湯商売

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2021.12.27

 やましなす皆様。お手元にくだらない通信は届きましたでしょうか。

 

 先日とある新婚のお客様から「毎回送ってくださる通信を妻が楽しみにして見ています」と言われました。

 

 普段褒められることに慣れていない私ですが、もうねこれ程うれしいことは無いですよ。

 

 その時は「そんなお恥ずかしい。なんか時間とってもらってスミマセン」なんて謙遜して答えましたが、心中「うっそマッジいやええ嫁さんですやん。今度笑人さんにでも飲みに行きますか。」ってテンション爆上がりでした。

 

 アカン笑人さん連れて行ったら大将が一人で話し込んでしまって私の存在が薄くなるわ。

 

 話がそれましたがその節は有難うございました。本当は褒めてもらっても伸びる男斉藤です。

 

 少し早いですが、ようやく時間ができたので今年一年を振り返りながらブログを書こうと思います。

 

 今年もたくさんの素敵な新しい出会い、そして長年お世話になったお客様との別れがありました。

 

 オーキニーをオープンして15年が経ちましたが、オープン当初からお世話になっているお客様で当時70歳だった方は今85歳になられました。

 

 15年前、小学校の社会科見学でオーキニーに見学に来た当時2年生だった男の子が、昨年初任給が入ったとの事で髪を切りに来てくれました。

 

 当時中学生だった男の子が奥様とお子様を連れてわざわざ名古屋から通って来てくれています。

 

 私は18歳で美容師になり、そこから13年間東京の支店が沢山あるサロンで働いてきました。

 

 年数でいうと4、2、2、1、3年と池袋、品川、新宿、浦安(千葉県)を経て品川に戻って仕事をさせていただいていました。

 

 転勤しても支店を追っかけて来て下さった長いお付き合いのあるお客様でも最長10年の付き合いしかありませんでした。

 

 ですのでそれ以上のお付き合いのあるお客様方は京都に戻ってからが人生で初めてになります。

 

 お師匠様がよく「美容師は水商売」そして「川上から流れてくるものを見よ」と言われていました。確かに美容業は水商売なので気持ちを入れすぎると落ち込むことがよくあります。

 

 人との出会いは川の流れのように川上より流れ出てきて川下へと去っていき、出会いは別れへと変化していきます。

 

 去っていくもの、無くなったものを追ってばかりいると折角新たに流れてきてくれている「出会い」を見逃してしまうとお師匠様は教えてくれていました。

 

 最近その言葉が少しづつ理解できるようになりました。

 

 しかし通信にも似たようなことを書きましたがきっと教えて頂いた水商売、川上という言葉は「去る者は追わず」というあっさりした精神ではなく、きっともっと人との出会いを大切にしよう、時間を大切にしようと言う意味を込めてのモノだと思います。

 

 私はお師匠様の教えを自分なりに解釈し直して、美容業を「水商売」ではなく「お湯商売」にしていきたいと思っています。

 

 ニュアンス的に美容という仕事を流れゆくあっさりした冷たい出会いではなく、熱くそして温かい、否あったかいモノ、つい押したくなるような冬の自販機の「あったか~い」ボタンを目指した仕事をしていきたいと思います。

 

 そんなコーンポタージュのような私ですが、最後までもろこし粒が数粒残ってしまうかもしれないサービスと仕事を来年もフリフリしながら提供できるよう努力してまいります(意味不明)。

 

 今年も1年お世話になりまして本当にありがとうございました。

 

 残りの2021年の数日、そして年明けの2022年からの1年間が皆様にとって良き時間となりますように。

 

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