シャンプーについて

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2021.06.23

 やましなす皆様。いよいよ夏が近づいて来た感も高まり、くせ毛の人は湿気で髪が爆発もしくは跳ねっ返り、毛量が多い人は風呂上がりのドライヤータイムが億劫(おっくう)になり始めている頃だと思います。

 

 いかがお過ごしでしょうか。

 

 毎年「3」の倍数月は誰も望んでいないと噂の「オーキニー通信」発刊月で、先日漸く編集準備発送が終わりホッと一息つける時間が出来ました。

 

 誰にも打ち明けていなかった「新ショウガ好き」体質である事を、先日話しの流れでお客様に打ち明けた所、それまではお互い心にハードルがあったにも拘(かか)わらず意気投合して急接近できて「物事の必然性」を改めて感じれた男斉藤です。

 

 と言う事でお気づきのようにもうすぐサロン通信がお手元に届くと思います。どなたか言われてましたが決して「面倒でブログをさぼっていた」訳ではありません。

 

 通信制作が終わって振り返ると、いつも本当に「美容師らしい記事が殆ど載っていない」と思いながら作成している訳であります。

 

 ですので偶には「ほぅら僕ちゃんってばこんな事も知ってるんだぞぅ」と言う事をアピールしておかないと、いつか皆様にタダのうんちく好きな家電オタクとしか思われないようになるのでは、という危機感を感じている今日この頃。

 

 ハタと思い立ち、今回はポイントアップの為にコチラで初めて「美容師」らしい内容のブログを書かせて頂く事にしました。

 

 シャンプー。

 

 美容室におけるシャンプーについて皆様はどのようなイメージを抱いていらっしゃいますでしょうか。

 

 「髪を洗ってきたから別に(美容室で)洗ってもらわなくてもいい」

 

 なんて過去に思われたり言われたりされた方もいらっしゃる事と思います。

 

 そもそもシャンプーにはどのような意味があるかご存知でしょうか。

 

 因みに私は東京で働いていた頃に長く全国各地に講習に行かせて頂いていたので、このように冒頭(始まり)に疑問を持たす手法を好んで用います。「相変わらず回りくどいブログ」と思われない様切に願います

 

 この後の文章でシャンプーの目的を箇条書きにして行きますので、お暇な方は答えを見る前にチョット想像して目的に何があるのか考えてみてから読み進んでみて下さい。

 

 「シャンプーは髪をカットする前に清潔にする為ちゃうの。」そう思われている方が殆どかも知れませが、実は他にも多くを目的とし、美容業としてはとても重要な意味を成している施術です。

 

 美容室におけるシャンプーの目的

 

 1 髪を清潔に保ちサービスを円滑に行う

 

 これは先程申し上げましたが、髪に付いている汚れやスタイリング剤を除去して薬液の浸透や技術の遂行をやり易い状態にするための目的。

 

 美容師のハサミや手が汚れるのが嫌でするのではありません。当然ですが、髪の状態をフラットにする事でスムーズに美容業を行う事が出来ます。

 

 2 髪の形状の把握

 

 朝起きて鏡の前で跳ねっ返っている髪を部分的に濡らして、寝ぐせ等を直そうとして直らなかった方は多いと思いますが、髪は表面を軽く濡らしただけでは言う事を聞いてくれません。

 

 寝汗をかいて根元が枕との摩擦で折れたり浮き上がったりしている場合も一緒で、髪は真ん中の芯の部分まで十分に濡らしてあげないと、ドライヤーやアイロンの熱だけでは形状が元に戻らないのです。

 

 それと同じ事で、単髪の男性を除けば施術の前に髪をシッカリと濡らす事が重要です。

 

 芯から濡れた状態の髪の形状を把握する事によって、本来髪はどのように動きたがっているか収まろうとしているのかが分かります。

 

 3 頭の形状の把握

 

 2と似ていますが、シャンプーを事前にする事により初回来店の方の場合は「骨格」や「部分的な毛量の多少」を把握できます。

 

 後頭部細いから毛が中心に多く集まっている、ハチが張っているのでこの部分は毛が散らされやすい、左半分だけ毛量が少ない等結構色々な情報が入手できます。

 

 両手を交互に使う施術であるシャンプーで、左右の頭の形(骨格)や(気にしていらっしゃると失礼に値するので)カットの際はしっかりと確認出来ない生え際の形状の確認、耳周りの生え方、収まり方を目視できるのでシャンプーをしながら必要な部分、要らない部分等スタイルのイメージを膨らませています。

 

 4 抜け毛のチェック

 

 最初のブラッシングでも行いますが、乾いている状態での抜け毛、軽く流した後の抜け毛、シャンプー剤をつけて摩擦を行った際の抜け毛、シャンプー施術後の抜け毛をチェックして現在の毛穴やの頭皮の状態を把握します。

 

 一応毛髪診断士及び講師の資格もあるので季節型の抜け毛なのか一過性なのか等もチェックしたりしています。

 

 5 頭皮の硬さによる体調の認識

 

 オーキニーでヘッドマッサージの類を受けられた事がある方はご存知かと思いますが、頭皮は人間の体の中で唯一「筋肉」が少なく薄い部分であり、皮膚と頭蓋骨の間の弾力をつくるものの大半が筋膜と呼ばれる膜の緊張度と「リンパ管」と「血管」の流れによるものです。

 

 又、足の裏と同じくらい体全体の体調に関係する「ツボ」が多くあます。これら筋膜の張り方やリンパと血の流れの潤滑さにより硬くなったり柔らかくなりします。その総てが現在の体調に直結してるのでエステやヘッドスパの時の診断材料(施術進行を変える)にしています。

 

 又シャンプーをする事により部分的な油分の有無(例えば耳裏に油が多く出ていれば寝不足等も分かるので)で「眠たそうなので今日は静かにカットした方がいいな」などの本日の接客内容の参考にしています。

 

 6 ヘアケアに対する意識把握

 

 これはチョット嫌がられるかも知れませんが、髪を濡らしてシャンプー剤をつけて泡立てた際、大体その方ヘアケアに対する意識が分かります。

 

 きめ細かい泡が出る方、泡が立ちすぎる方、髪がきしむ方、傷みがひどく髪がモズクみたいになる方。普段使っているシャンプー剤の成分やコンディショナーの効き具合(使っていないを含む)等が分かるので、その後の施術中の会話で「ヘアケアに関心がある方への話」を出すかどうかをこの時に決めたりしています。

 

 又、再来店時に前回ヘアケアの話(アドバイス)をして実行されていたかどうかも大体わかるので、実行されていれば又次の話を提案したりします。関心のある方にある事だけをお話しするようにしているのですが「された事が無いから私にそう思われていない」とショックを受けないでください。その方が望むものを提供するように勝手に判断しているだけですので。

 

 

 7 現在の不倫や浮気の有無

 

 シャンプーをしているとその方が現在許されない恋愛をしているのかが分かります。

 

 嘘ですそんなモノ分かる訳ありません。ごめんなさい。

 

 

 

 髪を洗っているだけだと思われがちですが、美容師はこれらの事を考えながらシャンプーをしています。

 

 オーキニーではシャンプーはサービスとして提供しており金額設定をしていませんが、一番価値があるものだと考えています。

 

 私はコース料理で言う所の前菜的な役割がこの「シャンプー」だと思っております。

 

 例えば外食に行って初めに提供される笑顔や挨拶といったサービス。それらも大切かも知れませんが最初に運ばれてくるお水や付け出しの味によりその店の価値観が分かりますよね。

 

 うっすらレモンが絞ってあるお水が出てきたり、ミネラルウォーターをオシャレなピッチャーやボトルに入れてあったり、一緒に冷たい手拭きタオルが出てくるお店もあります。

 

 食前酒やテーブルセッティング。芳醇な味わいの食べ物が口に運ばれる前、コチラの味覚感覚をどういう状態にセッティングしてくれるのか。

 

 美容室におけるシャンプーはそれら総ての要素が詰まっているのです。

 

 アシスタント時代の頃、多い日で一日に30人近くシャンプーだけをさせて頂いていました。

 

 当然その時間の使い方では、お客様のシャンプーをした時に感じた事を次の担当者に伝える時間が無く「何のためのシャンプーなのか」疑問が残っていた為そのシステムが大嫌いでした。

 

 店長に昇格してからはシャンプー後に必ず「テイクオーバータイム」(引継ぎ時間)を3分作り、個人の感想を含めた感覚の伝達を大切にしていました。

 

 その結果、スタッフ全員が一人一人のお客様の個性や状態を把握する事ができました。

 

 美容室がその方を長く担当し理解する努力をするのであれば、担当者がシャンプーするのは当然だと思っています。

 

 と言う事でいつもながら長くなってしまいましたが、オーキニーでシャンプーだけで時間が15分掛かっている事をご理解いただけたのではないかと思い、今後も「はよせいよシャンプー長いっちゅうねん」などと思わずそして許しいただきたいと思います。

 

 さて。私も今年で29年程美容師としてシャンプーをお客様に提供してきたのですが、ここに来て最近新たな発見、というか技術が以前より又パワーアップしました。

 

 昨年のパンデミックによりここ数年でお客様に変化が現れました。

 

 自宅時間が多くなったのだけが原因か分かりませんが、肩と首のコリだけではなく、頭のコリがきつくなった方が爆発的に増えたのです。

 

 パンデミック自粛当初、世間では外出や接客が恐怖という認知が高まり、予約のキャンセルも決して少なくありませんでした。

 

 そんな中美容師として皆様に少しでも「美容室は安全」そして更に「美容室に行きたい」と思われるようになるために試行錯誤して、効き目も分からない空間除菌装置やアイテムを買いそろえましたが、その他に何か出来ないかと言う事でシャンプーに力を入れました。

 

 シャンプーの技法には簡単に分類して「こする」「もむ」「おす」というやり方があります。

 

 「こする」は一番一般的な技法ですが、泡を立たせるのと汚れを取る力に特化しており「もむ」は油を浮だたせるのとリラクゼーション。「おす」は血行とリンパの流れの促進、および内臓機能の活性化。

 

 その方の頭皮毛髪の状態にあわせてこれらをミックスさせて「こする8:もむ1:おす1」が平均で、抜け毛の多い方は「こする3:もむ:4おす3」頭皮の硬い方は・・・と言う風に変化させます。

 

 その時のその方の状態に合わせた技術を提供するのが美容室のシャンプーの方法ですが、外出不可の中気分転換をして頂く事を主な目的にする為に「揉む」「押す」を多くチョイスするようになり、長くご来店して頂いている方の中にはシャンプーの変化に気付いて下さった方もいらっしゃいました。

 

 そしてそんな中、シャンプー(もみほぐし)効果でも状態が改善していく事に気が付きました。

 

 シャンプー後に頭や肩をマッサージしていると、以前のやり方と比べてシャンプー前の状態より随分と状態(コリやハリ)が良くなるのが分かりました。

 

 又、揉みシャンプーを中心にしていると左右対称に頭や首が凝ったりする事がない事、他の部位にもすぐに影響が出る事(首のコリや目の疲れが改善される)を知れました。

 

 そして何となくですが頭の筋膜や側頭後頭部にある筋肉の付き方と正しい位置がココだろうな、と思えるようになりツボ押しの微妙な方向性や動きにより、感じられ方(気持ち良さ)が格段に良くなると言う事を学べました

 

 又同じくご自身でも状態の変化を実感され、アドバイスの後自宅でのシャンプー方法(ヘアケア)を変化させた事によりコリやハリが無くなった方が出て来られました。

 

 勿論新しい知識をしっかり勉強したわけではなく、今まで勉強してきたことの理解が深まっただけなので劇的な変化はないかも知れません。

 

 意識が低かったと言われればそれまでかも知れませんが、知識を掘り返し再確認した事により今持っているものでも意識の違いで更に効果を出せる事に気が付けました。

 

 パンデミックになったお陰で又新しい発見が出来ました。

 

 美容は本当に奥が深いです。

 

 余り言い過ぎると自らハードルを上げるだけになるかも知れませんが、長年来ていただいている方にも自信を持って「今までより気持ち良くなっている」とお伝え出来ます。

 

 HさんIさんSさん。どうですか美容師っぽいブログも私ちゃんと書けますよ。

 

 私に美容師としての姿を求めようとすると、このようにいつも以上に長いブログになるのでこれからは謹んでくださるようお願い申し上げます。

 

 長々と失礼いたしましたが、又次回からくだらないブログを書く男に戻りますのでよろしくお願いします。

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