「今日はお父さんと一緒に寝たい」
その言葉が全ての始まりでした。
今回のブログは、昨晩斉藤家にて起きた実際の出来事です。
夏の夜のミステリー。
(注)文中、少し気味の悪い表現が書かれているかも知れませんので、お食事中の方や身体の具合の悪い方は読むのをお控えください。
夜になって降り出した時折激しさを見せる雨の為、湿度も高く寝苦しい夜でした。
斉藤家では、いつも子供たちは妻と一緒の寝室で寝ているのですが、この日の晩はふと娘が私と一緒に寝たい、と言い出したのです。
「おや珍しいな。」久しぶりの事です。喜んだ私は9時前には一緒に寝室に行き、娘と二人でベッドの上でドイツゲームなどを楽しみました。
それから電気を消して寝る態勢に入ったのですが、娘がしきりに「今日はなんか眠りたくないねん」とせがむので、それから昔話などを話して聞かせました。
3話くらい話した所で、要約睡魔が娘の所にやって来てくれたようで、その内スヤスヤと寝息を立て始め、私も一緒にいつもより早い眠りにつきました。
草木も眠る丑三つ時。
夢を見ました。
夢の中で、隣で気持ちよさそうに寝ていた娘が急にムクッと起き上がり不安げに私の顔を覗き込んで、慌てて口を押え泣きながら部屋を飛び出して行きました。
変な夢だな。
そうは思ったものの、最近歳の所為で一度目を覚ましてしまうと昔の様に二度寝が出来なくなってしまった私は、現実だったかもしれない光景をさて置き眠り続ける事にしました。
それから間もなくの事です。
私のベッドは夏の間、寝ている時に掛け布団を掛ける事が無く足元に畳んだままになっているのですが、体制を変えようと足の位置をずらすと、掛け布団の上から踵(かかと)に何か冷たいモノを感じました。
「あれ。ジュースでもこぼしたのかな。」
その冷たい感触はどうやら小さな水滴の様でした。
そのまま夢うつつ状態をしばらく続けていたのですが、足を少し動かしてみると少し離れた所で踵に同じ感触がありました。
「ひょっとしての雨漏りか。」
そうも思ったのですが、雨水の場合時間が経つと布団にしみ込んで行きますし、こんな風に「水滴」と思えないはず。
意識も段々ハッキリしだし、それからしばらくの間、掛け布団と敷布団の上に同じような場所が無いか両足の踵で探りました。
そう言えば隣で寝ている娘はこの事に気付いているのかな。
ふと、娘が一緒に寝に来ていたことを思い出し、右隣に顔を傾けていたのですが、そこにいるはずの娘の姿が見当たりません。
「そう言えば、さっきの夢・・・現実だったのかも。」
しかしあの夢(と思っていた)時の娘の顔はとても鬼気迫るものがあり、涙にしてもそうだけど寝ぼけていたとも考えられない表情だった気がするし、何よりあれからずいぶん時間が経つのに娘は私の部屋に帰って来ないでは無いか。
少しづつ不安になって行く私。何か嫌な胸騒ぎがする。
そんな気持ちのまま踵を動かしていると何か「水滴」では無い、違う「物体」が私の脛(すね)の辺りに触れました。
「何だ。」
暗い部屋の中手を伸ばしてみると、どうやらその「物体」はピンポン玉位の大きさの柔らかいモノでした。
親指と人指し、中指で物体を触っていると何か程よい弾力があります。
例えるとその感触は「かまぼことつみれの真ん中」のようなモノでした。
しばらくの間プニプニと触っていたのですが、完全に目が覚めてしまい「一体これは何なのだ」との疑問から、灯りを点けて確認する事にしました。
電気のついた部屋には娘の姿は勿論なく、ベッドの上、足元の冷たかった水滴の場所には赤やピンク色の少し不気味なシミが付いていました。
そして未だ完全に開ける事の出来ない瞼(まぶた)を擦りながら、そのピンポン玉を見てみました。
「これは。」
そのピンポン玉は全体が白味、もしくは黄味がかったイガイガボール、もしくはパチパチ飛び出すパチパチ君のような形で、所々に血の様な赤い色とピンク色の筋の様なモノが綺麗な模様で入っているモノでした。
「これは・・・手毬(てまり)か。」
その小さな手毬をしばらく色々な角度から眺めていたのですが、不意に何処からか得体の知れない生臭い臭いがしてきました。
真夜中に何かに怯えるように飛び出して行った娘。時間が経っても消える事の無い水滴。足元に残された血の様な跡。生臭い臭い。そしてこの手に残された小さな手毬。
嫌な胸騒ぎは止まらず、鼓動が早くなっていくのが分かります。
「しーちゃん(娘)。」
娘の無事を祈る様に小さな手毬をベッドの横の棚に乗せ、慌てて身を起こして立ち上がり、駆け出す私。
部屋を後にしようと扉のノブに手を掛けました。
ノブがヌルッとしました。
何事か。と思いノブに顔を近づけてみるとノブからでしょうか。とても嫌な臭いがしてきました。
どこかで嗅いだ事のある臭い・・・これは・・・
「ハッ」とした私。部屋を出る前にもう一度ベッド横の「小さな手毬」を取りに戻りました。
そしてその手毬を恐る恐る拾い上げ、その「臭い」を嗅いでみて、この不思議な一連の怪奇現象。全ての出来事の意味、点が線になっていくのが分かりました。
クンクン・・・
「手毬くさっ」
「これ・・・・・」
「これゲロやんけ」
そう言えば娘は良く慣れない所で寝ると夜目が覚めた時に気分が悪くなっておう吐する習性があったっけ。
水分足りてなかったから固まってたのだと思いますが、こんなつみれみたいな硬さになるなんて。
てか、ずっと指でプニプニプニプニ触ってた私。
「指くっさ」
速攻お風呂に行って踵と手を洗いました。
真夜中にお風呂場で何とも言えないブルーな気分になった私。部屋に帰る途中に妻の部屋をのぞいてみるとそこには幸せそうに眠る娘の姿がありました。
夏の夜はミステリー。
今晩、あなたの下にも現れるかもしれない「恐怖の手毬」。
皆様も十分に水分を取ってから夢の世界へ旅立ち下さいね。
では明日からのお盆休み、家族みんなで楽しんできたいと思います。
「今日はお父さんと一緒に寝たい」
その言葉が全ての始まりでした。
今回のブログは、昨晩斉藤家にて起きた実際の出来事です。
夏の夜のミステリー。
(注)文中、少し気味の悪い表現が書かれているかも知れませんので、お食事中の方や身体の具合の悪い方は読むのをお控えください。
夜になって降り出した時折激しさを見せる雨の為、湿度も高く寝苦しい夜でした。
斉藤家では、いつも子供たちは妻と一緒の寝室で寝ているのですが、この日の晩はふと娘が私と一緒に寝たい、と言い出したのです。
「おや珍しいな。」久しぶりの事です。喜んだ私は9時前には一緒に寝室に行き、娘と二人でベッドの上でドイツゲームなどを楽しみました。
それから電気を消して寝る態勢に入ったのですが、娘がしきりに「今日はなんか眠りたくないねん」とせがむので、それから昔話などを話して聞かせました。
3話くらい話した所で、要約睡魔が娘の所にやって来てくれたようで、その内スヤスヤと寝息を立て始め、私も一緒にいつもより早い眠りにつきました。
草木も眠る丑三つ時。
夢を見ました。
夢の中で、隣で気持ちよさそうに寝ていた娘が急にムクッと起き上がり不安げに私の顔を覗き込んで、慌てて口を押え泣きながら部屋を飛び出して行きました。
変な夢だな。
そうは思ったものの、最近歳の所為で一度目を覚ましてしまうと昔の様に二度寝が出来なくなってしまった私は、現実だったかもしれない光景をさて置き眠り続ける事にしました。
それから間もなくの事です。
私のベッドは夏の間、寝ている時に掛け布団を掛ける事が無く足元に畳んだままになっているのですが、体制を変えようと足の位置をずらすと、掛け布団の上から踵(かかと)に何か冷たいモノを感じました。
「あれ。ジュースでもこぼしたのかな。」
その冷たい感触はどうやら小さな水滴の様でした。
そのまま夢うつつ状態をしばらく続けていたのですが、足を少し動かしてみると少し離れた所で踵に同じ感触がありました。
「ひょっとしての雨漏りか。」
そうも思ったのですが、雨水の場合時間が経つと布団にしみ込んで行きますし、こんな風に「水滴」と思えないはず。
意識も段々ハッキリしだし、それからしばらくの間、掛け布団と敷布団の上に同じような場所が無いか両足の踵で探りました。
そう言えば隣で寝ている娘はこの事に気付いているのかな。
ふと、娘が一緒に寝に来ていたことを思い出し、右隣に顔を傾けていたのですが、そこにいるはずの娘の姿が見当たりません。
「そう言えば、さっきの夢・・・現実だったのかも。」
しかしあの夢(と思っていた)時の娘の顔はとても鬼気迫るものがあり、涙にしてもそうだけど寝ぼけていたとも考えられない表情だった気がするし、何よりあれからずいぶん時間が経つのに娘は私の部屋に帰って来ないでは無いか。
少しづつ不安になって行く私。何か嫌な胸騒ぎがする。
そんな気持ちのまま踵を動かしていると何か「水滴」では無い、違う「物体」が私の脛(すね)の辺りに触れました。
「何だ。」
暗い部屋の中手を伸ばしてみると、どうやらその「物体」はピンポン玉位の大きさの柔らかいモノでした。
親指と人指し、中指で物体を触っていると何か程よい弾力があります。
例えるとその感触は「かまぼことつみれの真ん中」のようなモノでした。
しばらくの間プニプニと触っていたのですが、完全に目が覚めてしまい「一体これは何なのだ」との疑問から、灯りを点けて確認する事にしました。
電気のついた部屋には娘の姿は勿論なく、ベッドの上、足元の冷たかった水滴の場所には赤やピンク色の少し不気味なシミが付いていました。
そして未だ完全に開ける事の出来ない瞼(まぶた)を擦りながら、そのピンポン玉を見てみました。
「これは。」
そのピンポン玉は全体が白味、もしくは黄味がかったイガイガボール、もしくはパチパチ飛び出すパチパチ君のような形で、所々に血の様な赤い色とピンク色の筋の様なモノが綺麗な模様で入っているモノでした。
「これは・・・手毬(てまり)か。」
その小さな手毬をしばらく色々な角度から眺めていたのですが、不意に何処からか得体の知れない生臭い臭いがしてきました。
真夜中に何かに怯えるように飛び出して行った娘。時間が経っても消える事の無い水滴。足元に残された血の様な跡。生臭い臭い。そしてこの手に残された小さな手毬。
嫌な胸騒ぎは止まらず、鼓動が早くなっていくのが分かります。
「しーちゃん(娘)。」
娘の無事を祈る様に小さな手毬をベッドの横の棚に乗せ、慌てて身を起こして立ち上がり、駆け出す私。
部屋を後にしようと扉のノブに手を掛けました。
ノブがヌルッとしました。
何事か。と思いノブに顔を近づけてみるとノブからでしょうか。とても嫌な臭いがしてきました。
どこかで嗅いだ事のある臭い・・・これは・・・
「ハッ」とした私。部屋を出る前にもう一度ベッド横の「小さな手毬」を取りに戻りました。
そしてその手毬を恐る恐る拾い上げ、その「臭い」を嗅いでみて、この不思議な一連の怪奇現象。全ての出来事の意味、点が線になっていくのが分かりました。
クンクン・・・
「手毬くさっ」
「これ・・・・・」
「これゲロやんけ」
そう言えば娘は良く慣れない所で寝ると夜目が覚めた時に気分が悪くなっておう吐する習性があったっけ。
水分足りてなかったから固まってたのだと思いますが、こんなつみれみたいな硬さになるなんて。
てか、ずっと指でプニプニプニプニ触ってた私。
「指くっさ」
速攻お風呂に行って踵と手を洗いました。
真夜中にお風呂場で何とも言えないブルーな気分になった私。部屋に帰る途中に妻の部屋をのぞいてみるとそこには幸せそうに眠る娘の姿がありました。
夏の夜はミステリー。
今晩、あなたの下にも現れるかもしれない「恐怖の手毬」。
皆様も十分に水分を取ってから夢の世界へ旅立ち下さいね。
では明日からのお盆休み、家族みんなで楽しんできたいと思います。