かくれんぼ

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2018.05.24

 やましなす皆様ご機嫌いかがでしょうか。両足首にパワーアンクルを着けて出勤している斉藤です。

 

 今回のブログは少し汚らしいシーンが出ますのでお嫌いな方はご遠慮ください。

 

 斉藤家では毎週火曜日を「ゲームの日」として、どんな事があろうと家族四人でドイツゲームを含む何かしらのゲームを楽しむ、という決まりがあります。

 

 先日、いつものようにお酒を飲みながら子供たちにゲームのリクエストを尋ねると5歳の息子から 「かくれんぼしたい」と提案がありました。

 

 70平方メートル3LDK内でどれだけ隠れられるのかと思いながらも、常日頃から「自らの意思やアイデアを尊重してあげる」を子育てのモットーにしている私は笑顔で主張を承諾しました。

 

 じゃんけんで最初に勝った娘の鬼からゲームはスタートしました。

 

 カウンターキッチンの最奥地で顔を伏せて30の数を逆から数えだす娘。

 

 嬉しそうに寝室のほうに移動した愛する妻子を見届けてから、私は台所と繋がっているリビングの、冬場はコタツになる大型ローテーブルの下に無理矢理体を蒸しエビのように畳んで潜り込んで隠れてみました。

 

 娘「いぃちっ・・・・もういいかい。」

 

 何処かの部屋からかすかに聞こえる律儀な息子の「もういいよ」の声で娘が動き出す気配がし、数秒で私の背中の辺りから「みいつけた」という声がしました。

 

 「お父さん下手くそすぎやねん」と言う言葉と共に気配の主はリビングから出て次の獲物を探しに行きました。

 

 私は、娘と顔を合わし「ああ見つかったか。やるなぁ。」等と会話をする時間すら与えられず、静かになったリビングで1人空しくテーブルから這い出ようとしました。

 

 這い出る途中、ルームウェアがテーブル下のネジ部分に引っかかりパンツと共にずれ落ちて、左半分のお尻が丸見えになりました。

 

 何だか嬉しくなり、その瞬間の姿を見てもらおうと娘を探しましたが当然娘は既に別の部屋。タイミングを逃した私は人知れずそっとズボンを元に戻しました。

 

 その後、ものの数秒で全員を見つけだしたご満悦の娘が嬉しそうに、いとも簡単に見つかってしまったマヌケ三人に次の鬼の為のジャンケンを促しました。

 

 次は私生活で決して鬼になり切れない妻が鬼。

 

 その鬼が途中で睡魔に負けてしまわないか不安を感じながらも、先程よりも上手に隠れる事を決意した私は意を決してルームウエアのまま玄関を飛び出し、マンションの通路で待機してみました。

 

 中で何が起こっているのか分からなくなって、何だか寂しくなって傘立てから傘を取り出し、寝室の窓の格子をわざとらしくコンコンと叩いて「僕はここにいる」と山崎まさよし的なヒントを与えることにしました。

 

 努力は報われず、ため息だけが静寂に消えていく事およそ2分。煮え切らなくなった私はコンコンからガンガンに加減を強めて格子を叩きました。

 

 その結果、あまりお付き合いのない隣の部屋の男性が何事かと外に出て来てくれ、久しぶりの挨拶を交わせ、こうやって週に一度は頑張って家族サービスをしている事を伝える事が出来ました。

 

 その節はお騒がせいたしました。

 

 次は私が鬼になったのですが、鬼では足りないと思った私は、頼まれてもいないのに映画「エルム街の悪夢」のフレディになり切り、必要以上に恐怖を与えてしまい、お風呂場に隠れていた息子のパンツとお風呂場にもう少しでおしっこの香りを残してしまう結果になりかけました。

 

 そして最後に息子の鬼の番。

 

 先程、殺人鬼で息子に恐怖心を与えてしまったことを若干後悔し、尚且つ娘にお尻の決定的チャンスを見てもらえなかった私は、息子が私を見つけてくれた時にそれらの事を記憶から挽回しようと考えました。

 

 まず服を脱ぎパンツ一丁になりました。

 

 次にそのパンツ(ダースベイダー柄)をお尻の部分に食い込ませてみました。

 

 そして仕上げに、以前娘の誕生日に購入した「HAPPY BIRTHDAY」の文字でPとRの部分が目の部分に来る、スイッチでキラキラ光るやかましい眼鏡をかけてみました。

 

 そのまま隠れる場所を探し出し、チョイスしたのがベランダでした。

 

 変態として誇らしく、リビングの大きな窓を静かに開けてキッチン横の小窓の下あたりに身を潜め、寒空の下息子が探し出してくれるのをひたすらに待ちました。

 

 なかなか見つかる気配がなく、しばらくしてからスイッチをオンにしてキラキラ光らせてみました。

 

 やはり音が必要だな、と今度はピカチュウの鳴き声をまねてみました。

 

 リビングのカーテン辺りを調べていた息子が外から聞こえる鳴き声に気が付き少しずつ近づいてきました。

 

 誰もいないはずの私の背後から「ひいっ」と言う叫び声が聞こえました。

 

 私の住んでいる部屋はマンションの4階になるのですが、ベランダから少し距離を置いて別の会社のマンションが建っています。

 

 声に驚いた私が振り向いて確認した所、そのマンションのらせん階段がある一番手前の5階の踊り場みたいな場所で一人の女性が口に手を当てて立ちすくんでこちらの方を見ていました。

 

 直感で「ああ。これはアカン奴や。」と感じ取った私は出来るだけ自然に、落ち着きを払いながら振り返ったままの姿勢で軽く頭を下げ「ベランダの壁で見えてないはず」と念じながらパンツの食い込みを直し、息子に早く見つかるように足元にあったポールを蹴飛ばして音を鳴らしました。

 

 窓と網戸を開けて息子が笑顔で私の姿を発見してくれました。

 

 息子「お父さん見っけ。」

 

 息子の声は確実に聞こえていたのですが、私はやや焦り気味に「声がちっさい。もっと大きい声じゃないとアウトちゃうし。」と言いました。

 

 この時ばかりはリクエストに答えて大きな声を出してくれた息子に誇りすら感じれるほど感謝しました。

 

 二度目の息子の声が近隣に響き渡り、背後の遠くに見える先程と同じ姿勢のままの人影に向かい「すみませんでした」とお辞儀をしてから息子と一緒にリビングに戻りました。

 

 息子「だれなん。」

 

 私「今の人か。えっとあれや怖がりさんや。」

 

 私の説明に、息子は私の渾身のある意味人生をかけたパンイチ姿に突っ込む事すらせず、フーンとだけ答えて残りの二人を一緒に探すよう私に命じました。

 

 しばらくして妻をお風呂場で発見した息子。「みぃつけた」のあとに放った妻の言葉の「捕まっちゃった」と言うセリフと「何そのカッコ」と言う呆れ顔に何故か底知れぬ不安を感じてしまいました。

 

 その後、家族が寝静まった後、五条通から聞こえてくるパトカーの音に、その都度本当の意味でのかくれんぼの醍醐味である「見つかるかも」という感覚を一晩じゅう味わう事が出来ました。

 

 そして再びかくれんぼがリクエストされても、もう二度とメガネのスイッチはオンにしないと心に誓いました。

 

 

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