時はマナーてどの口が言ってるのか)お前にだけは言われたくない」と私を奮い立たせるには十分すぎるパワーを持っていたのは言うまでもありません。
という事で敗北感(途中から屈辱感)を感じた私は次の休みの日にコストコで早速除毛クリームを購入しました。
説明書にザックリ目を通して「VIO部(デリケート部分)は使用をお控えください」「最大10分を超えない範囲で洗い流す事」等要点だけは忘れないように風呂場にて準備のうえ除毛スタート。
VIOに含まれるか否かで若干苦戦しましたが、とりあえず乳首周りとおへそから下のトライアングル部だけ万一に備えて範囲からは除外。お腹や太もも、おいどの部分にクリームをスポンジで付けて伸ばし、鏡にうつる乳首だけ強調したがっている変態オヤジが現在の自分の姿だと決して認めないように意識を保ちながらスピーディーに塗布終了。
放置時間中、脱衣所に洗濯物を取りに来た妻の影、そして一緒に風呂に入ろうとして服を脱ぎ始めた息子の影に対し、ウケ狙いで今の変態な姿を見て欲しい自分を抑え込みながら退散させたりなんちゃらしているうちに太もも辺りがチクチクしてきたので、時計を見るとすでに10分が経過している事に気が付きました。
知ってるつもりではいましたが改めて除毛クリームが肌に悪い事を知ります。
さぞ排水溝に毛が貯まるであろうと心配していたのですが溝の上にある蓋をとってみるとそこに毛(脱毛)が殆ど見当たりません。つまりは抜けたのではなく溶けたという事。
排水溝を詰まらせたり残骸を発見されて怒らせてはいけないとくまなく掃除を終え、その後体を洗い、仕上げで再び床のタイル部を中性洗剤で磨いてから浴槽に毛が浮いていたりしないよう念のため風呂には入浴せず風呂場を出ました。
着替え終わり、リビングで三角座りをしながらピンク色になって少しヒリヒリする太ももに違和感を感じ、思い切れなかった為にクリームを付けなかった境目、太ももから膝までのツルツルスベスベした肌とそこから下のスネにいつも通り残るスネ毛の感触を手で摩りながら上下に行ったり来たりしていると娘がやってきました。
「何してんの」
別にとは返したものの、もう少しだけ声をかけて欲しかった私は娘と目を合わせず摩る行為を続行。すると変化に気が付いた娘がブッと口の中で音を出してから大きな声で「剃ったん」と驚きの声を上げたので「剃ったわ」とだけ返しました。
「スネ毛残ってるやん剃ってへんやん」
おかしいか。おかしいやろ。なんか恥ずかしいねん。っていうか逆にそっちが恥ずかしいやろ。気持ち悪ないか。意味わからんそっちのが絶対気持ち悪い。
こんなやり取りをしてから、最終的に娘が私のスネ毛に対して長年嫌悪感を抱いていた事を教えてくれました。
後ろから「ようやっと処理したのか」と何事も全て分かっているような口調で追い打ちを被せてくる妻の言葉を皮切りに、女性二人の口から飛んでくる執拗な言葉の暴力に耐えきれなくなった私は寝室に閉じこもりました。
次の日の夜。寂しさを感じながらチューブ内に残ったクリームを両脚のスネの部分に塗りつつ別れの挨拶を簡単に済ませました。
これがマナー。
安西先生、いつもより仕事着のズボンの内側が肌にあたる感触が気持ち悪く何より汗を吸ってくれていない気がします。
船首に立ったレオナルドディカプリオとケイトウィンスレットと同じくらいスネが風を感じてしまっています。
これがマナーか。
それから2日後。スベスベだった表面の感触も通常運転に戻り、毛母細胞の活性分裂により今までより若干太くて黒い(←これは気のせい)新たな体毛が生成され始めました。
6分位で終えなければいけなかった除毛作業をリミット10分きっかり使用してしまった為、未だ赤みが残る私の表皮に育み始めるケラチンタンパク質に対し、私は二度目の除毛クリームを使用する案ではなく替刃が高額な3枚刃のジレットシェービングPROを採用する事にしました。
シェービング(除毛)後、今までの人生で味わった事の無い痒みを両脚に感じ、部位を搔きむしりながら妻に「保湿クリームはどこか」と尋ね案内してもらった先の引き出しからローションを取り出し慌てて擦り込む哀れな中年亭主。
パンパンと太ももを叩いていると妻が同情とも哀れみともとれない微妙な顔つきで「ようやく女の人の大変さが分かったようだね」と何処か得意げな声をかけてくれました。
思い返してみるとその時の妻の表情は、昔私が二日酔いで死んでる時に「漸くつわりの大変さが分かったようね」と声を掛けられた時と同じ顔をしていたような気がします。
これこそマナー。
次の日の夜、入浴時にお風呂場に捨てないで残してあった除毛クリームの説明書の「使用後72時間以内は本商品の使用、及びシェービング等の行為を行わないでください」と言う注意書きを目にして又やってしまったと後悔しながらも湯船につかり、マナーとルールを守る事の大変さを肌と心で痛感しました。
人生に無駄な事はありません。
やがてはこの経験も誰かの役に立ってくれるであろうと思いますし、最悪息子にだけでも何か伝える事が出来る日が来ると思っています。来るのかな来るといいな。
けれども私は言いたい、と言うか思いたい。「除毛マナー」は一過性のものであろうと。
ルーズソックスや腰パンと一緒でその内そんな時代あったねと言われる日が来るであろうし来て欲しい。
だけどとりあえず今年の夏だけはハーフパンツを履きながらボーボー丸出しさん達に「マナー悪い奴らはかなん(かなわない)な」と偉そうに言ってやる。
それがマナーや。
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