トム原クル太フライトオフ

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2022.07.22

 山科純奈様。本日も各々にドラマがあり其々に修練されていることと思います。

 

 乗り越えられない壁はなく苦労の先には成長が待っています。

 

 何が起こっても落ち着いていつか経験だったと笑って言えるようになるのですから皆で頑張って乗り越えていきましょうね。

 

 皆様は「トップガン」という映画を見られたことはありますでしょうか?

 

 確か私が中学生くらいの頃に公開されたアメリカの海軍の飛行機乗りの練習生の心熱い映画がそのトップガンという作品でした。

 

 先月に入ってから同年代および映画好きのお客様たちから「斉藤さんトップガンはもう見に行きましたか」という声を爆発的にかけられるようになりました。

 

 みんな何を求めてオーキニーにご来店されてるのか年々わからなくなる今日この頃です。

 

 私も昔に公開された「トップガン」の続編映画がここ最近公開されることは知っていました。

 

 しかしあまりにも熱く「見たほうがいい」という声を多くのお客様から聞くようになり、敷いては母親や兄からも直接LINEで「まだみにいってへんのけ」というメッセージが執拗に送られてくるのでややうんざりしていました。

 

 自分スタートじゃないと満足できず流行りものに乗っかるのが非常に嫌いな性分の為なかなか一歩を踏み出せずにいたのですが、今月の頭に時間ができたので朝一で新京極の映画館で漸く観賞することができました。

 

 5月末からの映画にしては朝一から見に来ている人も多かったのですが、そのほとんどが私と同世代もしくはおじいちゃんおばあちゃんが独り、多くても二人で。私を含めて大体20名くらいが席に座っていました。

 

 やまむらやぁってどんなみせぇばーべきゅーおにくのせんもんてん。

 

 はいはいタレは自家製ね。といつものCMを見終わり始まった映画の冒頭10分でぐっと心をつかまれます。(ネタバレ防止のため端折ります)

 

 懐かしいあのころの記憶が忘れていたストーリーと共に少しずつ蘇っていきます。

 

 あっという間の2時間半の時が過ぎ、映画を見終わった後「嗚呼。いつまでも人は輝ける。もっと人生頑張ろう。」という気持ちになりました。

 

 主人公役であるトム・クルーズは今年でなんと60歳。そしてヒロイン役のジェニファーコネリーは私より4歳年上。

 

 そんな彼らと若い俳優さんたちの演技、そして王道のストーリーに年老いたものが後継の為苦悩する姿は見る人に勇気を与えるものでした。

 

 映画を鑑賞後エンドロールが流れ始め徐々に席を立ち始める鑑賞者。

 

 映画が始まる前によっこらせと席に座る際カバンから飴ちゃんを大量に落としていたご老人がスッと勢い良く立ち上がれている気がしました。

 

 私の3つ横に座っていた腰の位置を頻(しき)りに直していた腰痛もち風のおじさんは「ふんっ」と言って背中を伸ばし胸を張って薄暗い階段を下りていきました。

 

 私もエンドロールが終わる直前までは座っていたのですがトイレが混む事を忌み嫌う性格の為、やや早めに席を立ち150分程度我慢していたモノをアフターバーナーよろしくぶっ放しにマッハ10で化粧室に向かいました。

 

 女性陣の皆様はご存じないかもしれませんが、男性が小便をするとき必ず便器に向かって自分の何の何が正しくポジショニングされているか及び方向性の修正を行うため、ほぼ全ての男たちは背中をやや前かがみにさせ、頭を低く下方部をのぞき込む姿勢をとって何します。

 

 例えればノートルダムの鐘にでてくるカジモドが足元を駆け回るネズミたちの遊ぶ姿を眺めるような姿勢。余計わかりずらいのはご愛敬。

 

  私が着陸態勢に入ろうとするとすでに着艦している男性が一人いました。

 

 彼は珍しく目線をやや高く保ち、いやむしろ見えはしないもののその先にあるであろう青空、漢と書いて男たちがロマンを求めて戦い続けていた制空権を見る勢いでムービックス京都5階の便所の天井を眺めながら何してました。

 

 横目で気にしながら着艦を完了した私が、その手綱捌(さば)きを気にしながら見ていると、残尿を絞り出す行為である通称「上下フィンガーデンデン太鼓行為」も指先だけで行わず肩の筋肉が微妙に動いている勢いで行っていることが確認できました。

 

 きっと隣の彼もトムに勇気づけられ、強く生きていこうと心に決めて何を何していたのでしょう。

 

 着艦してフライトを終えた私は静かにジッパーを上げ操縦室を出てシャワーを浴び(手洗いともいう)に行く際、年老いた方が仁義なき戦いの菅原文太さんを見た後のようなウィンドカットショルダーウォーク(肩で風切りながら歩くチンピラ風姿勢)で着陸態勢に入っていました。

 

 トム原クル太(仮名)は作品中に流れるケニーロギンスの名曲「デンジャーゾーン」を口ずさんでいました。

 

 見上げる先はやはり上空1万フィード。見た感じ80歳位の雰囲気だったので「そのまま何するのは違う意味でデンジャーゾーン」と危惧しながら鏡越しに彼を見ていましたが、おそらくトムになりきっている彼はきっと敵機を撃ち落とし友を助けたかのような表情で気分よさげに何していました。

 

 その時化粧室の外から女性の声が聞こえました。

 

 「もしもしお父さーん。ハンカチ持って入ったん。さっき預けていったからないんとちゃうの。ちゃんと確認していきよしやもういっつもいっつも。」

 

 ジェニファーコネリーのような温もりは私が聞く限りは一切ないその声に瞬時に現実の世界に戻されたクル太さんがこう言い返しました。

 

 「わかってるわぃ。こんな時にもうお前は。いいから待っとけぇ。」

 

 クル太さんの言った「こんな時」という言葉。小学校の頃公文で国語の教科のプリントを瞬く間に「P」まで駆け上った私は、彼の言葉のさしている文章は「何している時」に対してではなく、おそらく「気分よくドッグファイトをしている気分」にかかるものだったと理解しました。

 

 きっとこんな時でもトム・クルーズであれば化粧室の外でハンカチを持って待っているおばあちゃんに対していたずらッ気あるチャーミングな笑顔で答えてあげるんだろうな、と思いました。

 

 映画館を後にしてKALDIで色々と買い物をしている時、私の頭の中ではやはりデンジャーゾーンが流れていました。

 

 しかし残念ながらそこに自分やトム・クルーズは存在しておらず、操縦席にはなぜか菅原文太が乗っていました。

 

 人が頑張る姿は人に勇気を与えます。

 

 どんな時代、どんな情勢になろうとも出来る事考えられる事は絶対にあります。

 

 大事なのはそれをするかしないか決めれるのは自分だけという事。

 

 この映画は製作者や俳優さん達がいろんなメッセージを含みながら情熱を持って完成させた作品だと思いました。

 

 私も難しいことは考えず出来る事感じた事を心のままに出したいと思います。

 

 その代償にではないですが美容室でお客様に対して又失言してしまっていたら御免なさい。

 

 性懲りもなくカテゴリーを「レビュー」に分類しながら映画のことに対してほとんどレビューしなかった事を反省しながら今日も頑張って仕事をしたいと思います。

 

 テイクオフ。グッドラック。

 

 トップガン・マーヴェリック 私的評価 ★★★★★★★★☆☆

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