ごめんよ彼氏

はてなブックマーク
2017.03.08

 おはようございます。

 

 太郎さんの奥様の身体から、私の妻と似たオレンジ色のオーラが出ているのを感じ取ってしまった男斉藤です。

 

 オレンジ色。それはナチュラルボーンの色。

 

 閑話休題。

 

 今日は新しいオーキニーのスタッフである「太郎さん」について少しお話したいと思います。

 

 オーキニーの朝は早くに始まります。

 

 以前までは私はお店に9時過ぎに出勤していましたが、彼と一緒に働くようになってから、1時間早く出勤するようになりました。

 

 しかし私がお店に到着する8時過ぎにはいつも既に彼がお店の準備を済ませて一人練習を始めています。

 

 太郎さんは滋賀県の雄琴の仰木の里という場所に住んでいます。

 

 本当に遠くからわざわざオーキニーまで働きに来てくれて今時感心な若者です。

 

 因みに彼の通勤手段ですが。まず家から「おごと温泉駅」まで徒歩で結構かかるらしくそこまでバスで通っているそうです。

 

 おごと温泉駅から電車に揺られJR山科駅に到着。

 

 しかしここまでは普通でここからが問題。

 

 その山科駅からオーキニーまで。距離にすれば1.5kmほどになりますでしょうか。徒歩だと大人の足で15分位。

 

 その距離を彼はこの4か月間、ずっと地下鉄東西線に乗って210円の運賃を往復代支払って通勤していました。

 

 私が思うに、山科駅から地下に潜り地下鉄を待って御陵駅に到着後、また再び地上までの階段を昇る時間を考えると、恐らく普通に旧三条通を歩いてきても然程変わらないような気がしたので何度かアドバイスさせていただいたのですが、彼は一向に首を縦に振らず「朝の数分は貴重」と言う事と「乗り継ぎが大変」という理由を私に涙ながらに訴え続けてきました。

 

 最初のうちはこの事をネタにお客様を利用して少し弄ってました。

 

 お客様に「久保田君が山科駅から地下鉄に乗り換えてる」とお話しすると、大抵の場合は私の思惑通り皆様「ありえない」と言う私への追い風(彼にとっては向かい風)の言葉をかけてくださいました。

 

 その言葉が積み重なり、やがて太郎さんを追い詰めていきました。

 

 最初のうちは、お客様に対しても「乗り継ぎの時間が一つ変わると家を出る時間がかなり早くなってしまうのです」と弁明していた彼の口から、1週間ほど前に「考慮してみます」と言うセリフが飛び出しました。

 

 そして先日、彼を交えてお客様と会話をいしていると、このタイミングを待っていましたという、いかにも嬉しそうな表情な彼がこう言ってきました。

 

 「旧三条通りに最近牡蠣の店やお寿司屋さん等の新しいお店が増えてますよ」

 

 瞬間、徒歩通勤をすでに始めている事を私に遠回りにアピールしている事は薄々感づいてしまったのですが敢えて無関心を装いました。

 

 そして今朝、そんな彼がついに「徒歩通勤をし出した」と満を持して切り出してきました。

 

 本当は結構嬉しかったのですが、あくまでもクールに先ずは疑ってかかり、別に凄い事でも何でもないよ、と冷たくあしらいました。

 

 しかし少しショッキングな顔をされた感じがしたので、興味がないような素振りを見せながらあくまでクールに会話の流れで「まあ健康にいいから良いんじゃない」と言いつつ、返し刀で「そういえば最近何時位にお店に来ているの」と軽い気持ちで聞いてみました。

 

 彼の口から「7時半にはお店に来ている」と告げられました。

 

 へえ。7時半に着くように徒歩で山科駅から20分かそこらか。

 

 山科駅までJRが15分でそこまでバス。バスの乗り継ぎが悪いのは聞いていたから恐らく家からなんやかんやで30分はかかるよねたぶん。

 

 ん。と言う事はですよ・・・

 

 私「ひょっとして家を出るの6時半くらいなんじゃ・・・」

 

 その問いに対して彼は眉毛のあたりに嫌悪感を露(あら)わにして(た様に見えました)私に

 

 太郎氏「そうですね。最近結構頑張って早寝するようにしてます。」

 

 と言いました。

 

 私「・・・・いや。ちょっと早すぎるんじゃないかな。一本遅い時間で来ればいいんじゃない。」

 

 太郎氏「いえ。この朝の一人での練習時間は僕にとって掛け替えのないものなので。」

 

 そっか。そんなふうに思ってたんだ。いや。そんな時間にいつも出勤してたんだ知らなかったよ。

 

 そっか。なんかね。なんかそんなつもりで言ったんじゃないんだよ俺。

 

 ホント。軽い気持ちで言っただけなんだよ。

 

 しかしそんなエンジェル斉藤の気持ちとは裏腹にデビル斉藤が彼にこう言いました。

 

 「よし。第一歩やんおめでとう。いつかその努力が、歩いて良かったと心から思える日が来るから。」

 

 彼は苦笑いしながら「はい。そうなる気がします。ありがとうございます。」と私に言ってくれました。

 

 けど。

 

 なんかゴメンね。

 

 面倒くさい男だけどこれからもよろしく。

一覧 TOP