犯人はだぁれだ(英国紳士パート2)

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2016.11.03

 山科ス皆様。ご機嫌いかがでしょうか。

 

 早速ピコ太郎氏がオーキニーのブログを見てPPAPロングバージョンで私のアイデアを取り入れたみたいですね。流石私、の斉藤です。

 

 先日、滋賀県の草津にある水春というスーパー銭湯に行った時の出来事です。

 

 ご存知の方もいるかと思いますが、この滋賀県の水春というスーパー銭湯は露天風呂(温泉)が豪華です。

 

 外に出てすぐに半身浴の浅めのお風呂とテレビ付きのぬるめの炭酸泉があり、男湯ではその場所が人気らしくいつ行っても混雑しています。

 

 その奥にもテレビ付きの大きな温泉が用意されているのですが、先程説明した入り口付近の温泉が人気なので奥の温泉、そしてそのさらに奥の小さな温泉はいつもあまり人がいません。

 

 水春について洗い場で身体を洗った後、真っ先に外の温泉に向かった私。その日は小雨が降っていたせいかあまり利用客がいなく露天風呂では私の他には6~7人しかいませんでした。

 

 ゆっくりと浸かりたかったので、先客が一人しかいない最奥の小高い所にある小さな露天風呂に入りに行きました。

 

 風呂までの数段しかない階段を上がり早速温泉に浸かったのですが何やら異変を感じました。

 

 くさい。

 

 水春の温泉は確かナトリウムか何かが主成分で刺激臭などがするものは含まれていないはずなのに何やら卵が腐ったにおいがしました。

 

 頭の上に載せたタオルを外して目を開けてクンクンと鼻を嗅ぎ、水面を見つめてみた私に対して、先に浸かっていた初老の男性が私に声をかけてきました。

 

 男性「あの・・・すんまへん。」

 

 声に反応してはいと答えて男性の方に目を向けると、男性は気まずそうな顔をして続けてこう言いました。

 

 男「・・・さっき誰も来ん(来ないと)思って(私)屁ぇしてしもてんやん(おならをしてしまいました)」

 

 においの原因があっさりと判明してしまった私は、その事の流れにいたく感動してしまいました。

 

 What that I wonder if a honest man(なんて素直な人なんだろうか。)

 

 「こんにちは。そうスか(そうですか)おならスか。」

 

 取りあえず流れや会話のリズムを切っては失礼だと思った私は、その紳士に対して笑顔で答えました。

 

 男「すんまへんなぁ。くさいでっしゃろ。」

 

 この紳士に対して今私が出来る最善の返答は何だろうか。男性のセリフの後の数秒で頭をフル回転させて私の出した答え。

 

 オナラくらい誰でも出ますやん。私でもこんな貸し切り状態の気持ちの良いシチュエーションなら間違いなく放屁してたでアンタ。

 

 そう説明を交えて男性の英国紳士的な振る舞いに答えるのも良かったのですが、男は黙ってサッポロビール。言葉以外のもので答えたかった私は、身体をやや横にずらしてお尻を持ち上げてプッと一つ屁をこき返しました。

 

 ボムゥ。

 

 予想以上に大きな泡になった私の体内ガスは男性に何かを伝えるのには十分な大きさとなって存在の誕生をアピールしてくれました。そして間髪入れず

 

 私「そら出ますわな。きもちええですね。」

 

 とだけ言葉を発しました。

 

 それから二人の関係が親密になるのに時間や挨拶は全くいりませんでした。

 

 お互いどこで生まれどこから来たのか。家族構成や好きな食べ物に至るまで様々な会話を交わし、奥さんの前でオナラをすることとされ返すことに対しての男の美学を語り合いました。

 

 その間にも遠慮なしに放屁を繰り返す初老の紳士。

 

 最初のうちは「おっ又でちゃったよ。」なんて声をかけてくれたのですが、途中からはもうノーリーズンコカ・コーラー。言葉も気持ちもなくなりました。

 

 というかオジサンこの臭さはちゃんとウンコ出てるのかって。

 

 そんなこんなで会話も水面も盛り上がり周囲に対するアンテナが薄れていた矢先、突然第3の入湯者が現れます。

 

 年の功でいうと40後半のややガテン系の気のよさそうなおっさんが登場。おっさんは「うぃー」の掛け声とともに素早く湯船に肩まで浸かりました。

 

 そして先程の私のように何やら鼻をクンクンと嗅ぎはじめ、まだ香っているオジサンの紳士的な放屁の匂いをしかめっ面と共に堪能し始めました。

 

 その後まもなく私と目があいました。

 

 私はそっと目を閉じました。

 

 うっすら目を開けて対面にいた紳士な犯人をチラリとみてみました。

 

 犯人も静かに目を閉じてました。

 

 ・・・・・

 

 オジサンそこは「すまんワシがこいた」って言うとこだぞ。

 

 目を閉じることにより研ぎ澄まされた私の聴覚には、静かに身体を立ち上げる音とそれに合わせてお湯がザザァと流れ出る音、そして石垣の階段をヒタヒタと誰かが降りていく足音が聞こえてきました。

 

 目を開けると予想に反して何故かガテン系のオッサンではなく紳士な屁こきオジサンの姿が消えていました。

 

 私は軽い金縛り状態になり、ガテン系のおっさんが湯船から出るまでずっと目を閉じたままその姿勢を崩すことなく維持し続けて、その後洗い場の近くで血行が良くなりすぎて全身が異常にかゆくなってしまいました。

 

 そしてこれからは二度と安易に釣られてくだらない行為で返しをしない事を心に誓いました。

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