仮面ライダーW夫婦

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2016.03.09

 仮面ライダーゴーストアイコン。

 

  

 女性の方にはわからない話だと思いますが、男なら誰しも必ず持って生まれてくるであろうと思われる男特有の「収集癖」という性質があります。

 

 私も例にもれず、過去にキン肉マン消しゴムやびっくりマンチョコのおまけシールから始まり、現在のドイツゲーム収集に至るまでありとあらゆるものを収集してきました。

 

 今年のお正月に息子にこの「アイコン」のもとになる「仮面ライダーベルト」を与えたのがそもそものきっかけでした。

 

 この「アイコン」と呼ばれる物体は「仮面ライダーベルト」の中に入れてスイッチを押すとアイコンの種類によって実に様々な音や声、そして光を放ちます。

 

 初めのうちは「どれも一緒」と言って欲しがる息子にそれ以上は買い与えないようにしていました。

 

 しかし妻がママ友さんに「ダブったからあげるわ」と言って手渡された、持っていなかった種類の「アイコン」がきっかけで私の収集癖のハートに火をつけてしまいました。

 

 もらった「アイコン」は「信長アイコン」という歴史上の人物である「織田信長」をモチーフにした種類の球体でした。

 

 今まで持っていた普通の「アイコン」はベルトに入れスイッチを押すと「開眼。ゴースト」というセリフのあと

 

 「ぅレッツゴー覚悟ぉどきどきゴーストォゥ」

 

 となんだかノリのいい兄ちゃんが員を利用した下手くそなラップのリズムに合わせてしゃべるだけのものでした。

 

 しかしこの「信長」をベルトにセットしてボタンを押すと

 

 「われの生き様 桶狭間ぁ」

 

 と下手くそには変わりはないのですが、なんとなく過去に歴史好きだった私の心をちょっぴり揺さぶるセリフを言い出したのです。

 

 調べてみるとどうやらアイコンは過去の歴史や空想上の偉人やヒーローをモチーフにしたものばかりがそろっている様子でした。

 

 息子が一人遊びでベルトを楽しそうにいじっている姿を横目に、無関心な態度を出しながら妻や子供たちが寝室に行って寝たのを確認してから1人の時間にこっそり「ゴーストアイコン」をベルトにセットして音声を楽しんでしまいました。

 

 それからというもの「息子のため」と言う理由で、デパートやおもちゃ屋さんに行くたびに他のアイコンが売っていないかを確認するようになりました。

 

 しかし仮面ライダーのおもちゃは私の予想をはるかに超え、特にアイコンに至ってはどの店でも品切れ状態。かなりレアな商品だということを知りました。

 

 そんな時、ふとゲオというビデオ屋さんによった時にレジの近くにあったガチャガチャコーナーでアイコンが売られているのを発見。

 

 迷わず800円を投入して二つの種類のアイコンをゲットして持って帰りました。

 

 息子に手渡すと満面の笑みで「お父ちゃん大好き」と飛びついてきてくれました。

 

 それからというもの、息子が喜んでくれたことよりも新しいアイコンのセリフが聞けることに喜びを感じてガチャガチャを探す習慣がついてしまいました。

 

 しかしこのガチャガチャという販売方法はなかなかの曲者で、2種類くらいしか入っていないくせにひどいときは同じ種類が3回連続で出たりするのです。

 

 うちに持って帰ると喜ぶ息子とは裏腹に、妻が不機嫌な顔をして

 

 「えぇ。同じ種類の持ってきたの。勿体ない。どうすんのそんな同じおもちゃ。」

 

 「ああぁ。今年はくだらない出費しないでおこうって決めたのにね。」

 

 とあからさまに私の行為を批判してくるのでした。

 

 ですので妻には内緒ですが、このアイコンの種類の「卑弥呼アイコン」を当てるのに2000円使ってしまい、ダブった3個は箪笥のYシャツの下に隠されてあります。

 

 因みに1個は妻のママ友にプレゼントするため妻に手渡しています。

 

 そんな中、先日家族でアバンティに買い物にしに行ったときファンシーショップで妻と息子が姿を消しました。

 

 探してみるとどうやら店の裏手で何やらゴチャゴチャともめていました。

 

 しばらくして息子が何かを手にもって私のほうに歩いてきました。

 

 どうしたの、と尋ねると「お父さん作って」といって何かを手渡されました。

 

 見てみるとそれは上半身、下半身に分かれた「仮面ライダーゴーストの人形」。そしてもう片方の手に持っていたのは長細いガチャガチャの青い空箱でした。

 

 と言うことはわが子のために妻がファンシーショップの裏に設置されていたガチャガチャをしたと言う事。

 

 珍しいこともあるもんだ、と感心しながらも胴体をくっつけて人形を作って渡しました。

 

 完成された人形をもって「お母さん見て」という声とともに妻のもとに走っていく息子。

 

 そしてほどなく、なんだか申し訳なさそうな顔をした妻が息子を連れて私の方向へ歩いて来ました。

 

 私「珍しいな。ガチャガチャしてやったんやな。」

 

 私が訪ねると、その事に返答もせず妻が顔をしかめながら「コレ」と言って何かをカバンから出して私に手渡してきました。

 

 私「なんやコレ。」

 

 妻「ダブっちゃった。」

 

 手には青いカプセル。中には先ほど私が完成させた上半身下半身に分かれた仮面ライダーゴースト人形がビニール袋に入ってました。

 

 妻「なんか・・・・ゴメンね。」

 

 その時の私の気持ちは7割が嬉しさ、そして2割イラッとしてました。

 

 残りの1割の優しさで人形をくっつけて妻に手渡し、妻の「1回500円もしちゃった」の言葉に1割を見失いそうになりました。

 

 妻「結構ダブるもんなんだね。本当は仮面ライダースペクターも欲しかったね蒼ちゃん(息子)」

 

 まあこれで要約私の気持ちもちょっとは分かってくれたであろう、と妻との距離が縮まった事に感謝しました。

 

 そして昨日。そんな事も忘れて帰宅するとリビングのテーブルの上に無造作に何かが置かれていました。

 

 青く長細いカプセルでした。

 

 「嗚呼そう言えば昨日アバンティ行ったな。」そう思いながら呑気に晩御飯を食べていると、お風呂から3人が出てきました。

 

 御飯を食べ終わり、しばらくして交代でお風呂に入りました。

 

 娘「お父さんお休み」

 

 いつものようにお風呂のドアを開けて娘がお休みの挨拶をしに来てくれて、3人が寝室に向かうのが分かりました。

 

 その後、入浴していると何か心に引っかかるものがありました。

 

 待てよ。

 

 ハッと思い出して、入浴後パジャマに着替えて確認しに行くとリビングのテーブルの上からあるモノの姿が消えてました。

 

 青く長細いカプセル。

 

 先日、私がアバンティのファンシーショップで、店を出るときに確かにゴミ箱に2個纏めて捨てたはずの青く永細いカプセル。

 

 あれ。幻だったかな。

 

 ・・・・

 

 いや止(よ)そう。そんな下世話な詮索。

 

 妻も私に似てきた、と言う事ですよね山科の神様。

 

 

 あ。一番好きなアイコンはベートーベンアイコンの「曲名っ運命っじゃじゃじゃジャーン」の斉藤でした。

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