しょうべん小僧達

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2018.06.05

 やましなす皆様。何処に連れて行っても「お父さんそっくりねぇ」と言われる顔の息子の父親斉藤です。

 

 ここ数カ月色々とバタバタとしていたので、ろくに家族との時間をとれていなかったので、最近は罪滅ぼしを兼ねて休みの度に息子と行動しています。

 

 ともに時間を過ごしていると、本当に遺伝子のなせる業、とでも言うのでしょうか。教えていないはずなのに息子に私とそっくりの行動や言動、或いはクセのようなものがある事に気が付きました。

 

 寝っ転がって襖にもたれかけ、柿ピーを口に放り込むその姿。スシローでもらった階段で使うと尺取虫のように動くはずのチャチいスプリングのオモチャをハンガーに巻き付けて取れなくなってしまい逆ギレするその思考回路。保育園の帰りがけ先生に挨拶する際前ではなく後ろにふんぞり返って逆にお辞儀をして「さよぉならっ・・・ぷぅっ」とする意味不明のアピール。

 

 このままいけば彼はきっと30歳前後で一度挫折を味わう事になり、嫁には恵まれるけど大成はしない人生を送ることになるだろう。そんな心配をしてしまう位の血の繋がりを感じています。

 

 そんな彼ですが、唯一ずっと私についている「嘘」がありました。

 

 初めての嘘は1年程前。私がお風呂に入った時でした。

 

 斉藤家のお風呂に入る順番は、いつも妻が一番。そしてその次に息子か娘が一人づつ入浴をすませ、最後に帰宅が遅い私が締めで入るのですが、一日の疲れを洗い流そうと浴室に入った時とある異変に気が付きました。

 

 何か臭い。

 

 市民プールのシャワー室と隣接していて裸足のまま行き来が出来るトイレで良く嗅いだ事のある臭いでした。

 

 「これはやりおったな。」と即座に察知した私でしたが、取りあえず頭と身体を洗い、排水溝周りでくすぶっている泡を無駄なく使い、臭いの元と思われる個所をしっかりとこすり、仕上げに顔を近づけてクンクンしてみて、AG+のCMでお馴染みのお婆さんのように「グッド」判定をしてから湯船に浸かりました。

 

 湯船に浸かった後、匂いの原因菌が排水溝付近ではない他の個所に潜んでいた事に気が付きました。

 

 すぐさま湯船から上がり栓を抜き、くまなくバスタブ内を洗い終わった後、もう一度全身を洗ってみたのですがバスタオルで身体を拭いている時も未だ匂いは残っていました。

 

 匂いを気にしながら寝に行くも、途中でやはり気になりすぎて夜中にもう一度身体を洗いに行きました。

 

 そんな事が2~3回ありました。

 

 事が起きた夜の規則性を探ってみるとどちらも「入浴が息子の次で、尚且つ浴室から息子の鼻歌が聴こえて来た」時でした。

 

 我が子を疑うのはいけない事かも知れませんが、とりあえず事情聴取を順番に行った所、娘からは「はぁ。ウチがするわけないやん。何言うてんの知らんし。」という言葉と冷ややかな目線を返されました。

 

 そして本命である息子に聞いたのですが、息子は「ううん。」と平然を装って答えるだけ。

 

 念を押して聞いても見たのですが、彼の意思は固く、止む無く事件は迷宮入りしてしまいました。

 

 あれから一年。

 

 先日、息子と玉無し自転車の練習をしている途中、水分補給の為に妻から持たされたアクエリアスのペットボトルを息子が飲んでいる最中に、息子がペットボトルの中の空気を吸い出し、ペコっとへっこんだボトルの口に舌を吸い付かせて「いたいいたいぃ。おとうさんみてみてぇ」とおチョケていたので、私が

 

 私「それ10回に1回くらいメチャメチャ吸い付いてきてホンマに痛くなるから止めといた方がええぞ。」

 

 とアドバイスしてあげたのですが、後に何度か同じことを行っていた息子が虚しくも私の予言通りの結果となってしまい半泣きになっていました。

 

 いわんこっちゃない、という無慈悲な表情の私に対して、息子が舌を乾かしながら「おとうさん、なんでわかったん」と聞いて来たので私はこう言いました。

 

 私「アオクン(息子)のやることはお父さんがアオクンとおんなじ歳の時に全部やって来てるからなんでもわかる。」

 

 息子はその時、涙目ながらも何故か少し嬉しそうでした。

 

 自転車の練習が終わり、帰宅して久しぶりに一緒にお風呂に入り「これ好きやろ」と言ってシャワーの水を天井にかけて、雨のように滴り落ちる冷たくなった水滴に襲われ、キャーキャーと喜ぶ息子。

 

 息子「やっぱりおとうさんアオクンのことなんでもしってるな。」

 

 お風呂から上がった後もご機嫌な息子は案の定パンツを履かず、フルチンのまま扇風機をつけてその前でチン〇ンを乾かしていたので「それもよくやったから気持ちはわかるけど、お母さんに怒られる前に早くパンツ履け」と伝えました。

 

 珍しくすぐに言う事を聞いてくれた息子に、父親と言う存在が、今なら何となく無双モードに突入している気がして聞いてみました。

 

 私「アオクン。正直に答えてや。」

 

 息子「ウン。」

 

 私「じゃあ目をつぶってください。お父さんも目をつぶるからな。」

 

 座った姿勢でシャツを着ながら、私の向かい側で少しワクワクしながら素直に目を瞑る息子に聞きました。

 

 私「お風呂の中でおしっこしたことある人。手をあげて下さい。」

 

 わからないように薄目を開ける私と、バレバレに片眼だけを開けて私が目を開けていないか確認してから目をつぶる息子。二人の右手は高々と上に伸びていました。

 

 私「はい手を挙げている人は手を下ろして目を開けてください。」

 

 目を開けてお互いの顔を照れくさそうに見つめあう二人。「手を挙げたか」と聞かれて「ウウン」と首を横に振る息子。

 

 「お父さんは手を挙げてたわ。」と教えてあげると、息子は焦った表情になり「あんなおとうさん。アオクンもてをあげてん。」と慌てて言ってきました。

 

 私は「そうか」とだけ答えて続けて言いました。

 

 私「お父さん小さい時に海の中でおしっこするの、あったかいし気持ちええしなんかドキドキして好きやってん。それが何回かだけバレへんと思ってお風呂の中でおしっこしててん。お婆ちゃん(母)はなんも言わらへんかったけど、次の日の朝にお婆ちゃん又お風呂でシャワー浴びたはった事覚えてるんや。お父さんのおしっこの匂いお婆ちゃんの身体についてたんやと思う。お父さん悪い事してたなぁって今でも反省してる。」

 

 まじまじと聞き入る息子。その事を偉そうに話しながら何故か非常に申し訳ない事をしている気分になる父親。

 

 私「これは二人だけの内緒の話にしとこな。」

 

 息子「うん。」

 

 そう言って最後には指切りを交わす親子の姿は、私の頭の中では「しょうべん小僧の銅像が二体、お互いのチン〇ンから出る水をクロスさせている姿」のイメージとなって、とても輝かしい時間を過ごせている気がしました。

 

 こうして息子が私に唯一ついていた「嘘」は解決されました。

 

 子供は親の鏡。

 

 蒼衣君。最後に一つだけ忠告させてください。

 

 小学校一年生になって、もし学校でスカートめくりが流行ってしまっても決して貴方はそれをしないでください。

 

 それをする事によって、数人の女の子たちから返り討ちを受けた後、教壇に立たされみんなの前でパンツを脱がされ、とても恥ずかしい想いをする事になる、お父さんそんな未来になる気がしてならないです。

 

 益々たくましく、そして健やかに成長してくださいね。

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