平成25年9月1日
皆様、いつもオーキニーを御利用頂きまして本当に有難うございます。
本日は人知れずオーキニーのオープン記念日。早いモノで満7年を迎える事が出来ました。
毎年この日は営業が終わってからお店に残ってビールを片手に、相棒「オーキニー」と一緒に乾杯&お祝いをしているのですが、今年は定休日なので明後日に持ち越しです。
お客様方とオーキニーに対して感謝し直す日。それが今日と言う日。
長くなりますが本日はブログにて、オープン以来長年お世話になった1人のお客様のお話を書こうと思います。
7年前の9月1日。オープンしたてのオーキニーにご近所にお住いのM様と言う奥様が初来店されました。
「自分でシャンプーをすると髪がまとまらないので美容室でいつもシャンプーブローをしていたが、ずっと通っていた美容室が白川のほうへ移転したので近くでいいところを探していた。」と言う事でした。
M様にはこだわりがあり、まずシャンプー剤は白川の先生から薦められたシャンプー剤でなければいけなく持参されてました。シャンプーは必ず2度洗い。ブローの際はドライヤーの温度や髪の毛の引っ張り具合、仕上げのカーラーの巻き方に至るまで色々と注文をされました。
M様のスタイルは顎までの綺麗なショートボブ。髪の量が多くクセが強いのでブローは簡単ではありませんでした。
そして30分ほどでブローが仕上がりました。
手厳しい指導の下どうやらまずまず気に入って頂けたらしく、それから週に2~3回はご来店して頂くようになりました。
しかしシャンプーブロー以外の、カット、毛染め、ストレートパーマ等は白川にある慣れている美容室の先生にお願いされていました。
当時、美容技術に関してそこそこ自信のあった私でしたが、度々ご要望通りにいかず、オーキニーのこだわりも私の技術もあまり通じなかったので、しばらく苦手意識が強くなり、言われたことで何度もかなり落ち込んでしまったこともありました。
しかし徐々に、性格がとても気さくでハッキリ物を言う方なだけで、実は明るく上品でとても素敵な奥様だと言う事が分かり始めました。
1~2か月程はブロー技術や仕上げの形に対してだけの会話でしたが、日増しに仲良くなっていき
「上手になって来たやん」
「私の好み分かってきたやん」
などと声を掛けて頂け始め、日常会話などを話せるようになってから苦手意識は消えて行きました。
それからというもの、ご自身やご主人の趣味や生活態度の話、ご子息様の恋愛から結婚までの話、その他色々な話を私にしてくれるようになりました。
毎週2~3回で1年で約100回のご来店。そして年末仕事納めのラストのお客様&年始最初のお客様がM様でした。
ひょっとすると一年を通して自分の母親や妻、その他誰よりも長く会話をしていたと思います。
時には母親の様に、私の事を叱ったり励ましてくれました。
お蔭で自分の技術の再確認や知識の確実性、そして私の仕事である美容は「誰のための美容か」と言う事を深く考えさせられ、そして勉強させてもらえました。
そして担当してから3年が過ぎた頃。初めてカットを任して頂けました。
そしてそれから1年後。うちのサロンでストレートやヘアエステなどもされるようになりました。
それからほどなくして、「オーキニーさんにここでずっと頑張ってもらいたいから見つけたらいい物件紹介してあげる」と言って建物の仲介の話まで頂きました。M様は不動産関係の会長様の奥様だったのです。
それから沢山のお知り合いをお店に紹介してもらいました。
その頃からシャンプーブローで出るお釣りの小銭を「チップよ」と言ってニッコリ置いて帰ってくれていたので、私はそのチップを勝手に溜めて頃合いを見てM様への勝手なプレゼントとしてヘッドスパとして「お返しです」と何度か還元して対抗しました。
「そんなんいいのにもう」と言いながらもとても喜んでくれたM様。その時の笑顔と表情を見るのがたまらなく嬉しかったです。
それから約1年後。「最近体調が良くない」と言って次の予約を取られなくなり、当日予約の電話だけになりました。
ご来店の際に聞いてみると「耳の調子が悪い」との事でしたが全く自然で至ってお元気だったので、私も「すぐよくなりますよ」と毎回励まさせて頂いてました。
そんあある日「調子が悪くてこれなかったら嫌だから家で自分でブローできるようにカーラー(巻く道具)を頼んでおいて」とお願いをされました。
言われたように急いでカーラーを発注して取り置きしておきました。
しかしそれからM様から全く連絡が来なくなりました。
何も知らなかった私は「又旅行にでも出かけられたのかな」単純にそう思っていました。
そしてM様がご来店されなくなってから3週間程が過ぎたある日の事。
夕方に突然M様の息子さんが隣に紳士的な初老の男性を連れて来店されました。
対応に行った私に対して隣の方から「いつもお世話になってます。Mの亭主です。」との自己紹介を受けました。
御用をお伺いすると、奥様が注文していたカーラーを取りに来た、との事でした。
「M様、最近ご来店されませんが具合でも悪くなられたのでしょうか」と言いながらカーラーを準備している私に、息子様が静かに口を開かれました。
「母は先月亡くなりました。」
突然の事で何が何やら本当にわかりませんでした。
言葉が出てこなく震えるだけの私に、お二人は「連絡が遅くなってすみません」と深々とお辞儀をされてお店を出て行かれました。
私は初めて営業中に涙を流しました。
後日、M様のご自宅に弔事に伺わせて頂くと、ご主人が丁重に出迎えて下さり経緯等について教えて下さいました。
M様は突然の事故に遭われたそうでした。
涙が止まらなくなり、励ますどころか逆にご主人に励まされてしまいました。
御線香をあげさせて頂く為、仏間に行くと笑顔のM様の写真の御霊前に新品のカーラーが置かれていました。
私の後悔。
それは、もっとしっかり感謝の気持ちを伝えて置けばよかった。という事。
その日から私の中で「お客様のお見送り」についての考え方が変わって行きました。
美容業は一般的には水商売と言われています。
「お客様とは常に流れていくものであって去る者は追わず、川上から流れてくるものだけを見ていきなさい。」私のお師匠さんが以前私にこう教えてくれていました。
私は長い美容人生の中で、今まで何回も長年お世話になったお客様達とのお別れを経験してきました。
しかし、お仕事や学業、家庭の事情。そう言った理由でのお客様方とは必ずと言って良い程「別れの挨拶」をする事が出来ました。
逆に「別れの挨拶」をしなければ次に再び会える事は当たり前だと思っていました。
毎週毎月、会えることも当たり前だと。
毎日の仕事の中で、お客様達は私達夫婦に色々な事を教えて下さいます。
今までも沢山の美容師としての技術や接客、姿勢など大切な事を教えてもらいました。
いつも心におおきにありがとう。
オーキニーでは、お帰りになる際の「ありがとうございました」の挨拶は、少し寂しい言い方ですが「もう会えないかもしれないので精一杯の気持ちを込めて」という挨拶を心掛けています。
ですので又再び御来店いただいた時の「いらっしゃいませ」はそれ以上に感謝の気持ちが一杯です。
今私達ができる精一杯の事。
もうM様の「素敵なボブ」を作る事は出来ないかもしれませんが、培った沢山の人たちへの感謝の気持ちと満足させるための心構えはこの先ずっと身に着いたはずですし、同じように素敵な笑顔を作る事なら今の私達には出来る。
この先、この気持ちは生涯絶対変わりません。
これからも技術、接客の両方で笑顔が作れる美容師で居続けられるよう、頑張って行きます。
これからもオーキニーは成長し続けます。
7年目もフルパワー宣言。
今までありがとうございます。そして今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
さあ気合い入れて頑張るぞ。
平成25年9月1日
皆様、いつもオーキニーを御利用頂きまして本当に有難うございます。
本日は人知れずオーキニーのオープン記念日。早いモノで満7年を迎える事が出来ました。
毎年この日は営業が終わってからお店に残ってビールを片手に、相棒「オーキニー」と一緒に乾杯&お祝いをしているのですが、今年は定休日なので明後日に持ち越しです。
お客様方とオーキニーに対して感謝し直す日。それが今日と言う日。
長くなりますが本日はブログにて、オープン以来長年お世話になった1人のお客様のお話を書こうと思います。
7年前の9月1日。オープンしたてのオーキニーにご近所にお住いのM様と言う奥様が初来店されました。
「自分でシャンプーをすると髪がまとまらないので美容室でいつもシャンプーブローをしていたが、ずっと通っていた美容室が白川のほうへ移転したので近くでいいところを探していた。」と言う事でした。
M様にはこだわりがあり、まずシャンプー剤は白川の先生から薦められたシャンプー剤でなければいけなく持参されてました。シャンプーは必ず2度洗い。ブローの際はドライヤーの温度や髪の毛の引っ張り具合、仕上げのカーラーの巻き方に至るまで色々と注文をされました。
M様のスタイルは顎までの綺麗なショートボブ。髪の量が多くクセが強いのでブローは簡単ではありませんでした。
そして30分ほどでブローが仕上がりました。
手厳しい指導の下どうやらまずまず気に入って頂けたらしく、それから週に2~3回はご来店して頂くようになりました。
しかしシャンプーブロー以外の、カット、毛染め、ストレートパーマ等は白川にある慣れている美容室の先生にお願いされていました。
当時、美容技術に関してそこそこ自信のあった私でしたが、度々ご要望通りにいかず、オーキニーのこだわりも私の技術もあまり通じなかったので、しばらく苦手意識が強くなり、言われたことで何度もかなり落ち込んでしまったこともありました。
しかし徐々に、性格がとても気さくでハッキリ物を言う方なだけで、実は明るく上品でとても素敵な奥様だと言う事が分かり始めました。
1~2か月程はブロー技術や仕上げの形に対してだけの会話でしたが、日増しに仲良くなっていき
「上手になって来たやん」
「私の好み分かってきたやん」
などと声を掛けて頂け始め、日常会話などを話せるようになってから苦手意識は消えて行きました。
それからというもの、ご自身やご主人の趣味や生活態度の話、ご子息様の恋愛から結婚までの話、その他色々な話を私にしてくれるようになりました。
毎週2~3回で1年で約100回のご来店。そして年末仕事納めのラストのお客様&年始最初のお客様がM様でした。
ひょっとすると一年を通して自分の母親や妻、その他誰よりも長く会話をしていたと思います。
時には母親の様に、私の事を叱ったり励ましてくれました。
お蔭で自分の技術の再確認や知識の確実性、そして私の仕事である美容は「誰のための美容か」と言う事を深く考えさせられ、そして勉強させてもらえました。
そして担当してから3年が過ぎた頃。初めてカットを任して頂けました。
そしてそれから1年後。うちのサロンでストレートやヘアエステなどもされるようになりました。
それからほどなくして、「オーキニーさんにここでずっと頑張ってもらいたいから見つけたらいい物件紹介してあげる」と言って建物の仲介の話まで頂きました。M様は不動産関係の会長様の奥様だったのです。
それから沢山のお知り合いをお店に紹介してもらいました。
その頃からシャンプーブローで出るお釣りの小銭を「チップよ」と言ってニッコリ置いて帰ってくれていたので、私はそのチップを勝手に溜めて頃合いを見てM様への勝手なプレゼントとしてヘッドスパとして「お返しです」と何度か還元して対抗しました。
「そんなんいいのにもう」と言いながらもとても喜んでくれたM様。その時の笑顔と表情を見るのがたまらなく嬉しかったです。
それから約1年後。「最近体調が良くない」と言って次の予約を取られなくなり、当日予約の電話だけになりました。
ご来店の際に聞いてみると「耳の調子が悪い」との事でしたが全く自然で至ってお元気だったので、私も「すぐよくなりますよ」と毎回励まさせて頂いてました。
そんあある日「調子が悪くてこれなかったら嫌だから家で自分でブローできるようにカーラー(巻く道具)を頼んでおいて」とお願いをされました。
言われたように急いでカーラーを発注して取り置きしておきました。
しかしそれからM様から全く連絡が来なくなりました。
何も知らなかった私は「又旅行にでも出かけられたのかな」単純にそう思っていました。
そしてM様がご来店されなくなってから3週間程が過ぎたある日の事。
夕方に突然M様の息子さんが隣に紳士的な初老の男性を連れて来店されました。
対応に行った私に対して隣の方から「いつもお世話になってます。Mの亭主です。」との自己紹介を受けました。
御用をお伺いすると、奥様が注文していたカーラーを取りに来た、との事でした。
「M様、最近ご来店されませんが具合でも悪くなられたのでしょうか」と言いながらカーラーを準備している私に、息子様が静かに口を開かれました。
「母は先月亡くなりました。」
突然の事で何が何やら本当にわかりませんでした。
言葉が出てこなく震えるだけの私に、お二人は「連絡が遅くなってすみません」と深々とお辞儀をされてお店を出て行かれました。
私は初めて営業中に涙を流しました。
後日、M様のご自宅に弔事に伺わせて頂くと、ご主人が丁重に出迎えて下さり経緯等について教えて下さいました。
M様は突然の事故に遭われたそうでした。
涙が止まらなくなり、励ますどころか逆にご主人に励まされてしまいました。
御線香をあげさせて頂く為、仏間に行くと笑顔のM様の写真の御霊前に新品のカーラーが置かれていました。
私の後悔。
それは、もっとしっかり感謝の気持ちを伝えて置けばよかった。という事。
その日から私の中で「お客様のお見送り」についての考え方が変わって行きました。
美容業は一般的には水商売と言われています。
「お客様とは常に流れていくものであって去る者は追わず、川上から流れてくるものだけを見ていきなさい。」私のお師匠さんが以前私にこう教えてくれていました。
私は長い美容人生の中で、今まで何回も長年お世話になったお客様達とのお別れを経験してきました。
しかし、お仕事や学業、家庭の事情。そう言った理由でのお客様方とは必ずと言って良い程「別れの挨拶」をする事が出来ました。
逆に「別れの挨拶」をしなければ次に再び会える事は当たり前だと思っていました。
毎週毎月、会えることも当たり前だと。
毎日の仕事の中で、お客様達は私達夫婦に色々な事を教えて下さいます。
今までも沢山の美容師としての技術や接客、姿勢など大切な事を教えてもらいました。
いつも心におおきにありがとう。
オーキニーでは、お帰りになる際の「ありがとうございました」の挨拶は、少し寂しい言い方ですが「もう会えないかもしれないので精一杯の気持ちを込めて」という挨拶を心掛けています。
ですので又再び御来店いただいた時の「いらっしゃいませ」はそれ以上に感謝の気持ちが一杯です。
今私達ができる精一杯の事。
もうM様の「素敵なボブ」を作る事は出来ないかもしれませんが、培った沢山の人たちへの感謝の気持ちと満足させるための心構えはこの先ずっと身に着いたはずですし、同じように素敵な笑顔を作る事なら今の私達には出来る。
この先、この気持ちは生涯絶対変わりません。
これからも技術、接客の両方で笑顔が作れる美容師で居続けられるよう、頑張って行きます。
いつも心におおきにありがとう。
これからもオーキニーは成長し続けます。
7年目もフルパワー宣言。
今までありがとうございます。そして今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
さあ気合い入れて頑張るぞ。