映画感想文 ~おおかみこどもの雨と雪~

はてなブックマーク
2013.08.24

 やましなす皆様。梅雨ですね。

 ア違うか。

 

 先日娘と行った四宮祭りで大雨の中「これでもか」と言うくらい便利アイテムをリュックから取り出して、周りの山科民の方たちから「ドラえもんの再来」と呼ばれてしまった斉藤です。

 今回はちょっと主旨を変えて趣味の話を。

 

 私、本人だけが認める「プチ映画マニア」なのですが、最近忙しさに感(かま)けてその趣味の世界から離れていました。

 

 そんな中、映画マニアなお客様から教えて頂いた一本の映画。

 

 タイトルは「おおかみこどもの雨と雪」

 

 

 あまりご存知の方の少ないかもしれませんが、最近上映されていた日本のアニメ映画です。

 

 「なんだ。邦画でアニメか。」と思った方もいらっしゃるかもしれません。実際私も最初はそうでした。

 

 教えて頂いてからレンタルするまで時間が掛かったのですが先日見る事が出来ました。

 

 主観ですが、自信を持って云わせて頂きます。

 

 この映画は素晴らしい。

 

 日本が代表する世界に誇れる有名なアニメ映画の監督と言えば「宮崎駿(となりのトトロ等)」や「大友克洋(AKIRA等)」がいらっしゃいますが、この作品の監督は「細田守」と言う方。

 

 はっきり言って天才です。

 

 なぜ急にアニメ映画のことをブログに書くのか、と言うと映画が好きな方で

 

 30~40代の方、特にご家庭をお持ちの方に是が非でも見て頂きたい作品だからです。

 

 主観ですが、一言で言いますとこの作品は大人の為の絵本です。

 

 見終った後に、両親(特に母親)や自分が産まれてきたことに感謝しました。

 

 作品を通して家族の形、そして父親の在り方、母親の在り方、子供の在り方、子育てとはどういったものなのかと言う事を深く考えさせられました。

 

 私には現在6歳と1歳の子供がいてくれていますが、偶に自分の子育て感に対して疑問を抱く事があります。なのでこの時期にこの作品に出会えてとても良かったです。

 

 とてもきれいな情景や穏やかな時間の流れが感じ取れ、良くある日本のテレビドラマや映画の様な「無駄なセリフやシーン」が一切ありません。

 

 一々作中の人物が放つセリフが心に突き刺さりました。

 

 作品を見終えたのが夜中の11時だったのですが、余りにも感動してしまったのでその時間からもう一度最初から見直してしまいました。

 

 今現在、世の中にはモンスターペアレンツと呼ばれるような少し偏った子育てや教育をする親、或いは国の教育方針が当たり前のように成り立っていますが、そういった全ての関係者にこの作品を見て頂きたい。

 

 因みに、楽天レンタルで借りた本DVDを返却した後、速攻でAMAZONと言うネットショッピングサイトにて文庫本と限定DVDを注文しました。

 

 すぐにでも妻や、いつの日か子供に見てもらいたい、と思った作品でした。

 

 日本のアニメ映画も中々侮れませんね。

 

 

 以下は映画のネタバレになるので、この作品「おおかみこどもの雨と雪」を見られた方、もしくは別にみる機会が無さそう、と言う方は続きを読んでみてください。

 私の勝手気ままな感想です。

 

 

 おおかみこどもの雨と雪(ネタバレ)

 

 とにかく感じれたのは母親の愛情の偉大さ。大きくなって山に帰る決意をした雨に向かって母親である花が最後に言った言葉「なにもしてあげられてない」は衝撃的でした。

 愛する子供の為に全てを捨てて田舎暮らしを頑張り続けていた花。これ以上何をしてあげるの。もう十分だよ。見ている人達の中で一体誰がそう思うと思いましたが子供に対してはきっとどんな母親でもそう思う様なモノなんだろうな、と深く感じました。

 

 そしてこれでもか、と言うくらい作中に出てくる母親である花のひたむきさと一生懸命な姿に対して父親と言う存在は登場シーンも少なく、影が薄いように感じられますが、花が頑張っていられるきっかけを作った亡き父、そして花が一番大変なときに幻(?)として現れてたった一言「雨はもう大丈夫。居場所を見つけたよ」と伝えて行ったおおかみおとこの夫。父親と言う存在はこういうモノだ、と言う事を短いけどとても強く言いたいのだと感じ取れました。

 

 又、雪の同級生の転校生の男の子。雪に怪我を負わされた時に、同級生の男の子のセリフ「オオカミがやった」、花がその子に言った「オオカミは嫌いか」という問いに対しての「別に」、そして二人っきりの夜の学校での「一匹狼でやって行く」と言うセリフ。「この子は絶対最初の時から雪がオオカミだと言う事を知り、子供ながらでの優しさで「雪はひとりじゃないぞ」と言う事をずっと伝えたいんじゃないかな」と思っていて、最後のセリフで「ずっと知ってたよ」と言った時、なんて子供心の伝え方の上手な監督だろうと思いました。

 

 

 又男の子(雨)の成長と女の子(雪)が成長の過程で全く別の道を選んで行く訳ですが、同じ環境の中其々(それぞれ)で感じるものは違って当然。周りにいるものが出来る事は、「導く事」ではなく、「見ていてあげる事」。手を掛けず気を掛けると言う事を最後に強く教えてくれました。そして雨の最後の遠吠え。とても美しい成長の表現でした。

 

 雪の「オオカミであるための葛藤」も「おおかみおんな」と言う事でアニメチックになっていますが、この「オオカミ」は「決して他人に見られたくないもう一人の自分」と言う風に置き換えると誰しもに身に覚えがある内に秘めた気持ちだと思います。

 

 鑑賞していて常に穏やかでいられ、切なくも暖かくなれ、間接的で大きなメッセージを感じ取れた久しぶりの秀逸作品でした。オーキニー的評価9.2(10点満点)

一覧 TOP